お笑い芸人・たかまつななさん考案のSDGsゲームに小学生が夢中!ゲームを通して伝えたい思いとは

早くからSDGsに関心を持ち、「子や孫の世代に『ありがとう』と言われるような地球、社会を作りたい」という思いで活動を続けているのが、お笑い芸人で時事YouTuber、そして株式会社笑下村塾代表取締役でもあるたかまつななさんです。

連載「子どもの未来を想う人に会いに行く」Vol.6 株式会社笑下村塾 代表取締役 たかまつななさん

さまざまな取り組みで若者に社会問題をわかりやすく伝える活動をしているたかまつさんが、SDGsにもっと興味を持ってもらえるようにと4年ほどかけて作ったのが、「お笑い芸人と学ぶSDGsババぬきカードゲーム」。

一体どんなゲームになっているのか、また現在日本とイギリスの2拠点生活で政治や教育現場への取材などを行うたかまつさん自身のSDGsへの思いなどを伺いました。

お笑い芸人・時事YouTuber たかまつなな

/1993年、神奈川県横浜市生まれ。大学時代、フェリス女学院出身のお嬢様芸人としてデビュー。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。

持続可能って何?ババぬきゲームからSDGsの本質を学んでほしい

たかまつななさん

――「お笑い芸人と学ぶSDGsババぬきカードゲーム」を作ることになった経緯を教えてください。

たかまつななさん(以下敬称略):以前から「持続可能な社会を作る」というSDGsの活動に共感して、もっと広めたいという思いがありました。SDGsについての企業研修をご依頼いただく機会があり、そこでお話をさせていただいたのですが、もう少しSDGsを身近に感じる方法はないかなと思ったんですね。SDGsの講座などを見に行ったこともあるのですが、難しい概念で止まっているなと思ったので、もっとわかりやすく伝えられないかな、と。

どういう方法がいいかいろいろ考えた結果、ゲームがいいのではないかと。ババぬきだったら、カードを作ってSDGsの17個の目標にも触れることができるし、そこに強制的にやるアクションの要素も入れたら面白いんじゃないかと思いました。

最初にできあがったのが2017年とか18年ぐらいで、そこからブラッシュアップを重ねていって発売に至りました。

――最初の段階から変わった部分は?

たかまつ:当初は小学校高学年ぐらいからを想定していたんですが、イベントを行うと小さいお子さん連れの家族にも来ていただくことが多くて。そうするともっと小さい子どもでも読めるようにしたいということで、全部の漢字にルビを入れました。長文などもできる限りコンパクトにしてわかりやすくしたり。

あとは、それぞれの目標にまつわるカードがあるのですが、データ的な部分が最初にあって、現状を説明して後半はそれを解消するようなアクションを起こせるようになっているのですが、最初そこがうまくリンクしていなかったところがあったので改善していきました。

例えば、「貧困をなくそう」という目標に関するカードで、「(データ)日本の子どもの7人に1人は経済的に貧しいです。(現状)私の今日の食事はお昼の給食だけです。お腹が空いてつらいです。(アクション)勇気を出して『助けてー』と大声で叫ぶと、両隣の人が手札を1枚ずつ引いてくれます」という内容のものがあります。

これは両隣が手札を引いてくれるからカードが減るというゲーム部分の面白さだけじゃないんです。

貧困の子どもたちが何に困っているかというと、貧しいことは恥ずかしいことだと思って周りにSOSを求められず、支援を受けにくいことなんですよね。「助けて」と言うことも大事だし、周りが見つけることも大事。そういうことに気づいてもらえたらなと。

ただデータがあってアクションがあるというだけではなく、現実の世界とどうリンクさせるかということをずっと考えていましたね。

お笑い芸人と学ぶSDGsババぬきカードゲーム

――では、苦労した点は?

たかまつ:最初はテストプレイで45分ぐらいかかったんですよね。今、平均のプレイ時間は17分ぐらいまで短縮できました。

学校でやっていただくことを想定しているので、17分でも実はちょっと長いくらいなのですが、SDGsの17個の目標について、内容を知っているというところからもう一歩深めたいと思っているので、データを削りすぎないようにはしました。

ただ楽しかったというだけで終わるゲームにはしたくないので、そのあたりのバランス調整は難しかったですね。

――実際にゲームをした子どもたちの反応はいかがでしたか?

