「苗字」と「名字」の違いって? どんな時にどっちを使うの? 「姓」についてもあわせて解説

「苗字」と「名字」はどちらも「みょうじ」と読む言葉です。同じ読み方ですが漢字表記が異なる「苗字」と「名字」。この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。また、シーンによって使い分ける必要があるのでしょうか。ここでは、「苗字」と「名字」について徹底解説します。

苗字(名字)とは

「苗字」と「名字」の違いについて触れる前に、まずは苗字(名字)の知識を深めていきましょう。

苗字(名字)の由来

日本にはさまざまな苗字(名字)が存在します。そのひとつひとつに由来があり、由来を知ることで苗字(名字)が生まれた時代背景やルーツを知ることができますよ。

地名に由来

日本人の名字で、最も多いのが地名を由来とするもの。地名に由来する名字は名字全体の8割以上を占めています。

もともと苗字(名字)は地名を名乗るために生まれました。貴族は母親の邸宅で育つことが多かったため、育った母方の地域名を苗字(名字)とするケースが多く見受けられます。その後、自ら土地を開拓したり新たな土地を支配したりすることで受け継がれた苗字(名字)が広がっていきました。

長い間ずっと同じ土地に住み続けている人は自分たちがその土地で有力であることを誇示するため、長く住み続けている土地の地名を名字として名乗ることもあったそうです。地名に由来する名字は、特定の地名を指しており、ルーツを探りやすいですね。

地名に由来する名前は、畠山、細川、足立、長尾、三好、甲斐、大村、日高、梶原、宇野、丹羽などです。

地形に由来

地名に由来する名字に次いで多いのが地形に由来する名字です。自分たちが住む土地の地形や風景から名字を名乗っていました。山、川、池、田、畑、森、原などです。

しかし、この一文字だとほかの人と苗字(名字)が被ってしまうため、方向や位置と組み合わせることで差別化を図ります。山の下に住む者は山下、川の北側に住む者は川北などです。地形に由来する名字は似たような風景の場所が多いため、ルーツを探るのは少し困難でしょう。

地形に由来する名前は、松下、北村、川上、奥村、北川、中沢、上原、中原、西岡、北野などです。

職業に由来

職業に由来した苗字(名字)もたくさん存在します。職業には公的な仕事、私的な職業、生業などさまざまですが、公的な職業には役職名・官職名にちなんだ苗字(名字)が多いです。

たとえば機織り役人には織っているものに合わせて服織部や錦織部と付けられ、そこから服部や錦織と言った苗字(名字)が生まれます。また、村を統括する村長は村主、荘園を管理する役人は庄司、役所の仕事や税の取り立てを行う役人は公文や税所、動物を管理している役人にはその動物の名前を付けて鵜飼や鳥飼、犬養といった苗字が使われました。商売をしている人には屋という漢字を付けて名字にすることも。

職業に由来する名前は、錦織、服部、庄司、大倉、犬飼、鵜飼、公文、税所、郡司、村主などです。

貴族に由来

貴族由来の名字とは「源平藤橘」を由来とする苗字(名字)のことです。この4つの中で最も多数なのが藤原氏の由来で生まれた「藤」。日本人に多い苗字(名字)ランキング上位100位の中に「藤」が付くものは約10個ランクインしています。

藤原氏を象徴する人物、藤原道真は自分の娘たちを天皇の皇室に入れ、自らの地位を確かなものにしていました。この道真の策略により、平安時代には貴族の半数以上が藤原氏を占めるようになります。同じ氏族の中でも身分や家系で判別できるようにするため、「藤」に所有する土地の名前を取り入れ、伊藤、遠藤、加藤などの苗字(名字)が名乗られるようになりました。

また、土地の名前だけではなく、職業や役職に関する文字を取り入れた藤原氏もいます。貴族に由来する名前は、佐藤、伊藤、斎藤、内藤、遠藤、工藤、後藤、近藤、安藤、須藤、武藤などです。

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「苗字」と「名字」の違いは?

では、「苗字」と「名字」はどのように違うのか解説していきましょう。

苗字とは

「苗字」は「家の名」という意味の言葉です。

「苗字」に使われる「苗」は種から芽を出して間のない草や木という意味が一般的ですが、子孫や血すじという意味もあります。

「苗字」が使われていたのは主に江戸時代。家が代々続くようにという願いを込めて「苗」という字が当てられたと言われています。血統、血族に由来する言葉と言えますね。

江戸時代でそれまで使われていた「名字」は古語扱いされ、古い時代の物語を書くときや江戸時代以前を背景にした能や狂言の台本でのみ使われるようになりました。その後、戦後に公示された当用漢字に「苗」の「みょう」という読みが入っていないことから、「苗字」は徐々に使われることがなくなっていったのです。

名字とは

「名字」も「苗字」と同様、家の名という意味の言葉です。

「名字」は「苗字」が使われていた江戸時代よりもっと古い、奈良時代から使われていました。その後、平安時代、鎌倉時代、室町時代、1603年までの安土・桃山時代まで900年余りにわたって使われています。

「名字」は土地や地域にちなんで付けられることが多く、当時の武士が所有していた土地である名田(みょうでん)から来ています。地域、区画など、所有地に由来する言葉だと言えますね。

「苗字」と「名字」の使い分けは必要?

「苗字」と「名字」の意味や使い方に違いはありません。どちらを使っても基本的には大丈夫です。

ただし、「苗」は常用漢字で「みょう」という読み方が入っていません。一方、「名」は常用漢字で「みょう」という読み方が入っているため、学校や会社などでは「名字」という表記が使われることが多いです。どちらを使えばよいか迷ったときは「名字」を使うのが無難かもしれませんね。

「苗字」や「名字」と似た意味をもつ「姓」

「苗字」や「名字」と同じ意味を持つ言葉に「姓」があります。「せい」と読み、大昔は「かばね」と読まれていました。

「姓」は大和朝廷時代に天皇が各氏族の長である氏上に与えたもので、役職や地位を表します。公(きみ)、臣(おみ)、連(むらじ)、直(あたい)など20種類ほど存在しており、朝廷での仕事に就くためには「姓」が必要でした。

つまり、「姓」のある人は身分が高いということを証明していたわけですね。

「苗字」と「名字」について知ろう!

同じ「みょうじ」という読み方の「苗字」と「名字」。普段特に意識することなく使っている方が多いでしょう。「苗字」と「名字」、それぞれの言葉にある背景を知ることで、イメージが変わったという方もいるかもしれません。豆知識としてぜひ家族や友人に話してみてくださいね。

※苗字の由来やルーツには諸説あります

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文・構成/HugKum編集部

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