京都で人気の「伏見稲荷大社」の歴史・見どころ|千本鳥居やおもかる石についても解説

全国各地にある「お稲荷さん」の総本宮・京都伏見稲荷大社の歴史やご利益、おすすめの見どころを解説します。休憩場所や土産物店も、お稲荷さんらしい場所を選んでみませんか?
人気スポットやグルメスポットなど、参拝プランを立ててみましょう。

伏見稲荷大社とは

「稲荷(いなり)」は全国各地で目にする名称ですが、どのような意味があるのでしょうか?「伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)」の歴史とご祭神について分かりやすく解説します。

「お稲荷さん」の総本宮

伏見稲荷大社は、京都市伏見区にある、1300年以上の歴史を持つ神社です。稲荷神社は、全国に約3万カ所以上あるといわれていますが、伏見稲荷神社はその「総本宮」となります。

かつての京都の文化風土が記録された「山城国風土記(やましろのくにふどき)」によれば、射られた餅が白鳥に姿を変えて空を飛び、舞い降りた山に稲が生じたことから「稲荷」となったそうです。

本殿手前の「楼門(ろうもん)」は、戦国時代の武将・豊臣秀吉により造営されたもので、国の重要文化財となっています。

伏見稲荷大社「楼門」(京都市伏見区)。1589(天正17)年、豊臣秀吉によって再建された。伏見稲荷大社は、「枕草子」に稲荷詣と記されているほか、「今昔物語」などの古典にしばしば登場する。楼門前の狐像は、阿吽(あうん)のキツネで、右が「玉」を、左が「鍵」をくわえている。

 

JR稲荷駅から徒歩すぐとアクセスもよく、国内外の参詣者が多数訪れる指折りの人気スポットです。

ご祭神は五穀豊穣の神

711(和銅4)年、深草(ふかくさ)の長者・秦伊侶具(はたのいろぐ)が、天皇の勅命により、三柱の神を伊奈利山の三ヶ峰に祀(まつ)ったことが、伏見稲荷大社の起源とされています。

ご祭神はこちらの5柱です。

・宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)
・佐田彦大神(さたひこのおおかみ)
・大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
・田中大神(たなかのおおかみ)
・四大神(しのおおかみ)

主なご祭神は、食物を司る女神である「宇迦之御魂大神」です。伏見稲荷神社には、五穀豊穣・商売繁盛・家内安全・病気平癒(へいゆ)・諸願成就など、さまざまなご利益があります。

伏見稲荷大社

千本鳥居をはじめとした圧巻の景色が楽しめる

本殿までの表参道はそれほど長くなく、参拝のみなら、あっという間に済んでしまうでしょう。伏見稲荷大社の見どころは、実は本殿のさらに奥にあるのです。

朱塗りの鳥居が立ち並ぶ「千本鳥居」

稲荷神社の特徴は、朱色の鳥居です。伏見稲荷大社には「千本鳥居(せんぼんとりい)」と呼ばれる、鳥居がずらりと並んだ場所があります。入り口から見る光景は、まるで朱色のトンネルのようです。

この「稲荷塗」の朱色は、魔力に対抗できる色として、稲荷大神の力を表す色であるとされています。原材料である丹(に、水銀)が、防腐剤としての役割も果たしています。

鳥居には、願いと感謝が込められ、江戸時代からいくつもの鳥居が奉納されてきました。現在では境内の参道全体に、約1万基もの鳥居が立っています。

「千本鳥居」。赤い回廊が延々とつづくが、願い事が「通るように」、あるいは「通った」という御礼を込めて、鳥居の奉納が江戸時代から広まった。

稲荷山からの絶景を拝む「お山めぐり」

伏見稲荷大社の境内は、約87万平方mと広く、稲荷山全体が信仰の対象です。

「お山めぐり」では千本鳥居を抜け、まずは「おもかる石」のある「奥社奉拝所(おくしゃほうはいしょ)」に向かいます。さらに先へ進み、随所にあるお社や塚を訪れます。

展望台となっている「四ツ辻(よつつじ)」は、街並みを一望できる絶景ポイントです。ここで2方向に道が分かれているので、好きな方へ進みましょう。最高峰は標高233mの「一ノ峰上社(いちのみねかみしゃ)」です。

