金刀比羅宮とは?
「金刀比羅宮(ことひらぐう)」について、名前を聞いたことはあっても、詳しく知らない人もいるでしょう。そこで、最初にどのような神社なのかを紹介します。
香川県の象頭山中腹にある神社
金刀比羅宮は、香川県琴平町の象頭山(ぞうずざん)中腹にあり、「こんぴらさん」とも呼ばれている神社です。いつ創建されたのかは、不明とされています。
参道口から御本宮までは785段、奥社の厳魂神社(いずたまじんじゃ)までは1,368段の石段が続いています。海抜251mの御本宮の展望台からの眺めがよく、見どころの一つです。
御本宮の御祭神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の弟の子である「大物主神(おおものぬしのかみ)」と、第75代天皇の「崇徳(すとく)天皇」です。古くから海上守護・農業・殖産・医薬の神として信仰されています。
多様なご利益
大物主神は「神々の中で最も偉大なる力を持つ神」という意味で、運を司る神という言い伝えもあります。ご利益は海上守護・大漁満足・商売繁盛・工場安全など多岐にわたり、パワースポットとしても人気です。
象頭山は、古くから瀬戸内海航路の目印とされていたこともあり、現在も海上守護を担う「海の神様」として人々の信仰を集めています。
都内にある「虎ノ門金刀比羅宮」
東京都港区虎ノ門(とらのもん)には、金刀比羅宮の御分霊が祀(まつ)られている「虎ノ門金刀比羅宮」があります。
1660(万治3)年に讃岐(さぬき)国丸亀藩主だった「京極高和(きょうごくたかかず)」が、芝・三田に金刀比羅宮の御分霊を祀ったのが起源です。1679(延宝7)年に現在の虎ノ門に移され、現在に至っています。
本殿に向かって右側に位置する「結(むすび)神社」は、江戸時代から良縁を求めて多くの女性が訪れており、「良縁祈願」で有名なスポットです。さまざまな行事も開催されており、なかでも1月の「初こんぴら祭」と10月の「大祭」は多くの人で賑わいます。
金刀比羅宮の見どころ
御本宮以外にも、金刀比羅宮には多くの見どころがあります。見逃せない主な見どころを紹介しますので、事前に確認しておきましょう。見どころを知っておくことで所要時間が予測でき、計画を立てやすくなります。
「旭社」と「厳魂神社(奥社)」
天照大御神をはじめ、複数の神様が祀られている「旭(あさひ)社」は、高さ約18mの社殿が特徴で、40年もの歳月をかけて1837(天保8)年に完成しました。注目すべきポイントは、屋根裏の巻雲(けんうん)と柱間や扉に彫られた人物・鳥獣・草花などの装飾です。
「厳魂神社」は、御本殿からさらに約1km登った場所にあります。祀られているのは「厳魂彦命(いずたまひこのみこと)」で、金刀比羅宮の発展に尽力した人物です。海抜421mに位置しているため、絶景が望めるのも見どころの一つです。
「宝物館」と「表書院」
1905(明治38)年に建てられた「宝物館」には、金刀比羅宮の数多くの宝物が納められています。なかでも有名なのが、重要文化財の「十一面観音立像(かんのんりゅうぞう)」や、重要有形民俗文化財の「象頭山社頭並大祭行列図屛風(びょうぶ)」です。
「表書院」は、1658~1660(明暦4~万治3)年頃に建築されたといわれており、建物自体が重要文化財に指定されています。もともとは客殿で、儀式や参拝に訪れた人との応接の場として使われていました。
内部の五間に描かれた「円山応挙(まるやまおうきょ)」による障壁画も重要文化財なので、見逃さないようにしましょう。
かわいらしい姿が人気の「こんぴら狗」
イラストレーターの湯村輝彦(ゆむらてるひこ)がデザインした、かわいらしい「こんぴら狗(いぬ)」の銅像も人気スポットです。こんぴら狗は、飼い主に代わって参拝をした犬のことです。
江戸時代の庶民は、「旅行」が禁じられていましたが、「参拝」は許されていました。当時、伊勢神宮への参拝「お伊勢参り」と並び人気だったのが、金刀比羅宮への参拝です。
