大福は冷凍して楽しむ
甘いあんこがお餅に包まれた大福は、和菓子とお餅という、二つの特性をあわせ持ちます。冷凍保存には適しているのでしょうか。詳しくみていきます。
冷凍しやすいあんこ
中身のあんこは、栄養豊富な小豆と砂糖が主な原料です。冷凍しても問題はなく、むしろ少量ずつ使うための保存方法としては必須テクニックです。栄養面や食感が損なわれる心配もありません。あんこの冷凍については、こちらをご参考にしてください。
▼参考記事
もち米から作られる皮
あんこを包む皮は、もち米から作られた「もち粉」、または「白玉粉」が使われます。「もち粉」は洗った米を乾燥させ、粉にしたものです。和菓子の求肥(ぎゅうひ)にも使われるように、きめの細かい食感のお餅になります。
一方の「白玉粉」は、粉にしたあと、一度水に沈殿させ、乾燥させています。沈殿する成分にはでんぷん質が多く含まれるため、もちもちとした柔らかな食感になり、次の日でも固くなりにくい特徴として表れます。どちらかというと、安価で手に入りやすいのは「白玉粉」です。
どちらも、もち米から作られているのは同じで、こちらの記事が参考になります。
▼参考記事
大福の冷凍方法
それでは、具体的な冷凍の手順を確かめていきます。
冷凍の手順
ひとつずつラップでぴっちりと包み、冷凍用の保存袋に入れて封をします。これを冷凍庫で保存します。
ポイント
包む時は粉がこぼれるので、下に敷物があると汚れません。また、袋に詰めすぎると形が崩れますから、空間に余裕をもって冷凍庫へ入れてください。
保存期限
1か月程度を目安に、冷凍保存ができます。
冷凍大福の解凍方法
ご家庭で冷凍した大福を、おいしく解凍する手順を確認します。
冷蔵庫で自然解凍
【1】冷凍庫から冷蔵庫に移し替え、2~3時間で解凍できます。
【2】常温にしばらく置いておくと柔らかさが戻ってきます。または、食べる直前に、電子レンジで10秒程度温めると、一層おいしいですよ。
電子レンジで
【1】冷凍庫から取り出した大福を、耐熱皿の上に乗せます。
【2】電子レンジの低いワット数で1~2分加熱します。かたい場合は、様子を見ながら30秒ずつ加熱するとおいしくいただけます。
クリーム大福の冷凍と解凍方法
クリーム入りの大福は冷凍保存できるのでしょうか。
冷凍の手順
【1】大福の手順と同じで、ひとつずつラップでぴっちりと包んでください。
【2】冷凍用の保存袋に入れて封をし、金属のトレイに乗せたまま冷凍庫で保存します。
ポイント
クリームが分離するのを防ぐためには、急速冷凍が必要です。金属のトレイに乗せ、さらに3時間ほどは冷凍庫を開けないように気をつけます。
保存期限
2~3週間程度の保存ができます。
解凍方法
【1】冷凍庫から冷蔵庫に移し替え、2〜3時間程度で解凍できます。冷たいまま食べてもおいしいです。
【2】しばらく常温に置くと、柔らかさが戻ります。
ポイント
電子レンジでの解凍や、トースターでの加熱はクリームが溶けだしてしまうので、おすすめできません。
いちご大福の冷凍と解凍方法
冷凍したいちご大福は、おいしさは保たれているのでしょうか。また、いちごだけでなく、フルーツ大福は冷凍して販売がされています。冷菓としていただく大福ですが、なかなかおいしく解凍ができない、との声もお聞きします。解凍のコツをみていきます。
冷凍の手順
【1】ひとつずつラップでぴっちりと包み、冷凍用の保存袋に入れて封をします。
【2】急速冷凍が必要ですから、金属のトレイにのせたまま、冷凍庫へ入れてください。
解凍は自然解凍
加熱はしません。冷凍庫から冷蔵庫へ移し、3時間程度で皮が柔らかくなります。冷たいあんこと、さらにヒンヤリとした、いちごを楽しんでください。
ご家庭でいちご大福を冷凍保存する際は要注意
