銀河とは
七夕伝説で有名な「天の川」は、私たちの地球が属する銀河です。宇宙には、同じような銀河がたくさんあるといわれています。銀河とはどのようなものなのか、簡単に見ていきましょう。
星や宇宙に浮遊するガスなどがある天体
銀河とは無数の恒星・惑星、さらにはチリやガスなどが集まった天体です。夜空に筋を描いたように見える「天の川」も銀河の一部に該当し、地球がある銀河は「天の川銀河」と呼ばれます。
私たちが暮らす地球が、太陽を中心とする「太陽系」に属することは知っている人も多いでしょう。この太陽系は、約1,000億個もの恒星が集まった天の川銀河の一部なのです。
地球から観測できる銀河としては、「アンドロメダ銀河」「大マゼラン銀河」「おとめ座のM87」などがよく知られています。
宇宙とはどう違う?
銀河は無数の星の集まりであるのに対し、宇宙は無数の銀河の集まりです。すなわち宇宙は銀河を包括するものであり、銀河は宇宙の一部に過ぎません。
宇宙の構成要素として、まず無数の星々があります。星々の集まりは「銀河」を形成し、銀河が数多く集まったものが「銀河団」です。
宇宙は、この銀河団と銀河が全く存在しない空間「ボイド」を合わせたもので構成されているといわれ、その構造は「宇宙の大規模構造」と呼ばれています。
代表的な銀河の種類
アメリカの天文学者ハッブルは、銀河の種類を「渦巻銀河」「レンズ状銀河」「楕円銀河」「不規則銀河」に大別しました。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
渦巻銀河
渦巻銀河とは、文字通り渦を巻いているような形状の銀河です。銀河の直径はさまざまで、3万光年以下のものから15万光年を超える巨大なものまで存在します。
渦巻銀河は、中心部分に「バルジ」と呼ばれるふくらみを持つのが特徴です。一般的な渦巻銀河のバルジは円盤型ですが、棒状に伸びているものもあります。こちらは「棒渦巻銀河」と呼ばれ、区別されるのが一般的です。
どちらの渦巻銀河も、中心部から「渦巻腕」と呼ばれる細い帯が伸びています。渦巻腕を構成する星々のうち、腕の端、すなわちバルジから遠いのが若い星です。一方誕生から時間が経った古く赤味が強い星は、バルジに近い位置にあります。
渦巻銀河に該当するのは、天の川銀河やアンドロメダ銀河などです。
レンズ状銀河
形状としては渦巻銀河に似ていますが、渦巻銀河特有の渦巻腕がありません。どちらかというと、扁平形をしているのが特徴です。
また、レンズ状銀河はガスやチリなどをほとんど含みません。銀河内の星は古いものが多く、活動的な星は少ないとされます。
ハッブルの銀河分類でレンズ銀河は、渦巻銀河と後述する楕円銀河の中間という位置付けです。渦巻銀河がガスやチリなどを失ってしまうと、渦巻腕のないレンズ銀河になると考えられています。
代表的なレンズ銀河には、ペルセウス座の「NGC1277」などがあります。
楕円銀河
楕円銀河は、中心が明るい円形や楕円形をしている銀河です。
色や形状には大きな特徴がなく、ガスや星間物質のチリなどはほぼ見られません。若い星が生まれにくく、星の多くは誕生から時間の経った赤い星です。個々の星の輝きが弱い傾向にあるため、渦巻銀河などと比較すると暗く感じるかもしれません。
楕円銀河は、小さいものから大きいものまでさまざまあります。例えば、おとめ座にある「M87」は、太陽の65億倍もの質量を持つ楕円銀河です。一方、アンドロメダ銀河の横にある「NGC205」などは、直径1万光年以下という小さなサイズとなっています。
不規則銀河
銀河の特徴を明確に持たない銀河です。バルジを取り巻く円盤や渦巻腕はもちろん、光が多く集まる中心核も見えません。銀河の中心がどこにあるのか判然とせず、崩れた形状をしています。
形状が不規則になった理由はさまざまですが、「銀河が小さ過ぎる」「銀河同士の相互作用によるもの」のいずれかに当てはまるケースが多いようです。
不規則銀河の代表としては、主に若い星やガスから構成されている「大小マゼラン雲」や、中心部の活発な活動により形状が変化したといわれる「M82(おおぐま座の銀河)」などがあります。
銀河系や銀河団との違いは?
銀河と似た言葉に「銀河系」「銀河団」がありますが、銀河との違いはどこにあるのでしょうか? それぞれの意味や、銀河との違いを紹介します。
太陽系が属している銀河が「銀河系」
銀河系は、地球を含む「太陽系」が所属する天の川銀河のことです。太陽系は銀河系全体の中間くらいに位置し、中心部からは約2万7,000光年離れた場所にあります。
太陽系を含む銀河を「銀河系」と呼ぶようになったのは、翻訳の問題といわれています。英語では銀河を「galaxy」、太陽系を含む銀河を「the Galaxy」または「our Galaxy」とするのが一般的です。
それを日本語に翻訳する際に、銀河そのものについて言うときは「銀河」、太陽系を含む銀河について言うときは「銀河系」とすることになりました。
しかし近年、英語では太陽系を含む銀河を「Milky Way Galaxy」とする傾向が顕著となっています。それに合わせ、日本語でも銀河系ではなく「天の川銀河」とするケースが増えました。
多数の銀河の集団が「銀河団」
銀河団とは、銀河が数百から数千個集まった集合体です。より小さな銀河の集まりを「銀河群」と呼びますが、銀河群と小規模銀河団の明確な違いはありません。
銀河団の特徴としては、銀河が占める割合が少ない点です。銀河団の総質量のうち、銀河が占める割合は数%しかありません。残りの質量は、暗黒物質が約80%、高温ガスが約15%で構成されています。
地球から最も近い銀河団は、おとめ座の方角にある「おとめ座銀河団」です。この銀河団には3,000以上もの銀河があり、12等級よりも明るい銀河が約40個含まれています。
まとめ:宇宙に存在する無数の銀河
銀河は、たくさんの星・ガス・チリなどが集まった天体です。宇宙には他にもたくさんの銀河があり、あちこちで銀河団を形成しています。私たちの地球は天の川銀河のほんの一部で、銀河全体・宇宙全体から見れば非常に小さなものです。
気分を変えたくなった日は、子どもと一緒に夜空を見上げ、壮大な銀河・宇宙に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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構成・文/HugKum編集部