しかし江戸から遠かったため、代理人や犬が参拝に行くことも珍しくありませんでした。飼い主の情報や道中の食費などを入れた袋を首に下げて、複数の旅人に世話をされながら目的地に出向いたとされています。
金刀比羅宮のお守りと御朱印
神社を訪れたら、記念にお守りや御朱印を購入したいという人もいるのではないでしょうか。自分用だけでなく、お土産にもおすすめなものを紹介します。
「幸福の黄色いお守り」や「天狗御守」
人気が高く名物になっているお守りが、「幸福の黄色いお守り」です。ウコンで染められた鮮やかな黄色が特徴で、熟練した職人によって丁寧に作られています。かわいらしい「ミニこんぴら狗」とセットになったタイプもあります。
厳魂神社の神札授与所でのみ購入可能な「天狗(てんぐ)御守」も人気です。黒い布に、天狗の刺繍(ししゅう)が施されているのが特徴で、紐(ひも)は赤と白の2種類から選べます。
そのほかにも、学業成就・安産・縁結びなどさまざまなお守りや守札、キーホルダーなどが販売されているので、用途や好みに合うものが見つかるでしょう。
御朱印は3種類
御朱印は、期間限定のものを含め、3種類のデザインがあります。金刀比羅宮の「紅葉」デザインは、大正天皇ご即位の大嘗祭(だいじょうさい)のために作られた舞曲「讃岐風俗舞」を紅葉祭で演奏する舞人の後ろ姿が描かれており、秋季限定で購入可能です。
白峰(しろみね)神社の「小倉百人一首」のデザインは、御祭神である崇徳天皇が詠んだ歌をイメージしたデザインで、白地に紅葉や川が描かれています。
厳魂神社の「修験道(しゅげんどう)」のデザインは、天狗とカラス天狗の彫り物が描かれており、厳魂神社の神札授与所でのみ購入可能です。
金刀比羅宮を訪れる前のチェックポイント
より観光を楽しめるように、事前に知っておきたいチェックポイントを紹介します。さまざまな年間行事の中から、注目したい行事についても押さえておきましょう。
駐車場と所要時間
境内には参拝のための駐車場がありません。車で行く場合は、参道や最寄り駅周辺の有料駐車場を利用しましょう。最寄り駅は、JR土讃線(どさんせん)「琴平駅」(徒歩約20分)と高松琴平電鉄「琴平駅」(徒歩約15分)です。
石段1段目から御本宮のある785段目までは、片道約30分~1時間です。厳魂神社までは、さらに583段あります。子どもや高齢者が一緒の場合は、時間にゆとりを持って出掛けましょう。
境内にはカフェ&レストラン「神椿(かみつばき)」があり、途中で休憩もできます。神椿のみ訪れる場合は、「神椿駐車場」を利用可能です。
「例大祭」や「蹴鞠」などイベント
年間を通して、さまざまな行事が行われているので、行事に合わせて足を運ぶのもおすすめです。
「例大祭」は、最も重要な神事で、46日間にわたって行われます。10月10日は年に1回、大神様が降りてこられる日とされ、平安時代を彷彿(ほうふつ)とさせる、数百人におよぶ大行列やお神輿(みこし)が見どころです。
5月5日の「奉納蹴鞠」、7月7日の「七夕鞠」、12月末の「納鞠」の年3回、蹴鞠(けまり)をする様子も見学できます。古記によると、蹴鞠は500年頃に仏教とともに伝来したとされ、初めて日本で行われたのは第31代用明(ようめい)天皇の時代とされています。
参考:金刀比羅宮
一度は訪れたい金刀比羅宮
金刀比羅宮には、大物主神と崇徳天皇が祀られており、古くから多様なご利益があることで有名です。絶景が望める御本宮以外にも、厳魂神社・表書院・こんぴら狗など多くの見どころがあります。
参道口から御本宮までは785段、そこから厳魂神社まではさらに583段、計1,368段の石段が続いています。子どもや高齢者と一緒に行く場合は、時間にゆとりを持って計画を立てましょう。
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構成・文/HugKum編集部