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エアコン工事費込み、これってスタンダード?
家電量販店のなかには、エアコンの価格が「取付工事費込み」で表示されているところもあります。メーカーはエアコンの価格をオープン価格にしており、販売価格は小売業者に任されています。
一方で、工事費を含まず、本体価格のみを表示し、工事費は別なっているところもあります。その場合も、基本的な工事費は明示されています。
エアコン工事費込みの相場
「取付工事費込み」の場合、あるいは本体とは別に「工事費」が設定されている場合、注意したいことは、どんな工事でもOKなわけではないことです。よく見ると、「標準取付工事」とか「基本取付工事」などと書かれています。標準工事の内容と相場、標準工事に含まれない追加工事の内容と相場を見てみましょう。
標準工事
標準工事や基本工事は、細かいところはお店によって異なりますが、おおむね次のような内容になっています。
・エアコン本体(室内機)の取り付け
・室外機の設置
・配管(4m以内・テープ巻き仕上げ)
・真空引き
配管のための穴あけは、標準工事に含むところ、含まないところがあります。さらに取り付けるエアコンの冷房能力によって、金額が変わります。大手家電量販店の工事費は以下のようになっています(価格はすべて税込)。
ヤマダ電機
・3.6kW以下 ¥10,466
・3.7kW~4.0kW ¥15,714
・4.0kW超 ¥18,857
ヨドバシカメラ
・2.2kW〜3.9kW 10,780円
・4.0kW〜 15,950円
追加工事
標準工事は、簡単にいうと、エアコン取り付け工事がすぐに完了するケースを想定しています。前述した条件に合わない場合は、追加工事が必要になります。
大手家電量販店の追加工事の例を紹介します。
ヤマダ電機
・コンクリート穴あけ(1〜15cm) 10,000円〜
・室外機取付(屋根置き)既設架台6,000円〜/新規架台13,000円〜
・化粧カバー取り付け(室外:2mまで)5,000円
ヨドバシカメラ
・穴あけ工事 3,300円〜
・貫通スリーブ 1,650円
・室外機取付(屋根置き)11,000円〜
・配管カバー(室外:2mまで)5,500円/8,800円
・配管カバー(1mまで:室内)7,700円/11,000円
エアコン取り付け工事は自分でできるの?
「できるか、できないか」でいえば、エアコン取り付け工事は自分でできます。DIYがブームになっていることや、インターネットで取り付け方法が紹介されていることもあり、実際に取り付けを自分で行う人もいるようです。必要な工具のレンタルサービスもあります。
ただし、エアコンの取り付け工事は、エアコン本体(室内機)の設置、配管、室外機の設置、さらに真空引きなど、工事の内容が多岐にわたるうえ、作業の内容が難しいものになっています。
エアコンの取り付け工事は、自分でもできるけれどリスクが高く、専門の業者に依頼することが一般的、と考えたほうがよいでしょう。
エアコン工事の流れ
エアコン工事の基本的な流れを見ていきましょう。実際は、設置場所などによって、内容は変わってきます。あくまでも標準的な場合です。
家電量販店でエアコンを買い換え、取り付け工事も標準的な内容に収まりそうな場合は、特に事前の見積りを行わないケースもあります。ですが、取り付けに不安がある場合や、本体の購入とは別に、取り付け業者に工事を依頼する場合は見積りを取るようにしましょう。
エアコンが取り付けられないケース
すでに一般的なエアコンが取り付けられていて、買い替えで新しいエアコンを設置するのであれば、おおむね問題はありませんが、場合によってはエアコンが取り付けられないケースがあります。
かなり古いエアコンが取り付けられていて、特殊な配管になっている場合は、取り付けの難易度が高くなり、業者によっては対応しないケースもあるようです。また部屋の造りによっては、そもそもエアコンを取り付けるスペースがないこともあります。
所要時間、日数
エアコンの取り付け工事は、標準工事が問題なく進んだ場合、1時間30分〜2時間程度で完了します。追加工事が必要な場合は、さらに時間がかかります。
内容と流れ1:穴あけ
配管用の穴が開いていない場合は、取り付け場所の近くに配管用の穴を開けます。木造の場合は、標準工事費に含まれていたり、追加工事の場合も数千円で収まるようです。
内容と流れ2:据付板の取り付け
エアコン本体(室内機)はそのまま壁に取り付けるのではなく、室内機を壁に固定するための「据付板」を使って取り付けます。
内容と流れ3:エアコン本体(室内機)の取り付け
