「乳離れ」の正しい読み方は? 適切な時期はいつ? 方法やコツ、乳離れ後の注意点【助産師監修】

「乳離れはいつしたらいいの?」とお悩みのママに、この記事では、「乳離れ」の正しい読み方にはじまり、適切な時期や方法、コツをご紹介し、注意したいポイントにも触れていきます。

乳離れの読み方と意味

「乳離れ」の読み方を知っていますか?  本来の読み方は「ちばなれ」です。「ちちばなれ」という読み方も定着したことで、慣用読みとして辞書等には取りあげられていますが、正しくは「ちばなれ」と読まれていました。

「乳離れ」の意味は、「乳児が成長して、母乳を飲まなくなること」または「その時期」です。ちなみに「離乳(りにゅう)」ともいいます。

乳離れが必要な理由

乳離れが必要な大きな理由は、赤ちゃんが大きくなるにつれて、母乳やミルクだけでは、エネルギーや栄養素が不足してしまうためです。足りない栄養は、離乳食などの食べ物から補います。

また、母乳やミルクを飲む「哺乳行動」から、離乳食を食べる「摂食行動」に移すことも、乳離れが必要な理由としてあげられます。乳離れをして、人間が生きていく上で重要な「食事をすること」を学んでいきます。

そのほか、子どもの自立心を促すためとも考えられています。

乳離れの時期はいつ?

乳離れの時期やタイミングには、さまざまあります。どのような時期があるのか見ていきましょう。

乳離れのタイミングはいつが最適?

1~1歳半

1〜1歳半ころになると、離乳食が完了し、幼児食へと移行していきます。また、歩けるようになって、運動量も増えるため、お腹が空きやすくなることから、この時期に乳離れすることが多いです。

食事の量が増えないとき

母乳が好きで、お腹いっぱい飲んでしまい、離乳食や幼児食といった食事をあまり食べない、量が増えない場合も、乳離れをするタイミングです。乳離れをすることで、食事が進むことがあります。

夜間授乳や夜泣きが多いとき

夜間授乳や夜泣きが多い場合にも、乳離れを検討します。夜間授乳を頻繁に行っていると、ママはもちろん、赤ちゃんもぐっすり眠れません。乳離れすれば、ママ、赤ちゃんともに十分な睡眠時間、不快睡眠を確保できることもあります。

ママの仕事復帰

夜中の授乳は、睡眠時間が削られてしまいます。働き出したママの睡眠を妨げず、十分な睡眠時間を確保するためにも、仕事復帰のタイミングで乳離れするケースも多いです。

次の妊娠を希望するとき

次の妊娠を考えているときや、不妊治療をしていて計画的な妊娠を考えているときも、乳離れをするタイミングです。乳離れすると、ホルモンが整いやすく妊娠する準備ができます。

ママが薬を飲むとき

ママが、母乳に影響のある薬を継続的に飲むことになった場合も、乳離れのタイミングといえます。

乳離れの体験談

HugKumでは、0~2歳の子がいるママたちにお子さんの乳離れについてアンケート調査しました。教えていただいた体験談をご紹介します。

「母乳への執着が強い子でしたが、事前に言い聞かせておいたことでスムーズに卒業することができました。 2歳近くになり、こちらの言うことを理解できるようになっていたのが良かったのだとおもいます。」(30代・兵庫県・子ども2人)
「元々母乳があまり好きではなかったみたいで7ヶ月くらいから飲まなくなった。そのときは寂しかった」(30代・千葉県・子ども1人)
「なかなかうまく飲んでもらうことができず、生後2か月半で終わりました。哺乳瓶で飲むのがよかったみたいです。」(20代・北海道・子ども1人)
「1歳半歯科検診で卒乳を勧められ夜間断乳から始めました。 夜中におっぱいが飲みたくて泣かれたのが辛かったです。」(30代・埼玉県・子ども1人)

乳離れの方法

乳離れの方法を流れに沿ってご紹介します。

完全に乳離れする日を決める

まずは、完全に乳離れする日を家族で話し合って決めます。おすすめの時期は、子どももママも体調が安定しやすい春や秋や、家族の協力が得られやすい連休などです。ただし、ママがよいと思うタイミングであれば、いつでもかまいません。

できれば、1ヵ月~2ヵ月ぐらいかけて徐々に乳離れできるよう計画するとよいでしょう。カレンダーの完全に乳離れする日に印をつけて、可視化するのもおすすめです。

予告する

最低でも2週間以上前から、子どもにおっぱいとさようならすることを予告します。

カレンダーを指差して、「この日におっぱいとバイバイだよ」と繰り返し伝えるようにしてください。

授乳を段階的に減らしていく

子どもが飲む母乳の量を減らしていきます。量を減らしていくには、授乳回数を減らしたり、授乳する時間を短くするとよいでしょう。

具体的には、2〜3日に1回、授乳を減らしていきます。順調に減らせるなら1日に1回、難しいなら4〜5日に1回ずつ減らしても構いません。授乳回数を減らすことで、母乳に関わるホルモンの分泌、母乳量が徐々に減っていきます。

