目次
潮干狩りの旬はいつ?何が採れる?
「潮干狩り解禁」というようなニュースを耳にすることがありますが、潮干狩りの旬とはいつごろなのでしょうか。潮干狩りで採れる貝の種類もあわせてみていきましょう。
潮干狩りは春が旬!
潮干狩りの旬は春です。地域によって異なりますが、3~6月ごろと考えればよいでしょう。潮干狩りで定番の貝「アサリ」を採りたいのであれば、産卵期前の4~5月ごろが最も適しています。
潮干狩りでは潮が引いた後の海岸に残された貝を採取するため、干満の差が大きい大潮の期間が最も楽しめるタイミングです。大潮は、新月から次の新月までの間に2回ほど現れます。
1日のなかでのベストな時間帯は、干潮のおよそ2時間前から干潮までです。干潮の時間帯は各潮干狩り場で知らせているので、事前に確認しておくとよいでしょう。
潮干狩りで採れる貝
英語では潮干狩りのことを「clam digging」といいます。「clam」はアサリなどの二枚貝のことですが、実際にはどういった貝が採れるのでしょうか。
●アサリ
貝殻の直径は4~6cmほどで、塩分が少なく波が低い内湾の干潟に生息しています。太平洋側では5月ごろに最も美味しくなり、酒蒸しや味噌汁、深川めしと使い勝手のよい食材です。
●ハマグリ
貝殻の直径は8~10cmほどで、アサリに次ぐ潮干狩りの主役といえます。向いている調理法は炊き込みご飯や酒蒸しなどです。高価な貝なので、潮干狩りで採取できれば喜びもひとしおでしょう。
●マテガイ
10cmくらいの棒のような形をしている二枚貝です。採り方は他の貝と違い、巣穴に塩を入れてマテガイが顔をだしたところを採ります。バター焼きや煮つけで食べるのが人気です。
●バカガイ
江戸前寿司では「青柳(あおやぎ)」の名で有名な、潮干狩りで採れる4大貝の一つです。ハマグリと同じくらいの大きさで、ベージュ色をしています。砂抜きでは塩茹でした後で冷水に移し、一つずつ身を取り出して洗う必要があります。
潮干狩りは春以外にも楽しめる?
潮干狩りは夏や秋でも可能ですが、春ほどは楽しめないようです。
潮干狩りに最適な大潮は毎月2回ほどやってきますが、春分の時期が最も干満の差が大きくなります。さらに、春は日中に干潮が来るため潮干狩りがしやすいのです。
夏は春よりも潮位が高いため、干潮でも露出される海底が少なくなります。潮干狩りというより、海水に入って見えない海底を手探りするような状態です。
秋にも秋分の時期に大潮がありますが、干潮は夜中になります。冬の干潮は明け方です。寒い季節に真っ暗な海に入って貝を採るのは、あまり楽しいとはいえないでしょう。
潮干狩り場を選ぶ
次は、どこの潮干狩り場へ行くかを決めなくてはなりません。潮干狩り場を選ぶ際に、どういったことに気をつければよいか説明します。
潮干狩り場選びのチェックポイント
潮干狩り場を選ぶ際には、いくつかのチェックポイントがあります。
1.休憩所・駐車場・トイレ・売店の設備
2.潮干狩りに最適な時間帯(干潮の2時間前から干潮まで)
3.道路の混雑状況
有料の潮干狩り場なら、1についてはクリアしているところが多いようです。2についても、ホームページに潮位表を掲載している施設が多いので、事前にチェックしておきましょう。
3については、潮干狩り場に問い合わせれば情報が得られる場合もあります。ただ、自宅から潮干狩り場への経路における渋滞情報は、自分でリサーチする必要があるので注意しましょう。
関東・東海・関西のおすすめ潮干狩り場
関東・東海・関西にある潮干狩り場をいくつか紹介します。
●関東の潮干狩り場:ふなばし三番瀬(さんばんぜ)海浜公園