たかまつ:やっぱり楽しみながらやってくれているのがわかると、一番うれしいですよね。

終わる時間になってもまだやってくれていたり。『SDGsの大切さがわかった』とか『持続可能ということが何かわかった』という感想をもらえたのもうれしかったです。

――我が家の小学二年生とやってみたところ、ちょっと難しい部分もあったようです。小さい子とやる上で盛り上がれるコツがあったら教えてほしいです。

たかまつ:大人が教えてあげることだと思いますね。子ども向けにものすごい簡単にしようか、とも悩んだんです。ただ、私の思いとしては子どもを子ども扱いしたくないというのがあって。

幼稚園児が理解できるかといったらやはり難しい部分もあると思うんですけど、わかりやすい問題ばかり伝えても全然SDGsではないと思うんですよ。だから今あるSDGsって、ゴミの量を減らすとか、リサイクルとか、こまめに電気を消しましょうとか、エコとか省エネみたいな部分から脱却できていないんですよね。

持続可能とは何なのか、その本質的なことをどうやって伝えられるかということを意識して作ったので、大人の人が横で解説するだけで、きっと子どもはだんだんわかってくるし、本質的なことがわかると学ぶことが楽しくなると思うんですよね。

理解の手助けになるような解説シートやガイドブックもつけています。これを読んで説明すると、親御さん自身が本質的なことを深く理解できていなくとも、本質に近づける形にできる限りしたつもりです。なので、今後この解説シートとガイドブックもぜひ読んでほしいですし、あとは普通に楽しんでほしいです。

親御さんによく「知らないから教えられないんです」と言われるんですけど、知らなくていいんですよ。一緒に学びましょう、ということですね。

――確かに、知らないことがたくさんあって学びにもなりました。

たかまつ:「私も知らないから一緒に学ぼう」と言われたら子どももうれしいと思うし、ぜひ具体的な学びを引き出せるようにしていただければなと思います。全部無理やりやろうとしなくていいのですが、いろいろと広げられる素材はここにあるので、少しずつ活用してみてください。

遊んでいる様子はこちらの動画から!

見て見ぬふりをする大人になりたくなかった子ども時代

――たかまつさんがSDGsを意識したきっかけは?

たかまつ:私は「子どもたちにツケを回したくない」という思いで活動しているんですが、地球温暖化の問題や日本の財政の問題、少子高齢化によるシルバー民主主義、そういった今ある問題を大人たちは見て見ぬふりをしているということに対して、小学生ぐらいのときから違和感を感じていました。

SDGsが採択されて、その概念を知り、「持続可能な社会を作る」ことが正義だと捉えられたことは、素晴らしいなと思ったんです。若い世代に今ある問題を押し付けていくことはしたくなかった。

企業がボランティアではなく、本業で社会貢献をして稼ぐということに対して批判をする人って、今はほとんどいないと思うんですよね。企業がSDGsな取り組みをボランティアで行うことがそもそも持続可能なのか?ということ。一時的に終わっては意味がないんです。

例えば途上国のことを考えてこの材料の料金を少し値上げします、と言ったときに「企業が儲けたいだけだろう」と言う人もいるかもしれないですけど、そういう声って昔よりは多分減っていると思います。

それはひとつSDGsが社会を変える起爆剤でもあるなと思って、私はもっとSDGsを広めたいなと思いました。

――おうちでできるSDGsな取り組みはありますか?

たかまつ:やはり日本では人権の意識がまだまだ抜け落ちている感じがします。ジェンダーの不平等もすごくありますよね。

例えばご家庭で、家事はお母さんだけがやるものだと子どもに思わせないようにするとか、「それ男の子がやるって決まってないよね」など疑問を投げかけていくということは大事かと思います。役割のバイアスみたいなのをはずしていく。

それから、おうちでぜひやっていただきたいのは、防災です。

これは東日本大震災を受けて日本が強く提案して入った枠組みです。防災バックを用意して、ハザードマップを親子で確認してほしいですね。自分の命を守るということもSDGsの大事な要素ですから。特に日本は災害大国ですから、津波が起きたときはどこに逃げたら安全なんだとか、家族で確認しておくといいと思います。

あとは商品ができる過程を子どもに想像してもらうこともいいと思っています。原材料は何で、どこでどういうふうに作られているのか、料金は安すぎないかなどを考えてみるんです。

――親子で買い物をするときなどでしょうか?