ご家庭の冷凍庫では、いちご大福をはじめフルーツ入りの大福を冷凍するのは難しいものです。急速冷凍に限界があることから、フルーツの劣化を招いてしまいます。どうしても冷凍が必要な場合でも、保存期間は少しでも短いほうがおいしさは保たれます。長期保存ではなく、日持ちを伸ばす程度とお考えください。
また冷凍前のフワフワした柔らかさは、どうしても消えてしまいます。凍ったままの部分が少々あり、皮はもっちりとした食感になりますが、そのまま冷たいお菓子としていただきます。
常温で放置しておくだけだけだと、フルーツが柔らかくなりすぎるのでご注意ください。
冷凍を活用して作るフルーツ大福
ご家庭でフルーツ大福を作る場合は、皮だけをその都度焼き上げ、解凍したあんことフルーツを包む、という方法で手軽に作ることができます。あんこの冷凍は簡単ですから、旬のフルーツを選びながら組み合わせを楽しめます。
いちご大福の作り方
Hugkumのサイトから、人気料理家によるいちご大福のレシピをご紹介します。
あんこは市販のものを使い、手作りの皮で包みます。白玉粉は手に入りやすく、伸びが良いことから、きれいに包みやすい皮になりますよ。電子レンジと、フライパンでの焼き方が掲載されていますから、作りやすい方法を選んでくださいね。
いちご大福(卵・乳製品・小麦なし)
もち米が原料の白玉粉を使った和風おやつ。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
【A】
白玉粉 100g
砂糖 40g
水 120cc
片栗粉 適量
いちご(小) 5個
練りあん 150g
◆作り方
【1】練りあんを5等分していちごを包み、ラップをかけ、冷蔵庫で冷やす。
【2】【A】を耐熱ボウルに混ぜ合わせ、水を少しずつ加えながらよく混ぜる。ラップをかけ、電子レンジ(600Wの場合)で1分加熱し、取り出して混ぜ、1分30秒加熱して混ぜ、さらに30秒~1分加熱する。片栗粉を広げたバットなどに取り出して、粗熱をとる。
【3】手に片栗粉をつけて【2】を5等分にし、丸めてから手で軽く押さえてつぶし、【1】を包む。
教えてくれたのは
阪下千恵さん
栄養士。2人の女の子のママ。「複数の食物アレルギーがある長女のために、家族みんなで食べておいしい料理作りを試行錯誤してきました。その中から、ずっと作り続けている、わが家で人気のレシピを紹介します」
『ベビーブック』2011年4月号
いちごのあん巻き
もち生地でくるっと包むだけ。大福に入るといちごが一層みずみずしく感じられます。
◆材料
(10個分)
いちご 10個
白玉粉 100g
水 200cc
【A】
薄力粉 50g
砂糖 15g
あん(市販) 約100g
※いちごは中サイズを使っています。いちごの大きさによって調節してください。
◆作り方
【1】いちごはヘタを除いて、食べやすく切る。
【2】ボウルに白玉粉を入れ、水を少しずつ加え、手で粉のダマをつぶしてなめらかにする。【A】をふるい入れ、泡立て器で粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
【3】フッ素樹脂加工のフライパンに【2】の適量を細長く流し、弱火で色をつけないよう両面を焼く(約10枚)。
【4】【3】に丸めたあんと【1】をのせて巻く。
教えてくれたのは
柳瀬久美子さん
フランスに留学し、フランス家庭のお菓子と料理をマスター。簡単でおいしくて、おしゃれなレシピが人気。
『ベビーブック』2012年3月号
食べごたえのある大福は、ぜひ冷凍保存を
しっかりと食べごたえある大福は、活発なお子さんのおやつや、忙しい日のスタミナ補給に喜ばれます。一方で、思ったよりも食べられなかった場合などは、困りますよね。そんな時に冷凍しておけば、頼もしいおやつになりますから、ぜひ冷凍保存を活用してください。もうひと頑張りしたい時に、助けてくれる甘味になりますよ。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)