【SDGs】洋服の廃棄物を資源に!繊維を紙によみがえらせるサーキュラーコットンファクトリーの活動とは

地球環境の改善を考えるときに大きな課題となるゴミ問題ですが、洋服などの繊維ゴミは世界のゴミの14%も締めているということをご存知ですか?そこで今回は、日本初!繊維ゴミを50%以上つかった「紙」を開発・事業化する取り組みを始めた、一般社団法人 サーキュラー コットン ファクトリー /Circular Cotton Factoryの活動を紹介します。

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わずか17.5%しかりサイクルされていない「繊維の循環システム」を社会実装


自社の洋服を破棄しない、繊維 to 繊維の取り組みを始めたアパレルメーカーも増えてきてはいますが、現在の廃棄量を考えるとアパレル業界全体で取り組む必要がある状況。日本における繊維のリサイクル率は、わずか17.5%たらず。それに比べると、紙の回収率は 85%、古紙利用率は 67%と割合が大きくなります。

サーキュラー コットン ファクトリー(以下 CCF)は、繊維に関わる全てのプロセスで排出される繊維ゴミを回収し再生させる「繊維の循環システム」の社会実装を目指し、廃棄される繊維から紙を作るという取り組みからスタート。業務用シーツやユニフォームなど洋服以外の繊維ゴミの回収も行い紙に変えるという活動をしています。

日本のアパレル業界が変わるときがきた!

CCFは、オーガニックコットンを日本で広めたアバンティ創業者の渡邊智恵子氏を筆頭に、グラフィックデザイナーの福島治氏、世界初の快適多機能性素材「カバロス(COVEROSS®)」を開発したhap 株式会社代表取締役社長 鈴木素氏、「45R」を展開する45rpm studioとクールジャパン推進機構が設立した45R-Jで代表を務める中島正樹氏の4人がメンバーとして活動。日本のアパレル業界を担ってきたメンバーが、繊維業界の環境問題に取り組んでいきます。

年間で約28.5億枚の洋服が作られ、半分以上は廃棄される現状


『CCF』設立の背景には、繊維ごみが抱える大きな課題があります。春夏秋冬、季節に合わせてファッションが楽しめる日本では、年間で約28.5億枚の洋服が作られ、約半分以上は売れ残り、新品のまま破棄されているのだそうです。
日本の繊維くずの総量は、166万トン。繊維から繊維への再生利用率は、17.5%。つまり、29万トンの繊維くずは再利用され、残り137 万トンが焼却または廃棄されているのです。

製造過程で発生する繊維クズや洋服の売れ残り、家庭や事業所から排出される衣類など、繊維のゴミは世界のゴミの14%を占めています。地球環境の改善を考える上で、この状況を放っておくことはできません。

繊維ゴミを資源として活用するための仕組みづくり


CCFが開発した、日本初となる繊維ゴミの配合率50%以上の紙(CCP)は、印刷適正の高い紙となっています。繊維ゴミを紙にするための技術開発を含め、繊維ゴミの回収→紙の量産化→流通まで全ての仕組みを確立させたことで、長期的なプロジェクトの継続が見込め、繊維ゴミを資源として活用していくことが可能に。

現在CCFでは、コットンに限定された繊維ゴミの種類を化学繊維やコットン以外の繊維ゴミも紙に再生する技術開発に向けて取り組んでいて、今後は、私たちが一般ゴミとして破棄する繊維(中古衣料)を “おうち資源” として回収するシステムを構築することを目指すそうです。

日本から世界へ発信するSDGs

繊維ゴミ配合率70%の「和紙」も開発!繊維ゴミから、日本の生み出した豊かな紙文化を受け継ぐ和紙(CCP)をつくり、日本から世界へ発信するSDGsの取り組みも行うということで、これからの活動も楽しみですね。

繊維ゴミを配合した紙:『CCP』をつかった 100 project


CCFのファーストアクションとして、繊維ゴミを配合した紙『CCP』をつかった “100 project” をスタート。このプロジェクトでは、CCFの取り組みに賛同し、パートナー会員として登録した、団体、企業 の『CCP』の活用例を100パターン紹介。最終的には『CCP』の紙で書籍として出版されるそうです!

CCPをつかった活用例


「お父さんのYシャツが生まれ変わった」
浜松白洋舎は、店舗で着古したYシャツを回収、粉砕、紙にしてお父さんへのありがとうメッセージを子どもたちに書いてもらい、お父さんにプレゼントするという企画を実践。

その他にも、すでにいろいろな実例があります。
■ 着なくなった洋服と、使い終わった教科書でつくる手漉き和紙で、卒業証書を作成する
■ 子供たちが未来の地球へ向けて書くハガキとして活用
■ 障害者の方々が製造する「QUON CHOCOLATE(久遠チョコレート)」のパンフレット及びパッケージに

「ストーリーがある紙がストーリーをつなげていく」わくわくするような実例がすでにたくさん出ていますが、これから登場するさまざまな活用方法にも注目していきたいですね。

本質的な課題に向き合いマイナスをプラスに変える活動


近年では、低価格で流行のファッションアイテムを気軽に取り入れることができるようになった反面、洋服の廃棄が問題になっています。
CCF記者発表会に参加していた、新渡戸文化中学高等学校教諭兼統括校長補佐 山藤旅聞氏の教え子である大学生が「同年代の人たちが、安い服を買って1シーズンで捨てるという現状に疑問を感じていました。ゴミとして廃棄される服を紙にして、SNSではなく紙にメッセージを書き込んで大切な人へ手紙を贈りたい」と話していました。
他人事ではなく自分事として本質的な課題に向きあい、マイナスをプラスに変えていくCCFの活動には、繊維産業だけではなくさまざまな企業から期待が寄せられています。

CCFの活動を知ることで、まず洋服や物を大切にしようと思うことも大切なアクション。公式サイトでは、詳細情報がご覧いただけますので気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。

CCF 公式サイトは>こちら

文/やまさきけいこ

今回の記事で取り組んだのはコレ!

  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を

SDGsとは?

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