目次
ミルクボランティアとは
ミルクボランティアとは、殺処分数を減らすための取り組みで、収容された授乳期の子犬や子猫を離乳するまでボランティアで世話をするものです。
授乳期の子犬や子猫は、人間と同じように数時間おきに哺乳や離乳食と排泄介助が必要です。
それを母犬や猫に代わって世話をすることで、譲渡できる犬や猫の数を増やします。2022年現在は、子犬の収容は珍しいため、ほとんどの場合ミルクボランティアは子猫が対象になります。
また、同じ猫同士で噛んだり引っ掻いたりされて加減を覚えるため、可能な限り複数頭で預かることになります。(3頭で保護された場合は3頭一緒。4頭の場合は一家庭に2頭ずつ。)
なお、粉ミルク支給、哺乳瓶・体重計・ペットヒーターなどは貸し出しがあるため、動物を飼ったことがなく設備のない方でも費用負担は最小限に抑えられます。
ボランティアを引き受けた理由
私たち親子は動物が大好きで、犬や猫を飼ってみたいという思いを持っていました。また、生き物の世話をする経験から学ぶことはたくさんあると思い、子どもの心の成長にも良い経験になることだと感じています。ただ、命を預かる責任は重く、簡単に踏み切れませんでした。
家の近くの動物愛護センターへ遊びに行ったある日、大きな建物の片隅に「ミルクボランティア」の張り紙があり、離乳期の子犬や子猫を一時的に預かることができるボランティアがあると知りました。
授乳は頻繁に行わないといけないため、日中家を空けるライフスタイルでは受けることができません。幸い、私はフルリモートで仕事をしているため、ミルクボランティアを受けられる条件に当てはまりました!
ボランティア登録の取得方法
ミルクボランティアに登録できるのは講習を受けた成人のみ。ということで、ミルクボランティアの張り紙を見つけたその足でスタッフさんがいる部屋をノック!
さっそく講習の日程を決め、数日後に息子と2人で講習に参加しました。
なんと、獣医さんとのマンツーマン講習!
そこで学んだことは、
・一昔前はペットと言えば猫より犬が多かったのが、今は猫が主流。
・犬は狂犬病の危険があるため野良犬が減って、それによって保護犬もほぼいなくなった。制度上、野良猫は認められているため猫が保護されることはある。そのため、このミルクボランティアはほとんどが子猫だそうです。
・夜中も含め数時間おきに手のかかる哺乳期の子猫は、動物愛護センターのリソース(設備、人手)では対応が難しく、止むなく処分されていた過去もあった。
・ミルクボランティア導入後、殺処分数が減り、譲渡数が増えた。
スライドを使って説明してくださったのですが、言葉の端々に、愛情と責任を持ってお仕事されていることが伝わってきました。
また講習では、雑談の中でもさまざまな知識を教えてもらい貴重な学びとなりました。
講習受講の数日後、ボランティアの登録証が自宅に送られてきました。これでミルクボランティアとして子猫を受け入れる準備が完了。
一度の受講でミルクボランティアと一時預かりボランティアの資格を得られました。
我が家に子猫がやってきた!
忘れもしない、電話をいただいた日。
旅行の帰り道、フェリーでうとうとしていた時でした。動物愛護センターから電話がかかってきて「まさか!」と喜びで心臓が跳ね上がったのを覚えています。
その日は帰宅時間が読めなかったので翌日からお預かりすることに。
我が家に来たのは約250gの目が開いたばかりの2匹の雄猫兄弟。
保護された後、ベテランのボランティアさんのところで目が開くまで育ててもらった子たちです。
この時、14〜15日齢と聞きました。
ミルクを飲まない!
我が家に来た時は1回10mlくらいミルクを飲むと聞いていたのですが…自力でミルクを飲めません!!
注射器のような形のシリンダーでミルクを1mlずつ口に流し込むのですが、上手く飲めず、「死んでしまう…!」と不安で泣きそうだったのを覚えています。
我が家に来た翌日の夜には自力で10mlのミルクを飲むことができました!
この頃は、一日5回授乳していました。
排泄介助
まだ自力で排泄できないので、ミルクの前後に湿らせたキッチンペーパーでトントンとお尻を刺激してあげます。
小はトントンすると10秒以内に出ますが、大は15分刺激しても出ない時は出ませんでした。
体重計測
一日一回、決まった時間に体重を測ります。その体重が少しずつ増えていれば概ねOK!
