絵本の「読み聞かせ」がもたらす4つの効果とは?子供を叱る回数が減るママ続出!

ママたちの間で、読み聞かせボランティアが人気です。PTAで、読み聞かせタイムを担当している方も多いのでは。「おもしろかった!と子ども達から声をかけられてうれしい」「本選びには悩むけど楽しい時間」と経験者ママからは「充実」との声も多数。

「絵本スタイリスト」®で、「絵本の読み聞かせのコツ」講座を主催する景山聖子さんに、子どもが夢中になる読み聞かせ方についてアドバイスをいただきました。

読み聞かせは、なんと!ママにも「子育てのごほうび」をもたらしてくれるそうです。

 

読み聞かせは「大人の気持ちを整えてくれる」効果も

読み聞かせには読んでいる大人側の心身バランスを整える効果が高いと言われています。「ママ、子ども的にはそれよりもこっち」など、普段は教える側のママが、子どもに助けられるという別のバランスが生まれ、わが子との関係が変わってくるのです。

あるママが子どもに本の相談をしたところ、「ウケないかもしれないけど、ママが好きならやってごらんよ」と言われたそう。ママは、「果たして自分は、子どもに対してこんなふうに言ってあげられているだろうか」と反省したとか。

読み聞かせがもらたす、4つのいいこととは

私が主宰する「読み聞かせの講座」でも、受講希望のママが年々増え、人気の高まりを感じています。その背景には、次の「4つのいいこと」があるのでは、と思っています。

 ①ママにもスポットライトが当たる

家族のサポート役として、裏方に回りがちなママ。ところが読み聞かせの場では、自分がスポットライトを浴びるうえ、キラキラした子どもたちの視線を集めることもできます。また読み聞かせの当日は、洋服やメイク、ヘアスタイルなども「きれいにしよう」という意識が働いて、ママ自身、心地よい気持ちになれるのだそうです。

 ②子どもと一緒に物語の世界に入れる

大人になると、物語の主人公になりきることができなくなります。一方、小3くらいまでの子どもは、現実と空想の世界を行き来できる存在。そんな子どもの力によって、大人は読み聞かせをしている間だけ、一緒に物語の世界に連れていってもらい、登場人物になりきる冒険を味わうことができるのです。

③絵本にはママの心を整える作用がある

「読み聞かせをしたあとは、わが子を叱る回数が減る」というママはたくさん!  それは、絵本自体に大人の心を整える作用があるから。子どもとの読み聞かせで触れた絵本が、ママの抱えている悩みに対して、答えをくれることがあるのです。「絵本は腕のいいカウンセラー」とも呼ばれ、子育てのイライラを和らげてくれる効果があります。

 ④わが子との関係が変わる

読み聞かせの現場では、「いいと思った本がまったくウケなかった」ということが多々起こります。そんなときに助けになるのが、わが子の意見。

 

上手に読もうとした途端に離れてしまう子供の心

  読み聞かせの先生は「子供」です

大人は普段、比較や評価の世界で生きています。でも読み聞かせの空間に行くと、子どもは比較も評価もせず、「うまい・下手」では聞いていないことがわかります。かつてナレーターとして、NHKラジオで朗読番組をもっていた私自身が、そのことを痛感した出来事がありました。

とある小学校にお声かけをいただいたので、いつもの調子で読み聞かせをしたところ……。先生方は感動して泣いているのに対し、子どもたちの反応はいまひとつ。気になったので、教室の外でどもたちに感想を聞くと、「上手だったけど、もっと楽しいお話がよかった」と言われたのです。

以来、公園にいる子どもたちを相手に、読み聞かせのパフォーマンスを始めました(いま思うとすごい勇気ですが、それだけ読み聞かせにハマったとも言えます)。まさに「先生は子ども」。その経験が私に、「子どもが本当に喜ぶ読み聞かせとは何か」を教えてくれたのです。

ひとつは、上手に読もうとしたとたん、子どもの心は離れるということ。なので私はプロの声で読むのをやめ、わが子と話すときの地声で読むことにしました。すると、前よりも子どもたちが聞いてくれるようになったのです。

目を見て話しかけるように読み聞かせることで、子供達は集中します

もうひとつは、技術で読むのではなく、子どもと「対話する」こと。「読む」のではなく、「目を見て話しかける」ように内容を伝えたとたん、騒いでいた子は静かになり、子どもたちが集中していることに気づきました。発声などの技術は、まったく必要なかったのです。

読み聞かせは、一度かぎりのコミュニケーションであり、ライブ。同じ絵本でも、出会う子どもたちによって、その空間は変わります。経験者のママも、これからのママも、子どもたちとの対話を重ねて、素敵な空間をつくってほしいと思うのです。

景山聖子・著 小学館

『子育ての悩みには”絵本”が効く!ママが楽になる絵本レシピ31』

景山聖子 かげやま・せいこ

絵本スタイリスト®。2013年に(社)JAPAN絵本よみきかせ協会を設立。代表理事を務める。地方局アナ、テレビ朝日などの番組リポーターを経て独立。現在、全国で「絵本の読み聞かせのコツ」講座を開講。(社)全国心理技能振興会認定 心理カウンセラー。著書に『子どもが夢中になる 絵本の読み聞かせ方』(廣済堂出版)、最新刊に『子育ての悩みには”絵本”が効く!ママが楽になる絵本レシピ31』(小学館)。

構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事