SDGsの課題や問題点とは? 解決のために個人や企業ができることは

昨今、さまざまなかたちで話題に挙がるSDGs。ポジティブに取り組む必要がある一方で、「意味あるの?」「本当に実現できるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、SDGsの課題や問題点、解決のために個人や企業ができることをお伝えしていきます。

日本におけるSDGsの現状

まずは、そもそもSDGsとはなにか、その意味と日本におけるSDGsの取り組みや現状を把握しておきましょう。

そもそもSDGsとは

「SDGs (Sustainable Development Goals)=持続可能な開発目標」とは、世界が抱える多数の問題の解決に向けて国連で採択された17の目標のこと。「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」「住み続けられるまちづくりを」など、すべての人々がずっと住み続けられる世界を目指し、全方位の課題解決に向けた目標を掲げます。2015年にはじまり、2030年がゴールの目処です。

日本のSDGs達成度は世界19位

日本でも国をあげて積極的に取り組まれているSDGs。国レベルだけでなく、企業や民間人単位でも、多岐にわたったプロジェクトと工夫がなされています。しかしながら、2022年の日本のSDGs達成度は世界19位。前年度からはひとつ順位が落ちてしまい、問題がまだまだ山積みであることも事実です。特に日本は、教育、産業革新、平和といった目標が達成できている一方で、気候変動や、海・陸の豊かさの保護などの対策に課題を残しています。

SDGsの課題や問題点

そんなSDGsですが、SDGs自体にも、矛盾や課題、問題点があるといわれています。どのようなものがあるのでしょうか。

SDGsウォッシュ

SDGsウォッシュというものをご存じですか? SDGsウォッシュとは、「SDGs」と英語「whitewash(ごまかす)」を組み合わせた造語。実態が伴わないにもかかわらず、SDGsへの取り組みを行っているように見せかけるケースを揶揄する言葉で、世界的な問題とされています。誇大広告やSDGsへの取り組みが不足していることも、SDGsウォッシュといわれる原因になり得ます。

矛盾

また、リサイクルに努める一方で労働問題で訴えられている……といった、SDGsに取り組む企業の矛盾にも指摘が集まっています。このような、ひとつの目標に注力していても他で問題を抱えている、といった矛盾は、企業だけではなく民間人レベルでも見受けらるかもしれません。

抽象的な目標

日本語で「持続可能な開発目標」と訳されるSDGs。しかし、この「持続可能な社会」とは一体どのような状況を表すのか、公式による定義はありません。ほかにも目標内には「強靭な」「公正な」といった言葉が散見されますが、それが「誰基準で判断されるのか」という疑問も問題視されています。

発展途上国が取り組むのは困難

SDGsを達成するためには、単なる個人の意識改革だけでなく、国・企業間での技術やシステムづくりも不可欠となってきます。しかし、発展途上国にはそのような費用捻出は困難といえます。発展途上国の貧困をはじめとした問題を課題として掲げる一方で、その発展途上国に先進国と同じかたちで課題解決への取り組みを課している、という矛盾した構図に疑問を感じる方は多いのではないでしょうか。

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SDGsの問題点をママパパはどう考えている?

では、そんなSDGsに関して、みなさんはどのような問題意識を抱えているのでしょうか? HugKumメルマガ読者のママパパを対象にアンケートで聞いてみました。

活動がわかりにくい

まず挙がったのが、SDGsの目標名やその解説が抽象的であることでした。どのようなことをすればいいのか、何をすれば課題は解決されるのか、具体的な活動内容がよくわからない、といった声多数。そのため、企業はともかく家庭ではなかなか意識しづらい、といった回答も見受けられました。

「項目名が具体的なイメージと結びつきにくい。自分の行動に結びつけにくい」(50代・三重県・子ども2人)
「会社関係は意識が強いが家庭ではニュースでは見るものの他意識する情報がない。 会社であればそれをすることでイメージアップに繋がるが一般家庭は得しないとやらないと思う。よって一般家庭が得するSDGS商品があればよいと思う」(30代・宮城県・子ども2人)

成果が見えづらい

また、たとえ取り組んでも「どのくらい効果があるのか」成果が不明瞭であることも、SDGsが抱える問題のひとつ。成果が見えないと長続きしないのでは、といった鋭いご指摘もありました。

「目標を達成した時の効果が不透明。漠然とした目標があるだけで、明確な具体的目標及び達成した際の効果が明確になっていない」(40代・東京都・子ども1人)
「取り組んだ成果が見えづらいこと。 普段意識していても成果が見られなければいずれ辞めてしまうから。節水や省エネなど。」(40代・埼玉県・子ども2人)

実現が難しそう

なかには「現実的に考えて、実現は難しいのでは…」といった懸念の声も。理由としては、内容よりも「SDGs」という名前ばかりが先走ってしまっていることや、情勢によってSDGsに取り組めない国も多いこと等々が挙げられました。

「難しいことだと思いがちなところ 英語の言葉が走って意味が分からない人が多いから」(30代・愛媛県・子ども2人)
「名前だけ大々的になり過ぎて全ての内容を理解されてない。色々なメディアでSDGsとだけさわぐから」(30代・香川県・子ども2人)
「世界情勢により実現が難しい問題がある 経済格差や各国の情勢によるところがある」(40代・東京都・子ども1人)

根本的な解決になっていないのでは?

また、取り組みによっては「根本的な解決に繋がらない」と感じてしまうものも。塵も積もれば山となる、と捉えたいところですが、実質的な効果が見られないとモチベーションも下がりがちに…。

「スーパーのレジ袋やストローは、やらないよりはいいが、プラスチック消費ははたいして減っておらず、根本的な解決になっていないこと。 便利さやコストが優先されていること。」(40代・東京都・子ども1人)

SDGsの課題や問題を解決するために

ここまで挙げられてきたSDGsの課題や問題を解決するためには、どのようなことをしていけば良いのでしょうか? 民間人であるわたしたちも心がけておきたいことをまとめてみました。

即時的な効果はなくとも、将来への投資と捉える

アンケートの回答にもあったように、明確な成果が見えないことがSDGsの難点のひとつ。
とはいえ、たとえば、レジ袋の有料化はプラスチックゴミそのものの削減よりも、消費者の意識改革がねらいの大部分といわれています。即時的な効果を感じられないものでも「意識改革」と捉え、未来への投資として取り組んでいけるのが理想的ではないでしょうか。

ひとつの目標だけでなく、ほかの目標にも目を向ける

SDGsへの取り組みとしてエコをうたいながらも労働問題で訴えられている…といった、企業が抱える矛盾を先述しました。
しかしながら、このような矛盾は企業だけでなく民間人でも抱え得るもの。ひとつの目標に注力することももちろん大切なことですが、他のすべての目標にも目を向けておきたいですね。

各目標の背景を知ることからはじめてみましょう!

一見しただけでは活動内容が想像しにくい点がSDGsのデメリット。しかし、どの目標にも、背景となる問題や課題があることには変わりありません。まずは、各目標の背景を知り、「自分ごと」として捉えることからはじめてみてはいかがでしょうか。

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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部

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