「裸足」と「素足」の違い、わかる?石田純一さんの履き方はどっち?【知って得する日本語ウンチク塾】

「裸足」は、何も履物をはいていない状態。「素足」は、履物をはいていない足のこと

「はだし」は「裸足」と書き、「肌足(はだあし)」が変化した語で、履物をはかずに、地面や床の上などにいるときに使います。

「すあし」は「素足」で、靴下や足袋なども含めた履物を着けない、むき出しの足をいいます。

現在ではほとんど同じ意味で使われることが多いのですが、場面によっては多少使い分けが必要です。

石田純一さんの靴の履き方は「裸足」?「素足」?

「素足」は、靴下をはくと「裸足」に

たとえば「~で歩く(走る)」は、どちらも使います。

ただ、その場所が屋外か屋内かで、使い分けがなされることもあります。たとえば、「~になって芝生の上を駆け回る」の場合は、屋外ですから「裸足」の方がいいでしょう。「真冬でも家の中では~でいる」は、屋内ですから「素足」の方がぴったりきます。

以前、俳優の石田純一さんが靴下を着けずに靴を履いているので話題になったことがありましたが、この場合は、靴は履いているもののむき出しの足という意味が強いので、「素足」が適当です。

ただ、いずれのケースも、「裸足」と「素足」どちらを使っても決して間違いではありません。

 

ちなみに、「はだし」しか使わない言い方もあります。「玄人(くろうと)はだし」です。これは、玄人もはだしで逃げ出すほどであるという意味で、素人(しとうと)なのに専門家が驚くほどのすぐれた技芸や学問をもっていることをいいます。「専門家はだし」とも言いますが、これを「玄人すあし」「専門家すあし」とはぜったいに言いません。

 

 

記事執筆

神永 暁|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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