りんごは冷凍できる
冷凍りんごの食感は、冷凍前とは異なりますが、心地よい歯ざわりへと変化します。それでいて栄養分は大きく変わりません。冷凍で得られるメリットを、詳しくみていきましょう。
食感を楽しむ
解凍後の冷凍りんごはサクサクとしていて、生とは違った食感があります。また、りんごに含まれている果糖β型は、冷やすことで多くなる性質を持つため、冷凍は甘くなります。
そして、冷凍で壊れた細胞は、煮りんごなどの加熱料理に使うと味が染みやすくなるので、手早くおいしく仕上がります。
変色を防ぐ方法は
りんごの切り口が空気に触れことによって、茶色に変色してしまうのはポリフェノールの酸化が原因です。
塩水に漬けたり、レモン汁をかけたりする方法が知られていますが、じつは真水でも効果があります。または適度に薄めたはちみつ水に浸けるのも有効です。味の変化も伴いますから、お好みの方法を選んで防いでください。ただし、長く浸けると他の成分が水に流れ出てしまいますから、30秒程度までに。
そのまま丸ごと冷凍
冷凍方法の中でも、一番手のかからない手順をご紹介します。たくさん手に入ったときには便利ですよ。
丸ごとで冷凍する
そのまま丸ごとラップに包みます。ポリ袋に入れて冷凍庫へ保存します。逆さまにすると、エチレンガスの発生が活発になるので、おしりを下に向けてください。
解凍方法
水を張ったボウルに30秒〜1分間、冷凍りんごを浸してください。その後、手で皮をむくとスルスルとむくことができます。
ただし、皮ごとのりんごにはカリウム、ビタミンEが豊富に含まれているため、捨ててしまうのはもったいないものです。冷凍後の食感は皮も柔らかくなるため、残してみる事も試してみてください。
包丁で切り分ける事もできますが、固いのでケガをしないよう、気をつけてください。
保存期限
丸ごと冷凍したりんごは3か月をめどに召し上がってください。
冷凍りんごのコンポート
電子レンジで手早く作る、コンポートをご紹介します。冷凍りんごの柔らかさを生かして、短時間の加熱で仕上げます。アイスクリームやヨーグルトを添えて。
材料
冷凍りんご 1個
【A】
砂糖 30g
レモン果汁 大さじ1
白ワイン 大さじ1
ローズマリーなどのハーブ 適量
作り方
【1】冷凍りんごを、水を張ったボウルに浸け、ところどころ皮を残すようにしてむいてください。その後12等分にしてから芯をとります。固いので、気をつけて。
【2】耐熱ボウルに【1】を入れ、【A】となじませて平らにならします。少量の水分が蒸発してしまわないよう、ラップを落し蓋のように密着させてください。
【3】【2】の耐熱ボウルにラップをふんわりとかけ、電子レンジで4分程度加熱します。
加熱後もそのまま放置し、粗熱がとれるまでじっくりと熱をまわします。りんごが透き通ったようになれば完成です。
カットしてから冷凍
次に、カットしたりんごの冷凍もご紹介します。
りんごを切って冷凍する
定番の「くし型」でももちろん良いですが、「スターカット」と呼ばれる輪切りもお試しください。
スライスの幅はお好みで選んでください。種だけは毒性があるため食べられないので、注意が必要です。芯全体は捨てる必要がありませんが、クッキー型で抜くと、華やかになります。
断面がくっつかないようにラップを挟み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。
解凍方法
半解凍でそのままシャーベット感覚で食べられます。または、凍ったまま煮りんごなどに加工するのも、カットされているのでスムーズですね。
保存期限
カット後の冷凍りんごは1か月を目安に召し上がってください。
すりおろして冷凍
まとめてすりおろしておくと、活用方法が豊富です。消化が良いので、体調不良の際には活躍しますよ。
冷凍の詳しい方法をご紹介します。
おろしりんごの冷凍方法
おろしやすい形にカットしたりんごを、おろし器ですりおろしていきます。量が多い時はミキサーなどを使うと作業が楽です。
変色の防止のために、少量のはちみつを加えて全体になじませます。お好みでレモン汁に代替えしたり、または両方を加えたりするのもOKです。お好みで調節してください。
平らになるように、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。薄くしておくと、カットしながら使えて便利です。
保存期限
おろしりんごの冷凍は、1か月を目安にお召し上がりください。
おろしりんごのパイ
冷凍りんごを解凍せずに加熱して、ジャムを作り、りんごパイに仕上げます。
材料
冷凍したおろしりんご 200g
冷凍パイシート 2枚
砂糖 20~30g
レモン汁 大さじ1
卵黄 1個分
作り方
【1】耐熱容器に、おろして冷凍したりんごを割り入れ、砂糖を加えます。この時点では凍ったままです。電子レンジ600wで3分程加熱して、ザックリと混ぜ合わせます。
