キッズデザイン賞とは?
子どものことを配慮して創作された優れた作品に送られるキッズデザイン賞とはどのようなものなのでしょう。目的や応募方法などさっそく詳しくみていきましょう!
キッズデザイン賞の趣旨・目的
特定非営利活動法人キッズデザイン協議会主催の「キッズデザイン賞」は、子どもや子育てに関わる社会課題解決に取り組む優れた作品に送られる賞です。
持続可能な未来のために、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」の3つのミッションに応える作品に賞が与えられます。
応募作品は、製品のみならず、サービス・空間・活動・研究を対象にしており、産業や研究活動での普及や子どもたちの健やかな成長発達につながる社会環境の創出を図ることを目的としています。
参照:キッズデザイン賞とは
受賞のメリット
受賞した作品は、キッズデザインマークを使用することができ、キッズデザイン賞の受賞作品としてPRすることができます。その他、全国の各種イベント、展示会、メディアなどで紹介され、作品が広く認知されることにつながるというメリットがあります。
※キッズデザインマークは使用料が発生します。
応募期間や応募方法
応募の受付は、キッズデザイン賞のオフィシャルウェブサイトで行っており、ログインIDを作成して応募作品の情報および提出物の登録をします。
応募の際に、デザインミッションに基づく3つの「部門」と、応募作品の分野に基づく5つの「カテゴリー」から一つずつ選ぶ必要があります。
部門は、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」の3つ、カテゴリーは「プロダクト」「アプリケーション・サービス」「建築・空間」「コミュニケーション」「調査・研究」の5つがあります。
次に、審査料および提出物を各締め切り日までに提出する必要があります。審査料は、1作品につき、60,500 円(消費税込)ですが、応募カテゴリーが「調査・研究」の場合、審査料は無料、応募者が自治体、国公立の機関(学校、病院、博物館など)のみの場合、審査料は16,500円となります。
その他、「子供の安全に配慮した商品等の顕彰に係る東京都審査料補助」の 申請が可能な場合もあります。詳しくはオフィシャルサイトに記載されている応募規定や審査料について確認しましょう。
※第16回キッズデザイン賞は、2022年3月1日(火)10:00~5月16日(月)12:00となっており、すでに応募受付が終了しています。
審査方法と受賞率
審査員はさまざまな分野で活躍する研究者や専門家で構成されており、子どもの安全性が考慮されている、課題やニーズに合っているなどといったことから、機能性/操作性 、社会提案性/有用性、新規性/独創性、意匠性/造形性において、カテゴリー別に細かい審査ポイントが一覧で紹介されています。
2022年度の第16回キッズデザイン賞では、383 点の作品が応募され、214点が受賞。その中から、最優秀賞の「内閣総理大臣賞」1点、優秀賞「経済産業大臣賞」4点、少子化対策担当大臣賞など優秀な作品36点が選出されています。
今年度の最優秀賞、優秀賞、奨励賞の一部をご紹介!
株式会社黒田潤三アトリエ / なないろレディースクリニック なないろこまち
最優秀賞(内閣総理大臣賞)
小児科・皮膚科・産婦人科、カフェや託児施設が併設されている茨城県にあるレディースクリニック。カフェのような待合室や別荘のような病室など、地域に人を引きつける空間を提供。人とのつながりを大切にし、この地域で子育てをしたいと感じさせる取り組みが高く評価されました。
ミキハウス スクールシューズ
優秀賞(経済産業大臣賞)子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門(子ども部門 )
臭いや細菌・ウイルスに反応する新素材のインソールを使い、衛生面の向上を図るのみならず、弾力性とフィット感などにも技術改良が施されています。子どもの歩き方やバランスを考慮して作られたシューズで、実証データに基づいた改善点も評価された作品です。
株式会社United family 「ハンズフリー電動さく乳器」
優秀賞(少子化対策担当大臣賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門(個人・家庭部門)
下着の中に装着することが可能な電動式さく乳器。ハンズフリーで搾乳してくれるので、働くママや忙しい子育てで疲れているママの負担を助けてくれるアイデア作品という点が評価されました。
福岡市科学館 / 株式会社トータルメディア開発研究所
『未来を拓くジュニア科学者養成講座「ダーウィンコース&ニュートンコース」』
奨励賞 子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門(クリエイティブ部門)
福岡市科学館が行っている小学4・5年生を対象にした科学者養成講座。大学教員や科学館のサイエンスコミュニケーターと一緒に観察や実験をし、子どもたちが「疑問を持つ力」を育んでいくコースです。「非認知能力を高める教育」や「STEAM教育」が重要視される時代で、自由なクリエイティビティを伸ばす総合的講座である点が高く評価されました。
過去の受賞作品例
ちなみに、昨年受賞した作品がこちら。現代の子どもを取り巻く環境を考慮して作られた優秀な作品をご紹介します。
エレコム株式会社 子ども用ヘッドセット
経済産業大臣賞受賞の子ども用ヘッドセット。子どもの難聴リスクを軽減し、耳の安全に配慮されたデザインと設計が評価された製品です。
このヘッドセットは、85dBまでの音量制限をした低音量仕様で、気づかないうちに音量が大きくなりすぎることを防いでくれる仕組みに。さらに、小学生のサイズデータを元に設計されており、成長に合わせてしっかりとフィットできるように各部調節できるようになっています。
積水ハウス 次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマート イクス)」
近年おうち時間がふえるなか、暮らしの大半を過ごすリビングの空気環境を整備する積水ハウスの室内環境システムが「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞。
タッチレス設備など感染症対策にもつながっており、省エネで空気環境が改善される技術が活用されています。家族が集う空間で子どもの安全に配慮された環境づくりが評価されました。
まちのてらこや保育園
「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」優秀賞(消費者担当大臣賞)受賞の「まちのてらこや保育園」。
伝統工芸の老舗が立ち並ぶ日本橋というまちの特性を活かしながら、「まち全体が保育園」「まちのみんなが先生」となり、地域全体で子どもを育む保育を実施。地域とのつながりを通して、子どもたちに伝統文化のみならず、産業や社会のつながりを伝える新たな保育の取り組みが評価されました。
防犯ウォーキングアプリ「歩いてミイマイ」
「子どもたちを産み育てやすいデザイン」部門優秀賞(少子化対策担当大臣賞)を受賞したのは、香川大学によって開発された防犯ウォーキングアプリ。
子どもたちがアプリを使って簡単に地域安全マップを作成することができ、まちの危険な場所を写真とともに情報共有共有が可能に。各自で防犯意識を高めることができ、子どもの安全・安心な環境づくりに重要な登下校時の安全確保にも役立つことが期待されます。
現代社会の課題に応えた子どもの未来を発見
過去にキッズデザイン賞に受賞した作品については、オフィシャルサイトで検索が可能です。さまざまな製品や技術、子育てをするなかで「こんなのがあったらいいのに!」を叶えてくれるアイデアが詰まった作品を見つけることができます。
子どもたちが安心して暮らせる環境づくりにつながる、すばらしい作品をぜひチェックしてみてください。
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文・構成/HugKum編集部