上り下りしながら約4km、大人の足で2時間ほど歩きます。ところどころに休憩所や売店があるため、時間に余裕を持って歩きやすい服装で向かうとよいでしょう。

子どもも楽しめる! 伏見稲荷大社の人気スポット

景色を眺めたり散策したりしてばかりだと、子どもは早々に飽きてしまうかもしれません。そこで好奇心旺盛な子どもが、興味を持ちそうなスポットを紹介します。

個性的な絵馬が目を引く「きつね絵馬」

奥社奉拝所には、白狐(びゃっこ)の顔を土台にした「きつね絵馬」という願掛け絵馬があります。

キツネは稲荷大神のお使いとされており、境内のあちこちにキツネの姿が見られます。動物のキツネとは異なる存在で、大神と同じく私たちの目には見えません。そのため「白(透明)なキツネ=白狐」と呼ばれます。

「きつね絵馬」の土台は、つり目のみのごくシンプルな状態です。この土台に願い事だけではなく、思い思いの絵を書き足していきましょう。

奉納された絵馬を見てみると、どれも個性的な顔が描かれています。この機会に筆をふるい、自分だけの「きつね絵馬」を奉納してみてはいかがでしょうか。

「白狐絵馬(きつねえま)」。キツネの「すっぴん」といえる「つり目」のお顔に、表情が自由に描きたしてあって、楽しんで奉納ができる。

祈願成就の成否を占う「おもかる石」

奥社奉拝所の右側には、2基の石灯篭(いしどうろう)があります。灯篭の上にある丸い石(空輪)が「おもかる石」です。重さによって願い事のかないやすさを占えるといわれています。

まずは石灯篭の前に立って願い事を祈念し、それから両手で空輪をそっと持ち上げてみましょう。想像したよりも軽く感じたら願い事はかない、重く感じたら、かないにくいとされています。

一説によれば、意思の強さで感じる重みが変わるそうです。「絶対にかなえたい」と強く祈願成就を念じれば、おもかる石が軽く持ち上がるかもしれません。

「おもかる石」。いわゆる試し石だが、「重い」と感じる人のほうが多い、とか?

伏見稲荷大社の境内にあるグルメスポット

お山めぐりまですると、だいぶ足もだるくなり、ひと休みしたくなるかもしれません。伏見稲荷大社の境内には、おいしいスイーツがいただけるカフェがあります。

お土産選びにおすすめのお店もチェックしておきましょう。

美観とスイーツが楽しめる「稲荷茶寮」

八島ヶ池のほとりには「啼鳥菴(ていちょうあん)」という休憩所があります。晴れた日には、テラス席で風を感じるのもおすすめです。

お腹(なか)が空いたときは、この啼鳥菴の中にある「稲荷茶寮」という日本茶カフェへ向かいましょう。

抹茶を使ったスイーツがメインで、小さな朱色の鳥居の乗った「稲荷パフェ」は子どもが喜びそうなかわいらしさです。甘味が苦手という場合には、特製の抹茶そばもいただけます。

水辺にあるため、川のせせらぎが耳に心地よく、緑豊かな庭園が目を楽しませてくれるでしょう。

稲荷茶寮

お土産におすすめ「総本家いなりや」

伏見稲荷大社の名物土産として、「いなり煎餅(せんべい)」を思い付く人も多いのではないでしょうか。この煎餅の元祖とされるのが「総本家いなりや」です。

伏見稲荷大社の裏参道は、土産物屋や茶屋が並ぶ商店街となっています。総本家いなりやも、この京都伏見稲荷商店街の一角に店を構えています。

いなり煎餅は白味噌(しろみそ)と砂糖で味付けされた、歯応えのある煎餅です。ベーシックな形のほか、キツネの顔をかたどった煎餅や、おみくじ入りの煎餅もあります。

総本家いなりや

親子で楽しみながら歴史観光できる京都の大社

稲荷神社は全国各地にあり、多くの人にとって身近な神社といえるでしょう。その総本宮である伏見稲荷大社には、国内外から多くの参詣者が訪れます。

広く知られる絶景スポットといえば千本鳥居ですが、「お山めぐり」コースまで足を延ばせば、ご利益のあるお社や塚へも参拝できます。

絵心が試されるユニークな絵馬や、持つ人によって重さの変わる石など、親子で楽しめるスポットに立ち寄るのもおすすめです。

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構成・文/HugKum編集部

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