「世界宇宙週間」とは? 目的・歴史・由来、日本や海外の取り組みを徹底解説!

民間のロケットが国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、日本人宇宙飛行士がISSの船長を務め、自力でのロケット開発にチャレンジしている日本の会社も現れている今、宇宙開発は以前よりも身近なものになっています。
この記事では、国連が定める国際週間「世界宇宙週間」を取り上げます。「世界宇宙週間」の目的・歴史・由来をはじめ、日本や海外でのさまざまな取り組みを紹介。また「世界宇宙週間」に、わたしたちができることを考えてみました。

「世界宇宙週間」ってどんな期間?

国際連合(国連)が定める記念日のなかに「世界宇宙週間」という国際週間があることをご存じですか? 英語表記は「World Space Week」。ウィーンに置かれた世界宇宙週間の推進本部「World Space Week Association(WSWA)」には、俳優のトム・ハンクス氏、アポロ11号で月面着陸したバズ・オルドリン氏などが名前を連ねています。

2023年の「世界宇宙週間」はいつからいつまで?

そもそも「世界宇宙週間」は、いつからいつまでを祝う国際週間なのでしょうか。まずは2021年の「世界宇宙週間」の日程を確認します。

2023年の「世界宇宙週間」は10月4日水曜日〜10月10日火曜日まで

「世界宇宙週間」は毎年10月4日〜10月10日までと定められています。今年の場合は、10月4日水曜日〜10日火曜日までです。過去3年と来年以降3年の曜日は、以下の通りです。

・2020年10月4日日曜日〜10日土曜日
・2021年10月4日月曜日~10月日曜日
・2022年10月4日火曜日〜10日月曜日

・2024年10月4日金曜日〜10日木曜日
・2025年10月4日土曜日~10日金曜日
・2026年10月4日日曜日~10日土曜日

「世界宇宙週間」とは?

国連は、どのような意図や経緯で「世界宇宙週間」を記念週間に定めたのでしょうか。実は「世界宇宙週間」の制定には、人類が初めて打ち上げた人工衛星の存在が大きくかかわっています。

目的

「世界宇宙週間」は、宇宙科学技術が人類の発展に貢献してきたことを世界的に祝う記念日です。人々の宇宙に対する関心を高め、宇宙空間の探査や平和利用についての国際協力を促進することが最大の目的。また、途上国が宇宙技術を利用できるように支援することも目的のひとつになっています。

歴史

1957年10月4日、世界初の人工衛星「スプートニク1号」が、ソビエト連邦(現在のロシア)によって打ち上げられました。翌年の1958年には、アメリカも「エクスプローラー1号」の打ち上げに成功し、米ソの宇宙開発競争は激しさを増していきます。第2次世界対戦後に始まった冷戦が宇宙空間にまで広がったのです。危機感を抱いた国連は1959年に「国連宇宙空間平和利用委員会」を設置します。

1961年4月12日、ソ連はユーリ・ガガーリン氏を乗せた「ボストーク1号」で人類初の有人宇宙飛行に成功し、アメリカをはじめとする西側諸国に再び大きなショックを与えました。

1969年7月20日、アポロ11号が人類初の月着陸に成功すると、当初はソ連がリードしていた宇宙開発競争は事実上、アメリカの勝利で頂点を迎えます。

スプートニクの打ち上げから10年後の1967年10月10日には、宇宙空間とその利用に関する「宇宙条約」が発行。条約は天体や宇宙空間の領有を否定し、宇宙の軍事利用の禁止を記しています。

1970年代にはヨーロッパや中国も宇宙開発に参入、1989年に冷戦が集結すると、宇宙開発は新たな時代を迎えます。その象徴が、1998年11月から宇宙空間で組み立てが始まり、2011年7月に完成した「国際宇宙ステーション(ISS)」です。かつて宇宙開発を競い合ったアメリカとロシア、さらに日本、カナダ、欧州宇宙機構が協力して運用しています。

宇宙空間での共同研究、平和利用が具体的な形として現れたのです。こうしたなか、国連は1999年に「世界宇宙週間」を制定しました。

由来

「世界宇宙週間」の始まりの日である、10月4日は、人類初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられた日です。そして10月10日は、スプートニク1号の打ち上げから10年後に宇宙条約が発行した日。

