【医師監修】炭水化物を食べると眠くなるのはなぜ? ランチ後のつらい眠気の理由と対策

「おなかいっぱいに食事をしたら、眠くてたまらなくなってしまった…」。
きっと多くの方が、そんな経験をしたことがあるはず。このつらい眠気は、いったい何が原因で生じているのでしょうか? 炭水化物との関係は? 本記事では、食後の眠気の原因や対策についてをお伝えしていきます。

白米、ラーメン、パスタ… 炭水化物を食べた後は眠くなる?

食後に眠くなることは、多くの人にとって日常茶飯事かもしれません。なかでも、仕事や家事がまだまだ残る昼食後の眠気は実につらいものですよね…。だからといってお昼をしっかり食べないと、午後からのエネルギーが保てないし…。

そこで今回は、食後の眠気の原因や対策法を調査。まずは「食後のどんなときに眠くなってしまうのか」「なにを食べたときに眠気が生じるのか」をHugkumメルマガ読者のママパパを対象に、アンケートで聞いてみました。

ランチ後の眠気に関する体験談

アンケートには、ランチ後の眠気に関するさまざまな体験談が寄せられましたが、なかでも目立ったのが「炭水化物を食べた後に眠くなった」という声。ランチメニューの定番ともいえる、丼モノやラーメン、パスタ、パンなどを摂った後に、眠気に襲われたとの体験談が多数見受けられました。

「丼物だと白米が進んでしまい、午後の予定があったのに、昼寝をしてしまった」(20代・青森県・子ども1人)
「ラーメンとチャーハンセットを頼むと眠くて落ちそうです。」(30代・北海道・子ども2人)
「パスタをたくさん茹でて食べたとき、すごく昼寝がしたくなる。」(30代・京都府・子ども2人)
「野菜をとらずに、菓子パンなどを大量に食べた時に眠くなりやすい。」(40代・長野県・子ども2人)
「うどん、パスタ 座ってパソコン仕事をしていると座ったまま眠ってしまう」(40代・福岡県・子ども2人)

炭水化物×食後の眠気の関係は?  病気の可能性も?

白米やラーメン、パスタなど、炭水化物を摂ると眠くなってしまうのは、いったいなぜなのでしょうか。ここでは、炭水化物と食後の眠気にどんな関係があるのかを解説していきます。

炭水化物を摂ると眠い…その理由は血糖値の上昇に

食後に眠くなる理由のひとつに「血糖値の上昇」が挙げられます。

血糖値とは、食事を摂取し、血液中の糖質(ブドウ糖)の量が増えることで上昇するもの。通常はそれに伴い、インスリンと呼ばれる血糖値を下げるホルモンが分泌され、2時間程度の時間をかけて緩やかに元どおりにしてくれます。

しかし、糖質が含まれる炭水化物を過剰に摂取すると、血液中の糖質が増えすぎてしまい、高血糖に。それを下げようとしてインスリンが過剰に分泌され、今度は血糖値が急降下!  その結果、エネルギー源である糖質が脳へ行き渡らなくなり、眠気を感じたり、頭がぼーっとしてしまうのです。

覚醒作用のあるオレキシンが抑えられる

また、血糖値の上昇は、オレキシンの分泌を抑えるといわれています。

オレキシンとは、脳を覚醒させる作用のある脳内物質。オレキシンの分泌が活発だと人は覚醒し、鈍ると覚醒を維持できず睡眠状態に入ります。そのため、炭水化物を摂って血糖値が上昇することで、オレキシンの分泌が鈍り、眠気をもよおすと考えられています。

強い眠気に隠れた病気のサイン

食後の多少の眠気は、健康な人にも起こり得ること。しかし、強すぎる眠気が長時間にわたってつづくのは、隠れた病気のサインかもしれません。

なかでも、血糖値が慢性的に高くなる「糖尿病」は、食後の強い眠気を引き起こします。肥満傾向にある方や、身内に糖尿病の方がいる場合など、気になる際は一度医師に相談してみましょう。

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炭水化物×食後の眠気の対策は?

では、そんな食後の眠気を引き起こさないためには、どのような対策をしていけばいいのでしょうか。眠くならないように食べる、その方法をお伝えします。

食事をするときは、まずは野菜から

食事をするときは、まずは野菜から食べはじめましょう。野菜に豊富に含まれる食物繊維には、糖質の吸収をゆるやかにする働きがあります。そのため、野菜を先に食べることで、血糖値の上昇速度を落ち着かせることができるのです。

ごはん×おかずのスタイルを心がける

パスタや丼モノ、ラーメンなど、気軽に食べられる一皿料理はランチにも選びやすいですよね。しかし、これらの食事は糖質が多く食物繊維が少ないので、血糖値の急上昇の原因に。

上述したように、食物繊維がとれれば、炭水化物を食べても血糖値の上昇がゆるやかになります。食後の眠気を防ぐには、一皿料理ではなく、野菜の付け合せや副菜が取れる定食スタイルを選ぶよう心がけましょう。白米を雑穀や玄米に変更できれば、なお理想的です。

よく噛んで食べる

食べるスピードが速いことも、血糖値が急上昇する原因のひとつ。ゆっくりと、よく噛んで食事をすることが大切です。

また、食事をはじめてから満腹中枢が反応するまでには、20〜30分程度かかると言われています。食事をゆっくりと摂れば、ふだんより少ない量で満腹感を得られるので、食べ過ぎ防止にも繋がります。

どうしても眠いときは、仮眠orストレッチ!

それでもどうしても眠くなってしまう…そんなときは、15〜20分程度の仮眠をとりましょう。30分以上眠ってしまうと、身体が深い眠りに入ってしまい、頭や身体がかえって重くなるので、仮眠は15分〜20分に留めておくことが大切です。

また、仮眠を取れない場合は、かるい散歩やストレッチなど、簡単な有酸素運動をすると少しはすっきりするはず。

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規則正しくバランスの良い食生活を見直してみましょう

ほかにも、朝食を抜くことや、急激なダイエットをして食生活が乱れることなども、食後の急激な血糖値上昇の原因になります。食後の眠気を防ぐためには、極端に炭水化物を避けるのではなく、まずは規則正しくバランスの良い食生活を見直してみましょう。

記事監修

日本小児科学会認定小児科専門医
すずきこどもクリニック
院長 鈴木幹啓

当院は『こども』の「心身の健康、成長発達、病気予防・治療」をトータルにサポートする小児専門クリニックです。特定機能病院での多くの経験や5年間の紀南病院での小児科医長の経験を活かし、日本小児科学会認定小児科専門医として地域の方々に親しまれる医療を目指しています。

構成・文/羽吹理美

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