たかまつ:そうです。チョコレートとか洋服とか、考えるきっかけはたくさんあります。消費って社会を動かせると思うんですよね。

環境に悪いものはみんなが買わなければその会社は潰れるわけですから、消費で社会を変えられると子どもたちに知ってもらうといいのかなと思います。

例えばわかりやすい例だと、フェアトレードマークなどロゴマーク認証が付いているものがあると思うんですが、みんながそういうものを良いと思って商品を選択していくと、今後商品にそういうことを開示する義務がついてくると思うんですね。一部では二酸化炭素を使った量が商品に載っているような国もあるんですよ。

自分の消費でどういう企業が残っていくのか、自分が投票することによってどういう社会を作っていくのか、そういう未来選択に繋がっていくものをぜひ親子で一緒に考えてみてほしいですね。

持続可能な社会を作るには持続可能な自分作りから

――最後に、このゲームを通して今の親御さんたちに伝えたいメッセージはありますか。

たかまつ:この子たちが大きくなったとき、日本社会はどうなっているんだろう、と思いますよね。そうして今まで以上社会関心持って、社会良くしていきたいと思っているのではないでしょうか。ぜひパワーあるうち何か少しでも社会が良くなるように、一緒にがんばりましょうと言いたいです それと、変化するということ対し怖がらないでほしい思っています。慣れ生活習慣から抜け出すの怖い思うです。例えば子ども何か環境いいことをしよう、なんて面倒くさいことを言っくるかもしれないゴミ分別をもうちょっと増やしたらどうか、クーラー設定温度はこれでいいのかなとか そういう、SDGsに興味を持って生活を変えようとしたり、地域社会ちょっと変えようているようなとき、面倒くさがったり、心配しすぎて過保護になるのではなく、良きサポーターになってあげてほしいです。

SDGsは連携することがすごく大事なので、例えばこうしてみたらどうかとか、この人に会ってみたらどうかとか、子供の興味関心に合わせてとかリードしてあげるといいと思います。

――面倒くさがりそうでちょっと耳が痛いです(笑)。

たかまつ:いやいや……今の親御さんたちは十分がんばっていると思いますよ! ただ、子どもは多分どこかのタイミングで社会を変えようとしているんです。でもそれを大人に止められたり、周りでそういう子が不利益をこうむっているのを見たりして、なんとなく生きる処世術みたいなものが正しいと評価されているというのを身にしみて感じて、そうしていつか声を上げることが無意味だと気づいてやめてしまう。

子どもの好奇心とか純粋な思いって、社会を良くする原動力になるので、それを潰さないようにしたいですよね。とても難しいですし、私もできているとは言い切れない部分はあるのですが……。

――SDGsだけではなく教育のあり方まで教えていただいた気がします。

たかまつ:あともうひとつ、やっぱり今コロナもありますし、自分に自信を持てない子どもがすごく増えていると感じます。

社会を良くしていくには、まず自分が幸せじゃないといけませんよね。健康の問題や心の問題もSDGsの中にありますから。ぜひ、毎日「大好きだよ」「愛してるよ」と伝えて、ハグをしてスキンシップを取って、というのを必要以上にやってもらって、「あなたがいてくれるだけで私はすごくうれしいんだよ」と、存在だけで認めてあげてください。

自己承認とか、自己肯定感を高めるということは、大人になってから後天的に身につけることがなかなか難しいと思うので、それはやっぱり親が一番やらなきゃいけないところかなと。というか、むしろそれをやれていれば極端な話、SDGsにまつわる他のことはもうやらなくてもいいくらい(笑)。

持続可能な社会を作るためには、やっぱり自分自身が持続可能でいなければならないので。回り回って、そこに繋がりますね。

お笑い芸人と学ぶSDGsババぬきカードゲーム

たかまつなな・著|くもん出版|2,750円(税込)

 

取材・文/小林麻美

構成/HugKum編集部

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