SDGsで日本はどんなことをしている?
日本政府は、2015年にSDGsが採択された後その実施に向け、まず国内の基盤整備に取り組みました。
日本政府の取り組み
日本のSDGsの主な取り組みは、大きく分けると3つあります。
①実施体制の構築
②ジャパンSDGsアワード
③SDGs未来都市
上記の3つをもう少し詳しくご紹介します。
①実施体制の構築
2016年12月 SDGs推進のための中長期戦略である「SDGs実施指針」を策定
2019年12月 初めて「SDGs実施指針」の改定を行う
その後毎年、このSDGs実施指針を基に、政府の具体的な取組を加速させるため、全省庁による具体的な施策を盛り込んだ「SDGsアクションプラン」を策定。国内における実施と国際協力の両面でSDGsを推進してきています。
SDGs実施指針改定版では、これまでの4年間における日本の取組の現状分析に基づき、SDGsの17のゴールを日本の文脈に即して再構成した、8つの優先課題と主要原則を改めて提示しました。
SDGs実施指針改訂版8つの優先課題
- あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
- 健康・長寿の達成
- 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
- 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
- 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
- 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
- 平和と安全・安心社会の実現
- SDGs実施推進の体制と手段
このように日本政府は実施するに際し、日本において必要な現状分析と明確な課題をリストアップしました。
②ジャパンSDGsアワード
続いて、ジャパンSDGsアワードです。前提としてSDGsの達成には、政府主導の取り組みだけでなく、企業・団体などにも積極的な取り組みが求められます。
2017年 ジャパンSDGsアワードが設立されました。これは、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業や団体を表彰する制度で対象となるのは、日本に拠点のある企業や団体で、4つの表彰部門があります。
ジャパンSDGsアワードの表彰部門
- SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞
- SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞
- SDGs推進副本部長(外務大臣)
- SDGsパートナーシップ賞
過去のSDGs推進本部長賞を受賞した団体
- 第1回(2017年):北海道下川町
- 第2回(2018年):株式会社日本フードエコロジーセンター
- 第3回(2019年):魚町商店街振興組合(福岡県北九州市)
- 第4回(2020年):みんなの電力株式会社
- 第5回(2021年):株式会社ユーグレナ
これは、 SDGs推進にあたり、国内の取り組みを「見える化」し、より多くの行動を促進する観点から行われています。 このアワードでは、企業のみならず、NGO/NPO、教育機関、 地方自治体などが表彰され、幅広いアクターがSDGsを主導していくことになります。
このような国内における創意工夫は、日本のSDGs達成に向けた大きな原動力となっています。国民、政府から評価されることで企業のSDGsのモチベーションも高くなると期待されます。
参考:外務省
③SDGs未来都市
日本政府が、SDGsの達成に向けた取り組みを積極的に進める自治体を公募。
経済・社会・環境の三側面の統合的取り組みにより、新たな価値を創造する提案を行った自治体を認定する制度で、自治体のSDGsの取り組みを支援するとともに、成功事例の普及を目的に、2018年度から毎年30都市程度の「SDGs未来都市」を選定しています。
画像引用:内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生
企業の取り組み
実際に、企業がどのようなSDGsの取り組みをおこなっているのかは、こちらの記事を参考にしてください。
日本の達成度ランキングは何位?
世界における日本のSDGs達成度はどのくらいなのでしょうか。ランキングでの順位をご紹介します。
2022年度はランキングで19位
毎年、国別のSDGs目標の達成度に関する順位やスコアが公表されています。2022年6月2日に、国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が発表した「持続可能な開発レポート2022(Sustainable Development Report 2022)」によると、日本は2021年の18位から19位へとランクダウンしました。
ちなみに、下記の図1のランキング表には入っていませんが、2022年アメリカは41位、ロシアは45位、中国は56位となっています。
参照:Sustainable development report 2022
目標別の日本の達成度と課題
日本は、SDGsの17の目標のうち、どれが達成され、どれは課題が残るのか、「達成された/課題が残る」の評価早見表「SDG Dashboards and Trends」で説明します。
下記の早見表は色によって達成度がわかりやすく表現されています。
緑は目標達成(SDG achieved)、黄は課題が残っている(Challenges remain)、オレンジは重要な課題が残っている(Significant challenges remain)、赤は、主要な課題が残っている(Major challenges remain)を表します。
画像引用:Sustainable development report 2022
4種類の矢印は、目標別の進捗(変化・動向)を示します。緑の上向きの矢印は2030年までの目標達成に向けて順調な割合でスコアが増加している(On track or maintaining SDG achievement)。黄の右斜め上向きの矢印は、適度に改善している(Moderately improving)。オレンジの右向きの矢印は、停滞している(Stagnating)。赤の下向きの矢印はスコアが減少している(Decreasing)。グレーの●(ー)に関しては、データがないことを表しています。
日本が達成した目標は3つ(緑)
4 質の高い教育をみんなに
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
16 平和と公正をすべての人に
日本で課題が残っている目標は5つ
1 貧困をなくそう
3 すべての人に健康と福祉を
6 安全な水とトイレを世界中に
8 働きがいも経済成長
11 住み続けられるまちづくりを
日本で重要な課題が残る目標は3つ
2 飢餓をゼロに
7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
10 人や国の不平等を無くそう
日本で大きな課題が残る目標は6つ
5 ジェンダー平等を実現しよう
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
17 パートナーシップで目標を達成しよう
目標達成には国民の意識も大事
上記からわかる通り、日本には、地球の自然環境の持続可能性に関する【目標12~15】が大きな課題として残っています。
日本の優れた環境技術と相まって、SDGs達成度の評価には大きなギャップがありますね。
2030年に向けて目標達成率を少しでも上げるには政府、企業はもちろん市民の行動、意識も大切になってきます。さまざまなアクターを巻き込むことで地球規模の課題の解決を促すべきでしょう。
すべての人々がSDGsに取り組むべき
今回は日本政府による国内のSDGsの取り組みをテーマに紹介しました。少し前までの環境問題とSDGsとの大きな違いは、やはり企業や市民の参加が求められている点です。
SDGs17の目標の詳細にもいくつか「すべての人々の」と言う言葉があるように、地球に住むすべての人、動物にとっての持続的な発展がゴールなのです。
家でできることや、商品を買うことでできる貢献もあります。待ったなしで、一人一人がSDGsに関心を持って取り組むときです。
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文/シラタマ 構成/HugKum編集部