人気の高い、千葉県船橋市のふなばし三番瀬海浜公園では、ホームページで毎日の開催時間が掲載されているのでチェックしてから出掛けましょう。利用券の購入方法は、セブンイレブンのセブンチケットでの事前購入のみなので要注意です。
ふなばし三番瀬海浜公園
●東海の潮干狩り場:竹島海岸
愛知県蒲郡市の竹島海岸は、干潮時には竹島海岸から竹島まで砂浜がつながり、絶景の潮干狩り場になります。竹島は、島全体が国の天然記念物に指定されているパワースポットでもあります。
竹島海岸
●関西の潮干狩り場:二色(にしき)の浜海水浴場
大阪府貝塚市の二色の浜海水浴場は、全長約1kmの広々とした砂浜で潮干狩りができます。潮干狩り後は、名物の貝めしや貝鍋も堪能しましょう。採った貝のうち、大人600g・子ども300gまで持ち帰れます。
二色の浜海水浴場
潮干狩りの準備【服装】
潮干狩りに行く際には、どのような服装が適しているのでしょうか。帽子や靴の選び方をチェックしましょう。
服装の選び方
潮干狩りの服装は、「濡れてもいい」「汚れてもいい」「日焼けしにくい」が基本的な3原則です。
上半身は肩や腕を日焼けから守るために、長袖の着用をおすすめします。下半身は太ももが隠れるくらいのハーフパンツ、または水陸両用のサーフパンツがベストです。しゃがむ姿勢を長くとるので、サイズがゆるめのものを準備しましょう。
海岸に長時間いると、直射日光が強かったり、陽が陰ったときの風が意外と冷たかったりすることもあります。体温調節のためには、ジャケットやパーカーがあると便利です。
子どもには遠くからでも目立つ色合いの服を着せましょう。潮干狩り場は混雑することが多く、貝を採ることに夢中になっていると、つい子どもから目を離してしまうことがあるからです。
海水や泥で汚れたとき用の着替えも、忘れずに持参しましょう。
帽子と靴の選び方
5月頃になると気温が30℃を超えることもあるので、熱中症・日焼け対策として帽子を忘れないようにしましょう。
帽子はキャップよりも、つばが広いサファリハットがおすすめです。あごヒモつきなら風に飛ばされにくいので、帽子に気を遣わずに貝探しができます。
靴はマリンシューズや長靴がおすすめです。潮干狩り場には割れた貝殻やガラス、石がたくさんあり、ビーチサンダルではケガをするおそれがあります。
マリンシューズは足を覆うので、ケガをする危険性が減ります。また、ビーチサンダルは海中では意外と動きにくいので、避けたほうがいいでしょう。
▼こちらの記事も参考に
潮干狩りの準備【道具】
潮干狩りにはどのような道具が必要なのでしょうか。貝を採るときに必要なもの、持ち帰る際に便利なものなど、使いやすい道具を紹介します。
熊手の選び方
潮干狩りでは砂をかき分けながら貝を採るので、貝を傷つけないように先が丸まっている熊手(くまで)がおすすめです。
先が丸まった熊手は忍者(にんじゃ)熊手といい、子どもでも扱える大きさで、ホームセンターなどで販売しています。潮干狩り場によっては、レンタルを行っているところもあります。
ただし、網がついた忍者熊手の場合、貝を採りすぎるという理由で使用を禁止している潮干狩り場もあるので、事前に確認が必要です。
熊手よりも大きいジョレンもまた、ひと掻きで大量の貝を採取できるため、使用を禁止している潮干狩り場が多いようです。漁業権侵害として没収・罰金が課されることがあり、持ち運びも不便なので、使用しないほうがよいでしょう。
カゴやネットの選び方
採った貝を入れておくネットや、道具を入れて持ち運ぶカゴも必要です。