人類による宇宙開発が本格的に始まった日、そして平和利用が記された日を記念して、10月4日〜10日までの1週間が「世界宇宙週間」に制定されました。

「世界宇宙週間」の日本の取り組み

毎年10月4日〜10日の世界宇宙週間に際し、日本では、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか? ここでは日本で「世界宇宙週間」の取り組みを進めている「世界宇宙週間JAPAN」の取り組みのいくつかを紹介します。

「世界宇宙週間JAPANアワード」

「世界宇宙週間JAPANアワード」は、宇宙×写真、宇宙×イラスト、宇宙×スポーツなど、自分が選んだ「宇宙×〇〇」な作品のコンテスト。

「お茶部門」「飲食部門」「エッセイ部門」「コスプレ部門」など17ジャンルが設けられ、参加者は期間中に作品をSNSに投稿しました。宇宙への想いをカタチにするユニークな取り組みです。

「Humming for Peace」

「Humming for Peace」は、言語を使わない鼻歌でつながることにより、平和を祈る取り組み。オンライン開催された2020年には、世界中から200人を越える人たちが参加し、美しいハミングを奏でました。

「スマイルリレー」

2019年から開催されている「スマイルリレー」も世界宇宙週間のイベントのひとつ。参加者が世界平和を願い、笑顔の写真や動画をSNSに投稿しました。

「世界宇宙週間」の海外の取り組み

「世界宇宙週間」には海外でもさまざまなイベントが開催されています。2020年には、世界中で6000以上のイベントが開催されました。ここでは、過去に「世界宇宙週間」に行われたイベントや関連イベントを紹介します。

大西洋横断で過ごす世界宇宙週間

イギリスのクルーズ会社は、豪華客船「クイーン・メリー2世」に乗り、イギリス・サウサンプトンから大西洋を渡って、アメリカ・ニューヨークに向かうツアーを実施。

クルーズ中は、著名な天文学者や宇宙飛行士の講演やさまざまな催しを楽しみました。

宇宙食をアレンジした特別料理の提供

国連の宇宙政策を担う国連宇宙局では、国際宇宙ステーション(ISS)で、宇宙飛行士が食べているメニューをアレンジした料理を提供しました。

「国際宇宙会議」の開催

年に1度開催される「国際宇宙会議」は「国際宇宙航行連盟」や「国際宇宙法学会」などが主催する世界最大の宇宙イベントです。世界中から延べ数万人が集い、宇宙に関する国際論文の発表者は、数千人規模となります。2023年は10月2日~6日に、アゼルバイジャンのバクーで開催される予定です。

「世界宇宙週間」に、わたしたちができること

10月4日から10月10日の世界宇宙週間を祝すため、わたしたちにできることがあるのでしょうか?

SNSでメッセージを発信

インスタグラムやツイッターといったSNSを活用し、「世界宇宙週間」についてのメッセージを発信できます。

エヴァンジェリストに応募

「世界宇宙週間JAPAN」は、「世界宇宙週間」を日本中に広め、イベントを展開していく公認「エヴァンジェリスト」を募集しています。

エヴァンジェリストになることで、宇宙関連のイベント提案や企画、広報、運営サポートといった業務に携わることが可能です。

JAXAの取り組みを応援

日本の宇宙開発を推進しているJAXA(ジャクサ)、正式名称「宇宙航空研究開発機構」は随時、さまざまなイベントを開催しています。そうしたイベントに参加し、JAXAの取り組みを応援することができます。

ちょうど日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんが今、国際宇宙ステーションで船長を務めており、宇宙での実験の様子を動画で見ることができます。

星空を見上げて

昔から多くの人が夢見た宇宙への道は、残念ながら米ソの激しい争いで幕を開けましたが、振り返ると1957年の世界初の人工衛星「スプートニク1号」から、1969年の「アポロ11号」の月着陸まで、わずか12年。宇宙開発は驚くべき速さで進みました。今では日本人宇宙飛行士が民間企業のロケットで、国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、ISSの船長を務めています。

「世界宇宙週間」の時期は、南の夜空に木星が明るく光っています。目を凝らすと、近くには土星もみえるはず。忙しい毎日のなか、この1週間は世界中の人たちと一緒に、星空を見上げてみてください。

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文・構成/HugKum編集部

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