2歳、3歳児へのしつけはどこまで?カギになるのは子どもへの信頼感【井桁容子先生のお悩み相談】

2歳、3歳児の子育てを楽しむために大切なポイントは?

日々、成長していく子供とのかかわり方に悩んだり、不安になったり……。イヤイヤ期を抜けても、まだまだ悩み多き3歳の時期の子育てを楽しむために、大切なことってどんなことでしょうか。保育士歴の長い井桁容子先生にお話を伺いました。

個性の発見が「すごい!」につながります

3歳頃というのは、子供の心がまだまだやわらかい時期。親が心がけたいのは、子供を「よく見る」ことです。子育て中は、~ができた、~が上手、といった「結果」にばかり注目してしまいがち。でも、本当の意味で成長につながるのは、結果ではなく「過程」なのです。

好きなこと、得意なことは、人によって違います。これは、子供でも同じこと。子供がひとりで何かに熱中しているとき、その様子をじっくり「見て」みましょう。「子供が夢中になって遊んでいるとき」とは、「子供が自分の能力をフルに発揮しているとき」。子供は、何を楽しんでいるのか。何にこだわっているのか。その子ならではの思いに気づくことは、子供の「よさ」の発見につながります。

焦って叱る、怒る、は必要なし。その子らしさを大切に

たとえば、洋服のボタンをかけるのが苦手な子。親はつい、「早く自分でできるようにしなければ」と思ってしまいます。でも、焦る必要などないのです。だって、ボタンごときで人生はかわりませんから(笑)。
育て急ぐのはやめ、じっくりと子供を見てください。そして、「どうしてそうするのかな?」と、考えてみてください。たとえ時間がかかっても自分でやりたいのかもしれません。上から順にかけていきたい、というこだわりがあるのかもしれません。子供が「なぜそうするのか」を知ろうとすることは、「その子らしさ」に気づく第一歩になるでしょう。

子どもがやることに、先回りするのは避けて

避けたいのは、失敗しないように、と親が先回りしてしまうこと。子供に必要なのは、「経験」です。人は、うまくいかなかったときこそ考え、工夫をするものです。困ったり迷ったりしたとき、自分なりに解決しようとすることが、子供を成長させるのです。
時間をかけて自分でやり抜く、親にやってほしいと頼む……。対処法は、子供によってさまざまでしょう。でも、どんな方法を選んでもよいのです。親に頼む子より自分でやり抜く子のほうが優れているわけではありません。大切なのは、子供が自分で考えて決める、という過程なのです。自分でボタンをかけられたかどうかではなく、苦手なボタンかけをどのように乗りきったか、に目を向けてみると、子供の個性が見えてきます。そして、「うちの子ってすごい!」と思える場面が増えてくるはずです。

 

子供から親への、信頼の積立貯金をふやして!

「うちの子ってすごい!」。親のそんな気持ちは、必ず子供に伝わります。結果にかかわらず自分の思いをわかってもらうことができる、と感じることで、子供は親への信頼を深めていきます。そして、信頼感が深まるほど、自分自身をうまく表現することができるようになり、その子本来の善さ(=個性)も伸びていくのです。
親への信頼は、自分自身や他人への信頼にもつながります。そして自他への信頼は、将来、周囲の人とのつながりを築くために欠かせないもの。この時期に育んだ子から親へ、親から子への信頼感が、将来につながる「信頼の積立貯金」の土台となるのです。
子供の思いを知り、それを受け止めること。そして、子どもの個性に気づくこと。日ごろから子供をよく見れば、「うちの子って、すごい!」という感動をたくさん楽しめるでしょう。

 

教えてくれたのは

井桁容子|乳幼児教育保育実践研究家

乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。

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