壁に取り付けた据付板にエアコン本体(室内機)をひっかけて、取り付けます。
内容と流れ4:室外機の設置
室外機を設置します。軒下やベランダに設置する場合は標準工事に収まりますが、屋根に設置したり、壁に取り付ける場合は追加工事が必要になります。
内容と流れ5:配管の接続
エアコン本体(室内機)と室外機の冷媒配管をつなぎ、排水のためのドレンホースを室外機に接続します。
内容と流れ6:真空引き
室外機と配管の内部を乾燥させるための作業です。エアコンを正常に機能させるために必要になります。
内容と流れ7:冷媒ガスの開放
配管の中に冷媒ガス(フロンガス)を充満させます。
内容と流れ8:端子の接続
室内機と室外機をつなぐ端子を接続します。
内容と流れ9:穴のすき間をうめる
配管を通した壁の穴のすき間を埋めます。
内容と流れ10:試運転
試運転をして、確認。エアコンが正常に動いていれば完了です。
エアコン取り付けの注意点やトラブル
「最新モデルを選んだのに取り付けられない」そんなトラブルを避けるための注意点を確認しておきましょう。
エアコン本体(室内機)の取り付け場所
エアコン本体(室内機)の取り付けには通常、天井、左右の壁との間に5cm以上の余裕が必要です。カーテンボックスやカーテンレールが干渉してしまう場合もあるので、注意が必要です。
配管用の穴
取り付け場所の近くに配管用の穴がすでにあるか、穴が開けられるかを確認してください。マンションなどは配管用の穴が設置されていることが多いですが、穴を開ける場合は一般的に管理組合の承認が必要になります。
また配管が壁の中を通っている隠蔽配管の場合、工事が難しかったり、取り付けられるエアコンが制限されることもあります。
室外機の設置場所
エアコンには室外機が必要です。室外機はエアコン本体(室内機)から近い場所に設置します。室外機の設置にもある程度のスペースが必要になります。
また地面やベランダに設置する場合は、おおむね標準工事に含まれますが、屋根の上に設置したり、壁に取り付ける場合は追加工事が必要になります。
電源や電気容量
エアコンには専用コンセントが必要です。ない場合は、設置工事が必要になります。
電気容量が不足していると、エアコンを使っている際にブレーカーが落ちてしまいます。電力会社に連絡して、契約アンペアを増やしてください。
エアコン取り付け業者の選び方
家電量販店に取り付け工事を含めて依頼するのではなく、ご自分でエアコン取り付け業者を選ぶ場合は、どのような点に注意すればよいでしょうか。
実績や顧客の声を確認
取り付け業者を探す場合、ほとんどはインターネットで検索して、調べることになるでしょう。
業者のホームページを見て、取り付けの実績(件数)や顧客の声を確認してください。数年分の実績が紹介されているところや、リアルな顧客の声が紹介されているところは信頼できると考えてよいでしょう。
見積りが詳細
取り付けの見積りを依頼し、その内容が詳細に記載されているかをチェックします。複数の作業が「一式」でまとめられていたり、「実際にやってみないとわからない」などの場合は、工事がずさんだったり、請求が思った以上に高額になるなどのトラブルにつながる可能性があります。
保証内容が充実
取り付け工事をきちんと行っても、不具合が出ることはあります。工事後の保証が充実している業者を選ぶと安心です。
工事不要のエアコンのおすすめ
エアコンの取り付け工事ができない場合は、工事が不要なポータブルエアコンや窓に取り付けられる窓用エアコンがあります。
ポータブルクーラー IPP-2621G(アイリスオーヤマ)
設置工事が不要、キャスター付きでどこでも移動できるポータブルクーラー。除湿機能付きで、梅雨時期にも活躍します。排気ダクトを簡単に窓に固定できる窓パネル付き。
リララウインドエアコン CW-FA1621
室外機が置けないマンション廊下側の部屋や、賃貸マンションなど壁に穴を開けられない部屋にも設置できる窓用エアコン。アルミ製標準窓枠付き。10年交換不要フィルター、マイナスイオン発生機能を搭載。
窓用ルームエアコン JA-16V(ハイアール)
壁に穴を開ける必要もなく、室外機を置くスペースがなくてもOK。移動や引っ越しも楽々。マイナスイオンでお部屋の空気をリフレッシュします。
エアコン取り付けは早めの検討を
エアコンの取り付け工事は、集中すると工事までに思いがけず日数がかかることもあります。また今は新型コロナウイルスの影響によるテレワークで自宅にいる時間が増え、エアコンの新設や買い替え需要が高まっているともいえます。
エアコンの取り付けを考えている人は早めに検討したほうがよいでしょう。
文・構成/HugKum編集部