世界大学ランキングとは?
現在、いくつかの機関が世界大学ランキングを発表しています。世界の大学を順位付けする意味や、評価基準を見ていきましょう。
各国の大学を総合的に順位付けしたもの
世界大学ランキングとは、世界各国の主要な大学について、教育・研究機関としての活動状況を評価し、総合的に順位付けしたものです。
教育環境や研究の国際的な影響力などが評価の基準とされ、日本でよく目にする、入試の難易度を示す偏差値ランキングとは意味が異なります。
大学ランキングを作成している機関は、以下の通り複数存在します。
・イギリスの教育関連情報誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」
・イギリスの高等教育評価機関「クアクアレリ・シモンズ」
・アメリカの情報誌「U.S. News & World Report」
ランキングの主な評価基準
ランキングの評価基準は、実施機関によってさまざまです。よく知られているタイムズ・ハイヤー・エデュケーションの「THE世界大学ランキング」では、以下の5項目を定めています。
1.教育・学習環境
2.研究
3.論文の引用数
4.国際性
5.業界からの収入
「教育・学習環境」とは、学生1人あたりの教員数や、博士号取得者の割合などです。「業界からの収入」は、大学がどれだけ産業界から研究費をもらっているのかを表します。産業界に知識を広めることも、大学の重要な役割として評価項目に入れているのです。
また「THE世界大学ランキング」には「日本版」があります。こちらは日本国内の大学を教育リソース・教育充実度・教育成果・国際性の4項目で評価したものです。
学生として、その大学でどれだけ成長できるかが分かりやすく、高校生の進路選びにも活用されています。
世界一の大学は? ランキング別の1位を紹介
世界大学ランキングは毎年発表され、年によって順位も変動します。三つのランキングの特徴と、世界一になった大学を見ていきましょう。
タイムズ・ハイヤー・エデュケーション
タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが、2021年9月に公開した「THE世界大学ランキング2022」では、イギリスのオックスフォード大学が1位でした。100点満点中95.7点の高得点を獲得し、6年連続でトップの座に輝いています。
オックスフォード大学は、学部では20%弱、大学院では60%以上が留学生という国際色豊かな環境が魅力です。卒業生にはイギリスのジョンソン首相やサッチャー前首相など、28人のイギリス首相がいることでも知られています。
World University Rankings 2022 | Times Higher Education (THE)
クアクアレリ・シモンズ
クアクアレリ・シモンズでは、「学術関係者からの評判」「雇用者からの評判」「教員1人あたりの論文被引用数」など、6種類の項目で大学をランク付けしています。
2022年6月9日に発表された「世界大学ランキング2023」では、アメリカのマサチューセッツ工科大学が11年連続で1位を獲得しました。
マサチューセッツ工科大学は、工学や理学の分野で有名な理系寄りの大学ですが、経済学や言語学なども高い評価を受けています。
留学生比率は学部で約10%、大学院で約40%です。中国や韓国など、アジアからの留学生も多く在籍しています。
QS World University Rankings 2023: Top Global Universities | Top Universities
U.S. News & World Report
U.S. News & World Reportでは、2021年10月26日に「2022年版 世界のベスト大学ランキング」を発表しています。学術研究や出版物に対する世間的な信用度を中心に、13の項目で評価したランキングで、1位はハーバード大学でした。
ハーバード大学は、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションで2位、クアクアレリ・シモンズでも5位にランクインしています。また、学生が主体で選ぶ全米大学ランキングでも1位となっており、人気の高さがうかがえます。
アメリカで最も古い大学であり、ノーベル賞の受賞者や国家元首、起業家など多くの逸材を輩出していることでも有名です。
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や、楽天グループ創業者の三木谷浩史氏もハーバード大学の出身です。
2022 Best Universities in the World – US News
日本の大学の順位は?
国内の大学は、世界的にどのくらい評価されているのでしょうか。各ランキングにおける、日本の大学の順位を見ていきましょう。
東京大学と京都大学がランクイン
タイムズ・ハイヤー・エデュケーションのランキングでは、東京大学が35位、京都大学が61位に入っています。
クアクアレリ・シモンズでは、以下の大学が100位以内にランクインしました。
・東京大学:23位
・京都大学:36位
・東京工業大学:55位
・大阪大学:68位
・東北大学:79位
なおU.S. News & World Reportでは、100位以内に入ったのは東京大学だけで、順位は73位です。
アジアの大学が上位に
アメリカやヨーロッパの大学が上位を占める中、近年はアジアの大学が順位を上げる傾向が見られます。
タイムズ・ハイヤー・エデュケーションでは、中国の躍進が目立ちました。上位100位に入った五つの大学は、全て前年より順位を上げており、北京大学と精華大学がアジアでは最高の16位にランクインしています。
35位の東京大学の他にも、21位のシンガポール国立大学・30位の香港大学・54位のソウル大学などが前年より順位を上げています。
クアクアレリ・シモンズでは、シンガポール国立大学がアジアで最高位の11位に輝きました。同大学は5年連続で11位となっており、将来的にトップ10入りが期待されます。
ランキングから世界一の大学を知ろう
世界にはたくさんの大学があり、ランキングに登場する大学はほんの一部でしかありません。世界一の大学はもちろん、上位に名を連ねる大学は、受験生にとって狭き門といえるでしょう。
ただしランキングは常に変化しています。現状では欧米の大学が上位を独占しているものの、中国や日本などアジアの大学も健闘中です。子どもが留学する・しないにかかわらず、毎年ランキングに注目して国際的な傾向を把握しておくとよいでしょう。
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文・構成/HugKum編集部