【2】再度加熱します。600wで6分程ですが、水分が少なくなるまで調節してください。
【3】冷凍パイシートを用意して、半分側に包丁で切れ目を入れます。もう半分に粗熱をとった【2】を乗せます。パイシートを二つ折りにして、閉じてください。卵黄が糊の役目を果たします。
【4】210℃に温めたオーブンで20分焼き、焼き色がついてきたら180℃で10分焼きます。焦げそうな時はアルミホイルでカバーしてください。
冷凍りんごで作れるお弁当レシピ
ここからは、お弁当にも使えるりんごのレシピをご紹介します。
レシピでは生のりんごを使っていますが、冷凍りんごでの代用もできますから、ぜひ作ってみてください。
さつまいもと あったかすりおろしりんご
使う食材はシンプル! 自然の甘みと酸味を生かして。風邪や体調不良のときにも。
◆材料
(子ども3~4人分)
さつまいも 150~200g
塩 少々
りんご 1/4個
【A】
砂糖 20g
水 150cc
【B】
片栗粉 小さじ1
水 小さじ2
◆作り方
【1】さつまいもはよく洗い、1cm幅の輪切りにし、水にサッとさらす。鍋に入れて水(分量外)をひたひたに注ぎ、塩を加えて7分ゆでて、水けをきる。半分に切って器に盛る。
【2】鍋に【A】を入れ、りんごをすりおろしながら加え、中火にかけて1~2分煮、混ぜた【B】を加えてとろみをつける。【1】にかける。
*お好みでレモン汁をかけても。
教えてくれたのは
青木恭子さん
小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は雑誌やWEBなどで活躍。
『ベビーブック』2013年2月号
豚肉のひとくちソテー りんごソース
秋の味覚・りんごを使った豚肉料理で、甘酸っぱいソースが相性抜群! 型抜きした野菜を盛りつければ、かわいいビジュアルに子どもも喜んで食べてくれるはず!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
豚しゃぶしゃぶ用肉 300g
りんご 1/2個
玉ねぎ 1/2個
オリーブ油 大さじ2
バター 大さじ1
【A】
固形スープの素 1個
水 150cc
塩 適量
【B】
片栗粉 大さじ1
水 大さじ2
◆作り方
【1】りんごは皮のままいちょう切りに、玉ねぎは薄切りにして半分の長さに切る。豚肉は1枚ずつ端からくるくる巻き、塩少々をふる。
【2】フライパンにオリーブ油を熱して豚肉を炒め、塩少々をふって取り出す。
【3】【2】のフライパンをサッと拭き、バターを入れて熱し、玉ねぎを炒める。しんなりしたら、りんごを加えて炒め、【A】を加えて5~7分ほど煮る。塩小さじ1/2で味を調え、混ぜ合わせた【B】を加えてとろみをつける。
【4】【2】を半分に切って器に盛り、【3】のソースをかける。
*ゆでて型抜きしたにんじん、ブロッコリーを添えても。
教えてくれたのは
鈴木薫さん
シンプルで、おいしくて、センスのいいレシピが人気。双子の女の子と男の子のママ。
『めばえ』2013年11月号
鶏もも肉とりんごのチーズ焼き
バターでソテーして風味をつけてから焼く。鶏肉にリンゴの甘味も染みわたり、リンゴと鶏肉のアンサンブルが深い味わいに。
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
鶏もも肉 1と1/3枚
りんご 1個
塩・こしょう 各少々
バター 20g
サラダ油 適量
スライスチーズ 2と1/2枚
◆作り方
【1】りんごは洗って芯を除き、皮ごと薄切りにする。鶏もも肉は皮を除いて一口大に切り、塩、こしょうをふる。
【2】フライパンにバターを溶かし、りんごを炒めて取り出す。サラダ油を足し、鶏肉を焼く。
【3】バットに【2】の鶏肉とりんごを交互に並べて、スライスチーズをのせ、オーブントースターで7~8分、チーズが溶けるまで焼く。
*イタリアンパセリを飾っても。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
「ル・コルドン・ブルー」やイタリアにて料理を学び、 OLから料理研究家に転身。現在、「料理教室Assiette de KINU」を主宰。男の子のママでもある。
『ベビーブック』2013年5月号
冷凍保存は加工もしやすい
人類が最初に口にした食べ物はりんご、と言われるだけに、形や色も直球で心に飛び込んでくるのが、りんごの魅力ですね。世界中で栽培が行われていますが、日本の品種は海外でも人気があるそうですよ。
お菓子や、ジュース、リンゴ酢、アップルティーと、様々な活用方法で愛されています。冷凍は繊維が壊れるため、加工調理に最適で、長期間楽しめる保存方法でもありますから、上手に活用して味わってくださいね。
構成、文、写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)