ひらがな「お」と「を」の学ばせ方。幼児教室の人気講師がパパ・ママに伝授する3つのポイント

単純に練習が足りていないだけ

わが子がこの春から新一年生になったと親御さんはもちろん、年長児になった子どもに小学校受験させたいと考える親御さん、あるいは新2年生になったのに1年生の学びが定着していないと感じる親御さん、お子さんが「お」と「を」の違いをなかなか理解できないとしたら、どのように教えますか?

分かりやすく工夫して伝えたつもりでも、なかなか理解してくれないと「なんでこんなのも分からないの」とイライラしたり不安に感じたりしますよね。

しかし、今回話を聞いた上田先生によれば、

「『お』と『を』の区別が身に付いていないのは、頭がいいとか悪いとかいった話ではありません。単純に練習が足りていないだけです」

との話。責めたり怒ったりする問題ではなく、触れる・使う機会が少ないだけの話なので、いちいち大げさに反応する必要もないのですね(そんな話を記事にしている筆者も問題なのかもしれませんが)。

『聞いて意味が分かる』『聞いて意味が分からない』を区別する

とはいえ、親として何かをサポートしてあげる・分かりやすく教えてあげる方法はないのでしょうか。

その点を聞くと、大まかに言って3段階で練習してあげるといいみたいです。1段階目は「言葉を分ける」練習です。

未就学児の子どもの場合は、まだまだ言葉を分けたり整理したりする能力が発達していないとの話。「お父さんをおんぶする」と耳にしても、大人のように「お父さん」「を」「おんぶする」と瞬時に分けたり整理したりできないようです。

なので、分けたり整理したりする練習として、

  • 絵本の読み聞かせ
  • 言葉を分ける遊び

…が効果的だと上田さんは語ります。

上田先生「耳で聞いて区切りが分からなくても、あるいは文章のひらがなが一文字ずつしか目に入ってこない状態でも、絵本の読み聞かせを通じて視覚的に言葉の区切りを理解させられます。
また『お父さんをおんぶする』の言葉も、『お父さん』って聞いて意味が分かる?『を』って意味が分かる?『おんぶする』って意味が分かる? とクイズのように問い掛けてあげると、『お父さん』は意味が分かる、『を』は分からない、『おんぶする』は意味が分かる、といった答えが返ってくると思います。
言葉を分けて聞かせて意味が『分かる・分からない』を答えさせる遊びを繰り返すと、そのうち分からない『を』の存在がはっきりと感じられるようになります。その上で、意味が分かる言葉には『お』、分からないときは『を』を使うと、タイミングを見て教えてあげてください」

年長や小学1年生になったお子さんには、言葉を分ける感覚をまずは身につけさせて、意味の分からない「を」の存在を意識させればいいのですね。

日常会話で『を』を省略しない

言葉を区切る感覚がわが子に身に付いてきたら、次は何をすればいいのでしょうか。

上田先生「言葉をつなぐ抽象的な「を」の役割を具体的にイメージ化してあげてください。
例えば男の子なら、電車の車両と車両をイメージさせて、その連結部分が『を』なんだよ、『を』にはつなぐ役割があるんだよと教えてあげてください。
女の子なら、お父さんとお母さんに囲まれて3人で手をつないでいる姿を伝えて、あなたの手が『を』の役割を果たしているんだよと教えてあげてはどうでしょうか」

抽象的な音の響きにすぎなかった「を」の存在を、子どもの関心に寄せてイメージ化してあげるのですね。

「を」に触れる・使う回数を増やす

では、3つ目のポイントは何でしょう。

上田先生「分かったとしても、すらすらと使いこなせるようになるまでには練習が必要です。
引き続き読み聞かせや音読を通じて目で見る回数を増やしたいですし、聞かせる回数も増やしたいです。
放っておくと日常会話の中で『を』は省略されがちです。保護者の皆さんの日常的な言葉遣いにも注意してみてはいかがでしょうか」

例えば「ラーメン食べる?」と子どもに言うのではなく「ラーメンを食べる?」ときちんと「を」を日常会話の中でも省略せずに使うといった意味ですね。

少し丁寧で上品な会話といった感じでしょうか。「歯、磨いた?」ではなく「歯を磨いた?」と親自身が丁寧な言葉遣いを心掛け「を」に触れさせる機会を自然に増やせるように仕向けるのですね。

なかなかわが子が「お」と「を」の違いを理解できない・上手に使いこなせない場合は、

  • 言葉を区切る感覚が身に付いていないのか
  • 具体的なイメージが持てていないのか
  • 練習や触れる機会が足りていないのか

 

わが子がどの状態にあるのかを見極めて、そっと後押ししてあげられるといいのですね。

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文/坂本正敬 写真/繁延あづさ

【取材協力】

上田尚子先生

幼児教室ひまわり副塾長・講師代表。大阪大学文学部卒。長男は灘中学・灘高校を卒業後に東京大学理Ⅲに現役で首席合格。次男は洛南中学・洛南高校を卒業後に京都大学医学部に現役合格。三男は洛南中学・洛南高校を卒業後に東京大学理Ⅲに現役合格。2,000人以上の保護者を指導してきた実績を誇る。

 

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