ネットは洗濯ネットやキッチンネットなど、100円均一の店で売っているものでも、十分な強度があれば使えます。潮干狩り場によっては、ネットを販売していることもあります。
膝くらいまで海水に浸かって貝を採ることもあるので、ネットは水に浮くものを選びましょう。
カゴは、熊手やマテガイを採るときに使う塩などを入れて持ち運ぶために使います。貝採取のスポットを探して歩くときにも、カゴを使えば移動しやすく便利です。持ち運びで使うため、軽くて丈夫なものを選びましょう。
クーラーボックス・その他のグッズ
他にも、潮干狩りに便利なグッズがたくさんあるので紹介します。以下は、作業中にあると便利なグッズです。
●防水ケース
●ばんそうこうや消毒液
●折りたたみ椅子
●軍手
●タオル
防水ケースは、財布や鍵など濡れたら困るものを入れておくのに便利です。折りたたみ椅子があれば、腰を降ろして貝を掘れます。ずっと中腰の姿勢が続くと腰を痛めてしまうため、あると助かるグッズです。
貝を持ち帰るのに便利なグッズには、以下のようなものがあります。
●クーラーボックスと保冷剤
●新聞紙
●2Lのペットボトル
貝は温度が上がると鮮度が落ちてしまうので、保冷剤と一緒にクーラーボックスで冷やして持ち帰りましょう。新聞紙で貝を包んでおけば、冷やしすぎを防げます。
ペットボトルは、砂抜きに使う海水を持ち帰るのに使用します。
潮干狩りのコツ
コツを知らなかったばかりに、潮干狩りで残念な思いをするのは避けたいものです。ここでは、潮干狩りのちょっとしたコツを紹介します。
貝を見つけるコツ
まず、貝がたくさん潜っていそうな場所を見つけましょう。
●コツ1:川の近くで淡水と交わる場所を狙う
淡水が流れ込んで塩分濃度が低くなっている汽水域(きすいいき)は、二枚貝が好んで潜んでいる場所です。潮干狩り場を選ぶ際にチェックしてみましょう。
●コツ2:海と砂が交わる場所を狙う
海と砂が交わる場所とは、波打ち際で波が引いても海水が少し残っている場所のことを指します。砂が盛り上がって段差ができている「カケアガリ」もねらい目です。
●コツ3:アサリの目を見つける
3mmほどの穴が二つあるところを探しましょう。この穴は、砂に潜っているアサリが、エサを採って海水を吐き出した際にできる穴です。
●コツ4:アサリを1個見つけたら周りも探す
アサリは群れで生息しているので、1個あれば周辺にもアサリがいる可能性があります。
掘り方のコツ
貝を見つけたら、どのように掘ればよいのでしょうか。掘り方にもちょっとしたコツがあります。
●コツ1:熊手の先が貝に当たったら、手で掘る
熊手で掘り続けるのは意外と力が必要です。熊手の先で貝を見つけたら、周りの砂をほぐしながら手で掘っていくと、速く掘ることができ、貝も傷つきません。
●コツ2:深く掘ることも大事
二枚貝は思ったよりも深いところに生息しています。アサリなら10~15cm、ハマグリなら20cmくらい砂を掘ったほうがよいでしょう。
持ち帰り方のコツ
貝を持ち帰る際は、貝の鮮度が落ちないように、できる手立てはなるべく施しましょう。
●コツ1:貝は網目のあるネット・カゴに入れて持ち運ぶ
網目のあるネットやカゴであれば水と分けられるので、バケツで運ぶより軽くなります。
●コツ2:長距離移動なら、貝はクーラーボックスに入れる
長距離を移動する場合は温度が上がってしまうので、クーラーボックスに保冷剤を入れ、冷やしながら持ち帰りましょう。
●コツ3:海水を持ち帰る
アサリなどの砂抜きをするのに海水が必要なので、ペットボトルに入れて持ち帰りましょう。砂抜きに使う海水の量は、採った貝と同じぐらいの量が目安です。
潮干狩りのルールとマナー