授乳をしない時間を作る

朝昼晩のいずれかで、授乳しない時間を決め、実行します。おすすめなのは、昼の時間の授乳をやめることです。日中なら、遊んだり、散歩したり、おやつを食べたりなどで、おっぱいから気をそらしやすくなります。

すでに離乳食を始めている場合は、授乳をやめた時間には、湯冷ましや麦茶などを与えましょう。

乳離れの日までに、徐々に授乳回数を減らしていき、1日授乳しなくてもよいくらいを目指しましょう。

乳離れ完了

完全に乳離れする日は、子どもがおっぱいのことを忘れるくらい、外で体をいっぱい動かしあそびます。また、夢中になるようなおもちゃで遊んだり、好きなおやつを食べるなどして過ごしましょう。

乳離れのコツ

乳離れは、ちょっとしたコツでスムーズにいくことがあります。ここでは、乳離れのコツをご紹介します。

段階的に授乳を減らしていきましょう

ストロー・マグ・コップを使う

完全に乳離れをする前から、ストローやマグ、コップを使って飲み物を飲む練習をしておきましょう。飲み物は、離乳食が始まる前までは育児ミルク、生後半年から1歳未満では育児用ミルク、お茶や水などを飲ませましょう。

おっぱいが吸えないことを理解してもらう

物事がわかる月齢限定ですが、おっぱいが吸えないことを理解してもらうのもひとつの方法です。たとえば、おっぱいに絆創膏を貼り、「おっぱい、痛い痛いになっちゃった」と演技します。そうすると、おっぱいへの執着が薄れることもあります。ですが、可能な限りマイナスのイメージを持たないような対応が望ましいでしょう。

エネルギーを発散する

子どもは、おっぱいが吸えないと口寂しさをおぼえます。それを緩和するためには、外で体を動かして親子でたっぷり遊び、エネルギーを発散するのがおすすめです。エネルギーを発散させれば、母乳がない生活にも、徐々に慣れていくでしょう。

寝る前のルーティーンをする

寝かしつけるときに授乳をしていた場合には、寝るときにおっぱいを欲しがることがあるかもしれません。おっぱいを欲しがらず、スムーズに寝かしつけるには、お腹をトントンしたり、背中をさすったり、絵本の読み聞かせをするなど、寝る前のルーティーンを決めて行いましょう。また、毎日決まった時間に寝起きして、睡眠リズムを整えておくことも大切です。

おっぱいから気をそらす

おっぱいから上手に気をそらしてあげると、欲しがらなくなることもあります。おっぱいを見せないようにしたり、「おっぱい」という言葉を使わないようにして、おっぱいのない生活にすることや、おもちゃで遊んだりして、おっぱいから気をそらしましょう。

乳離れ後の注意点

乳離れ後に注意したいのは、水分不足にならないようにすることです。これまでは、授乳時間が決まっていて、コンスタントに母乳やミルクで水分を補給ができていました。しかし、乳離れすると、水分を与える時間が決められていないため、水分不足に陥りやすくなります。湯冷ましやお茶などで、しっかり水分補給するよう心がけましょう。

また、乳離れ後に食欲が増すこともあります。食べ過ぎなどによって体調を崩さないように、いつもと違うことはないか様子を見ることも大切です。

そのほか、スキンシップをたくさんとるようにしてください。授乳をやめると、赤ちゃんと触れ合う時間が減ってしまいます。いっしょに遊んだり、マッサージをしてあげたりといった、授乳に変わるスキンシップの時間をつくるようにしましょう。

乳離れは計画的に!

乳離れするまでは大変そうなイメージがありますが、計画的に行えば、案外スムーズにできます。家族に協力してもらい、ご紹介した乳離れのコツもおりまぜて計画を進めていきましょう。

あなたにはこちらもおすすめ

久しぶりの離乳食!つらい苦しい思い出だらけの6年前とは違い…
久しぶりの離乳食!つらい苦しい思い出だらけの6年前とは違い… こんにちは! 今回は私と離乳食についてのお話です! ...
新米ママパパ【離乳食のお悩みあるある】を離乳食インストラクターがずばり解決!
○○○はいつから食べていいの?開始時期のお悩み ・ウインナーやベーコンなど添加物が多いものはいつから食べていいですか?(1歳3か月のママ)...

記事監修

河井恵美|助産師・看護師

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事