知ってる?「了解・了承・承知」の使い分け方【知って得する日本語ウンチク塾】

もともとは、それぞれが違う意味だった

実はこの3語は、もともとは違う意味の語です。

「了解」は、相手の話を理解したうえでそれを認めること。

「了承」は、それを受け入れること。

「承知」は、事情などを知っていること。

 

 という意味です。

つまり、3語の中では、「了解」が、「書かれた内容を了解する」のように、わかるという意味合いがもっとも強いようです。

「了承」は、「申し出を了承する」のように、承認するというニュアンスが強い気がします。

「承知」は「無理を承知でお願いします」のように、単に知っているというニュアンスが強いと思います。

 

それぞれの本来の意味によって、この3語は使い分けられることもあるのですが、「少し遅れますので御〇〇ください」という場合、「了解」「了承」「承知」のどの語を使うかで、意味合いの微妙な違いは感じられます。でも、おそらく実際にこの語を使っている人はそれほど厳密な使い分けを意識していないと思います。わたしは、それでもいいのだろうと思っています。

目上の人に「了解」を使うのはマナー違反?

ただ、これらの語に関して、マナーの問題として取り上げる人がいます。相手から何か頼まれたときに、「了解しました」と言うと、「了解」は軽い感じがするので、ビジネスの場などの改まった場面や目上の人に対しては使うべきではないというのです。この場合は、「承知しました」などと言うべきだとされています。

これはあくまでマナーに関することで、本来ことばの意味とは無関係なことです。でも、「了解」を目上の人に使うのはよくないという人がいるということは、おぼえておいても損はないと思います。

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記事執筆

神永 暁|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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