潮干狩りにもルールとマナーがあります。知らなかったでは済まされないルールもあるので、きちんと守って楽しい思い出にしましょう。
潮干狩り場での禁止事項
潮干狩り場では、貝を採ってもよいエリアが厳格に決められている場合があります。地元の漁業権を守るために、乱獲されないよう制限しているのです。
境界がわかるように柵を立ててある会場もありますが、そうでない場合もあるので、注意書きを見逃さないようにしましょう。
他にも、採取量を制限していたり、稚貝の採取を禁止していたり、大きな道具の使用を禁止していたりと、さまざまなルールがあります。禁止・注意事項は潮干狩り場ごとに異なるので、ホームページなどで事前に確認しておきましょう。
潮干狩りでの気配り
ルールとして決められていなくても、守ったほうがよいマナーもあります。
●稚貝をリリースする
2cm以下の小さい貝(稚貝)は海へ戻しましょう。稚貝は、今後の貝を増やすために必要だからです。会場によっては、貝を増やすために稚貝を放流しているところもあるくらいです。
●掘った穴は埋める
他の人がケガをする危険性があるため、砂を掘ったところは埋め戻しておきましょう。当たり前のことですが、意外と忘れがちです。
●自然環境に配慮する
自然環境を維持するために、むやみに海藻類を抜かないこと、ゴミは持ち帰ることを徹底しましょう。
潮干狩りの危険性・気をつけること
海での遊びは事故やケガと背中合わせです。危険を未然に防ぐために知っておいたほうがよいことを説明します。
水の事故・手足の切り傷に注意
●水の事故に注意
夢中になって遊んでいると時間を忘れてしまいがちですが、海に取り残されないように注意しましょう。
潮干狩りは干潮のときに海岸で行いますが、時間の経過とともに潮が満ちてきます。気づいたら海に囲まれていたということがないように気をつけましょう。
人間は膝までの水深でも、油断すると溺れることがあります。特に、子どもやお年寄りがいる場合は、早めに声掛けをして引き上げましょう。
●手足の傷・ケガに注意
干潟にある貝殻やガラスの破片で、手足を傷つける危険があります。ケガを防ぐためには、軍手やマリンシューズで手足を保護しておくのがおすすめです。
他にも、尾に毒を持つアカエイに刺されることがあります。アカエイは砂の中に潜っているため、うっかり踏みつけると刺されてしまいます。アカエイを見つけたら、潮干狩り場の係員に知らせましょう。
貝毒に注意
持ち帰る貝のなかに、貝毒(かいどく)が発生している場合があります。アサリなどの二枚貝はプランクトンを栄養源にしているため、プランクトンが毒性だと、貝にも毒が蓄積されることがあるのです。
貝毒にはマヒ性の毒と下痢性の毒があり、食後およそ30分から4時間くらいで症状が現れます。貝毒は熱にも強いため、加熱調理しても毒性は消えません。
貝毒は、水温が高くなると発生しやすくなるといわれています。各都道府県では定期的に貝毒の検査を実施しているので、各自治体や潮干狩り場のホームページなどで事前に確認しておきましょう。
参考:貝毒とは
安全に注意して、潮干狩りを楽しもう!
潮干狩りは春が旬で、アサリなどの二枚貝が採れます。潮干狩り場に行く際は、「濡れてもいい」「汚れてもいい」「日焼けしにくい」服装で、熊手などの便利な道具を用意しておくと便利です。
ルールやマナーは潮干狩り場ごとに異なるため、事前に確認しておく必要があります。あわせて、事故やケガに注意しながら行うことも忘れてはいけません。
楽しい思い出を事故やケガで台無しにしないよう、安全に注意して楽しみましょう。
こちらの記事もチェック!
構成・文/HugKum編集部