調子が悪くなったりしてセンターの獣医さんに相談する際に、必ず体重のことは聞かれるため、毎日必ず計測します。ちなみに、貸与品は台所で使う計りでした。かわいい・・・♡
離乳食スタート!トイトレはすんなり
体重が375gと425gになっていた10日目、獣医さんに離乳食を始めていい頃だと教えていただいたので、ミルクでぶにゃぶにゃに柔らかくしたドライフードを少量食べさせました。
その後、ミルクをたっぷりあげます。
この先もしばらくミルクは続けるものの、離乳食も少しずつ固く、量も増えていきます。
離乳食を始めた頃は上手く食べられず、口の周りをドロベシャに汚していました。
ハプニング!シーツの上で×××を…!
2匹ともお腹がゆるかったある日、あまりにも「かまって」攻撃がすごく、肩に登られ引っかかれ、ちょっと参っていたので、デスクのある部屋に彼らを連れて移動しました。
しばらくするとぷ〜んと香りがして、見てみると、トイレではなく部屋に置いてあったくしゃくしゃのシーツの上で大をしていました…!トイレのない部屋に連れて行ったことを反省しました。
トイレのしつけは不要
そんなハプニングもありましたが、猫は自力で排泄できるようになると楽です。猫砂を準備すればしつけ不要で砂で排泄します。我が家の子猫達も例外なく、基本的には行儀よくトイレでしていました。
砂を入れると自動的にそこで排泄するようになりました。
自己都合の一時休止も可能
預かっていた期間にGWが含まれており、その間に一日だけ、日帰り旅行に行きたい日がありました。そんな自分都合でも、愛護センターに相談すると、数日間他のボランティアさんに預かってもらうことができました。
他に、「猫が保護されたその日から数日間だけなら預かれる」場合や、「急に言われると困るけど、3日ほど準備期間があれば後はずっと預かれる」という場合も、ボランティア可能です。
動物愛護センターのスタッフさんが、色んなタイプのボランティアさんを組み合わせて子猫達の命を繋いでくださっています。
息子の反応は?子猫との日々で成長はあったのか
さて、期待していた子どもの成長は、あったような、なかったような…?
ただ、直ぐに目に見える結果が出るものではないと思っています。子猫と過ごした日々が、これからずっと息子の心の栄養になっていくと信じます。
とは言え、助かったこともありました。
一つは、朝が得意な息子に朝の世話を任せられたこと。特に初めの頃は、夜中に起きて哺乳しない場合は、夜遅23時頃にミルクをやり、次は朝6時頃にミルクをあげていました。
ロングスリーパーな私はそんな日が続くと体調を崩すため、夜は私、朝は息子と分けることでお互い睡眠不足にならずにすみました。大助かりでした!
朝の世話は、ミルクと排泄介助と、体重計測です。
私は子猫たちとお別れした日は寂しくてメソメソ泣き続けていたのですが、ずっと母の頭を優しくなで、お水を持ってきてくれと、優しく慰めてくれました。
任期満了!いよいよお別れ
体重が800gを超えるとミルクボランティアはお役御免になります。その頃には大抵の猫がドライフードをガリガリ食べられるくらいに成長しています。
我が家の子猫達も800gを超えたので連絡し、獣医さんにワクチンを打ってもらって(摂取後1時間ほどおとなしくなったのが微笑ましかったです。)旅立ちの日を迎えました。
ワクチン接種も終わり、愛護センターの獣医さんが猫たちを迎えに来てお別れをしました。我が家に来てから一緒に過ごした期間は40日間でした。
その後、センターに戻り、猫エイズと白血病、2種類の病気の検査をします。猫エイズの場合は陽性であっても、半年後に陰転と言ってお母さんからもらった抗体が消えて陰性になる可能性もあります。
基本的には、この2種類の検査で陰性であれば譲渡可能となります。
ミルクボランティアはどんな人に向いている?
私の個人的な感想ですが、私のように、飼う決断はできないけれど動物を飼ってみたいと思っている方にはとてもおすすめです。
あと、個人的に良かったのは、リモートワークで仕事をしていたこと。現在、自宅でリモートワークをしている人が増えていると思いますのでとてもおすすめ。
驚いたのが、猫と一緒にいるときの私の写真を友人に撮ってもらったらとても幸せそうな顔をしていたことでした。
自撮りだと顔を作るので(笑)気づかないのですが、ふとした瞬間を撮ってもらうと本当に幸せそう。
手はかかるし部屋は荒れるし、服も選ぶし、腕も足も小さな傷だらけになるし…(私が爪ケアを適切にできなかったせいかもしれません)。
大変なことも多かったですが、かけがえのない温かい時間をくれていたんだなとその写真を見て気づきました。
ミルクボランティアは自治体での募集をチェック
我が家はお別れして悲しみに暮れていると5日後には新しい子達が来て、今はその子達を育てています。シルバーと茶のシマシマ猫。この子達は女の姉妹です。
お近くの自治体でミルクボランティアの募集があるか、ぜひ検索してみてくださいね。
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文・構成/田邊紗耶香