キルギスってどんな国? 首都ビシュケクやイシク・クル湖などの有名どころをチェック【HugKum世界紀行】

中央アジアに位置するキルギス。現在も80もの民族が共存し、さまざまな文化がある国です。そんなキルギスについて、首都や人口、面積などの基本情報から、治安情報、観光の見どころまでご紹介。キルギスについて知りたいことを、あらためて確認してみましょう。

キルギスってどんな国?

キルギスはユーラシア大陸のほぼ中央にある国。シルクロードの要となって栄えてきました。そこに暮らす人々は日本人と顔がそっくりな人が多く、キルギス人と日本人の祖先は同じだと言われています。

国土の9割が高地や山岳地帯にあり、美しい自然に囲まれています。一方、首都ビシュケクなどは活気あふれる都市で、さまざまな表情を見せてくれる国です。

キルギスの首都ビシュケクにあるモスク・ミナレット
キルギスの首都ビシュケクにあるモスク・ミナレット

キルギス基本情報

まずはキルギスの基本情報からご紹介します。

国名

キルギス共和国

首都

ビシュケク

場所

キルギスがあるのは、中央アジアの真ん中。北にはカザフスタン、東と南は中国(新疆ウイグル自治区)、南にタジキスタン、西にウズベキスタンと面しています。中央アジア5ヵ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)の1つです。

日本との時差

3時間(日本の方が3時間進んでいます)

面積

198,500平方km(日本の約半分)
日本の総面積は378,000平方kmで、キルギスの面積は日本のおよそ半分ほどです。

エリア

キルギスは7つの州に分かれています。首都ビシュケクがあるのは、ビシュケク特別市です。

・ビシュケク特別市
・バトケン州
・チュイ州
・ジャララバード州
・ナルイン州
・オシ州
・タラス州
・イシク・クル州
・オシ特別市

人口

670万人(2022年)

東京都の人口がおよそ1400万人(2023年2月時点)で、約2分の1です。

言語・公用語

キルギス語が母語、ロシア語が公用語

通貨

ソム

1ソム=約1.56円(2023年3月10日時点)

宗教

イスラム教スンニ派

キルギスの国旗

歴史

17~18世紀頃までにキルギス人の民族形成が進行
18世紀後半~19世紀前半 コーカンド・ハン国による支配
1855年~1876年 ロシア帝国に併合
1918年 ロシア連邦共和国内の一部としてトルキスタン自治ソビエト社会主義共和国成立
1924年 中央アジアの民族・共和国境界確定により、ロシア連邦共和国内のカラ・キルギズ自治州となる
1926年2月 キルギス自治ソビエト社会主義共和国成立
1936年 ロシア連邦共和国から分離し、ソ連邦を構成するキルギス・ソビエト社会主義共和国に昇格
1990年6月 オシュ事件(キルギス系住民とウズベク系住民の衝突)
1990年10月 アカーエフ大統領就任
1990年12月15日 「キルギスタン共和国」に改名、国家主権宣言
1991年8月31日 国家共和国独立宣言
1993年5月 国名を「キルギス共和国」に変更

天気・気候

キルギスは年間を通して雨が少ないのが特徴で、晴れの日は年平均で322日もあります。

ただ国土の9割が標高1500メートルの高地にあるため、冬は厳しい寒さとなります。首都ビシュケクで、12月~2月頃はマイナス2~5℃ほどになります。

4月~9月頃は高山植物が咲くなどして、過ごしやすい気候で景色も美しく、ベストシーズンは5月~8月です。ビシュケクの夏は、最高気温が30℃を超えることもあります。

アルティンアラシャンの山岳風景。「中央アジアのスイス」との異名もうなずける
アルティンアラシャンの山岳風景。「中央アジアのスイス」との異名もうなずける。

キルギスの治安・住みやすさ

治安面についてはどうでしょうか?

治安はレベル1~2、一部は危険なエリアも

外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年3月21日時点で、キルギスの治安はレベル1または2。一部地域でレベル3もあります。

「渡航中止勧告」のレベル3が発令されているのは、バトケン州のウズベキスタンとタジキスタンの飛び地。またウズベキスタン、タジキスタンとの国境地帯、オシュ州とジャララバード州のウズベキスタンとの国境地帯です。これらの地域は、イスラム過激派組織や麻薬密輸グループの移動ルートとみられているほか、キルギスとタジキスタンとの衝突が生じていることから、テロ行為などが発生する恐れがあります。

また上記エリアを除くバトケン州は、「不要不急の渡航中止」のレベル2、首都ビシュケク市を含め、それ以外の全土は「十分注意してください」のレベル1です。

2022年7月には、ビシュケク市でテロ計画していた容疑者が検挙されるなど、テロのリスクがあります。また銃器を使用した傷害事件、強盗事件などの凶悪犯罪も起きているため、十分な警戒が必要です。

