遊びに来る友だちに注意してもいい? よその子の叱り方は「キャラづくり」がコツ!

昔は、地域の大人みんなで子どもを育てた…なんて話をききますが、今は「よその子」を叱ったり注意するのは、なかなかにデリケートな問題。
月刊誌『小学一年生』(小学館発行)に寄せられた読者のママ・パパのお悩みに、現役の小学校の先生がお答えします。

Q:遊びに来る友だちに注意してもいいですか?

息子の友だちが毎日のように遊びに来ます。あまりしつけがされていない子で、自分の家のように振る舞います。
靴は脱ぎっぱなし、うがい手洗いはしますが、いつも洗面所が水浸しです。また、冷蔵庫から勝手に麦茶を出して飲んだりします。
息子にどんな子なのか尋ねたら「すごく優しいよ」とのこと。悪い子ではなさそうですが、注意したくなることが多くて困ります。
子どもの友だちにどこまで注意していいのか、また、素直に聞いてもらえる注意の仕方が知りたいです。(Y・E さん)

A:キャラを作り、遠慮せずどんどん注意しましょう。

これはもう遠慮せず、キッパリと注意して構いません。言いにくいようでしたら、お母さん自身がキャラを作ってしまいましょう。

「私、口うるさいからね」とか「ダメなことはどんどん言っちゃうよ!」などと、少しだけ悪役を演じるのがポイントです。そうすると、子どもはそういうお母さんなのだと認識します。

じつは子どもって、こちらが思っている以上に大人をよ~く見ています。ですから、キャラがわかっていたほうが対応しやすいのだと思います。

キャラを作るなら、いいお母さん、優しいお母さんでいようと思わないほうが楽です。「いいお母さん」だと、子どもに言いたいことが言えなくなってしまいます。言いたいことが言えるのは、やっぱり「口うるさいお母さん」です。そんなお母さんに言われることを、子どもはそれほど嫌がることはないはず。そしてお母さん自身も言いやすくなると思います。

それでもその子が従わないとき、言われたことを忘れたときでも、キャラを作ってどんどん繰り返して構いません。「またやったね!」とか「何回でも言っちゃうよ!」などと軽い口調で伝えましょう。そうすれば、本人も「あ、やっちゃった!  ごめんなさい」と素直に聞いてくれるでしょう。

このような接し方こそが、その子にとって非常に有意義なことなのです。友だちの家に遊びに行くたびに、いろいろな家庭がある、お家のルールがあることを学ぶのです。

気をつけなければいけないのは、その子の人権に関わるようなこと、例えば「あなた性格悪いね」といったようなことは、冗談のつもりでも絶対に言ってはいけません。

子どもの友だちもわが子を育ててくれる大事な存在です。わが子とともに育てていくつもりで接してくださいね。

私がお答えしました

佐々木 陽子 先生|東京都江戸川区立大杉小学校主幹教諭
低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育雑誌『教育技術』に執筆も行う。

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

『小学一年生』2022年9月号別冊『HugKum』
構成/天辰陽子

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