暮らすのは危険

キルギスは、以前からイスラム過激派組織や麻薬密輸組織の移動ルートになっていると言われています。特に南部では治安当局の取り締まりで、多くの人々が拘束され武器なども押収されています。さらに1999年にはイスラム過激派組織によって日本人が誘拐される事件も発生しています。そのため、暮らしていくには危険な国であると言わざるを得ないでしょう。

キルギスの見どころ・観光

多様な民族が暮らし、さまざまな文化が交錯するキルギスには、見どころや観光スポットも数多くあります。

アラ・アルチャ自然公園

ビシュケクから30キロメートルほど離れたところにある、アラ・アルチャ自然公園。アラ・アルチャ川の渓谷と、氷河があるほか、4000メートル級の登山のスタート地点にもなっています。美しい山々や氷河を見られる場所です。

800種以上の高山植物があり、ユキヒョウも棲息しているといわれるアラ・アルチャ自然公園。
800種以上の高山植物があり、ユキヒョウも棲息しているといわれるアラ・アルチャ自然公園。

イシク・クル湖

「中央アジアの真珠」や「キルギスの海」と呼ばれるのが、ビシュケクから東に180キロメートルの地点にあるイシク・クル湖。

イシクとはキルギス語で「熱い」の意味で、塩分を含む水のため、-20℃になる冬であっても凍りません。湖底には集落跡の遺跡が沈んでおり、地元ではさまざまな伝説が言い伝えられています。

高山湖でありながら決して凍ることがないため、キルギス語で「熱い湖」を意味するイシク・クル湖。自然保護区に指定され、人気のリゾート地となっている。
高山湖でありながら決して凍ることがないため、キルギス語で「熱い湖」を意味するイシク・クル湖。自然保護区に指定され、人気のリゾート地となっている。

カラコル

カラコルは、イシク・クル州の州都。1869年にロシア革命が起きると、数多くの移民が入植し、食べ物や織物なども入ってきて一気に工業都市に変貌してきました。

街にある教会やモスクなどは、ロシアの面影があり、そんなロシアの歴史も感じられる場所です。

カラコルにあるロシア正教の聖三位一体教会は木造建築。1872年に石造にて建築されるも地震倒壊を経て、1895年木造建築の教会として再建された。
カラコルにあるロシア正教の聖三位一体教会。1872年に石造にて建築されるも地震倒壊を経て、1895年木造建築の教会として再建された。

バラサグン遺跡

10世紀末から12世紀頃、カラハン朝の都だったのが、バラサグン遺跡です。かつては40メートルほどの高さがあったという「ブラナの塔」でもよく知られている場所。塔の近くには、小さいですが博物館もあり、バラサグン遺跡に関する歴史などを知ることができます。

バラサグン遺跡のブラナの塔はキルギスを代表する世界遺産。塔はミナレット(イスラムの宗教儀礼の施設)として建てられたと言われているが、詳細はわかっていない。
バラサグン遺跡のブラナの塔はキルギスを代表する世界遺産。塔はミナレット(イスラムの宗教儀礼の施設)として建てられたと言われているが、詳細はわかっていない。

キルギスの特徴・有名なもの

キルギスで有名なものにバザールなどもあります。

バザール

キルギスの人々の台所となっているのが、各地で行われているバザール。野菜や果物、肉、乳製品などの食料品はもちろん、洋服、日用雑貨、おみやげまで、あらゆるものが売られていて、活気ある人々の生活をのぞくことができます。

バザールで売られているキルギスのパン。キルギスでは麺や米料理を食べるときもパンを食べると言われている。
バザールで売られているキルギスのパン。キルギスでは麺や米料理を食べるときもパンを食べると言われている。

日本人とルーツが同じ

キルギス人の顔が日本人とよく似ているのは、日本人とキルギス人のルーツが同じだと言われているから。しかもキルギスでは親日家が多く、日本のマンガやアニメなども人気で、日本語を勉強している人も多いそうです。

親しさを感じる国キルギス

キルギスは日本から遠く離れた国ですが、日本人でさえ現地の人と日本人の区別がつかないほど、日本人とそっくりの顔の人が多く暮らしています。日本に興味を持っている人も多く、日本にいる私たちも親しさを感じられる国のひとつなのではないでしょうか。

治安を考えると簡単に旅行に行ける場所ではありませんが、こんな国が中央アジアにあることに興味を持って、どんな歴史や文化があるのか調べてみると視野が広がりますね。

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文・構成/HugKum編集部

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