JPIC読書アドバイザーの児玉ひろ美さんが、小学校低学年への読み聞かせにおすすめな絵本を厳選ピックアップ!「笑える!」と人気の面白い絵本と読み聞かせのコツも合わせてご紹介!
小学校低学年への読み聞かせで「笑える!」と人気の【面白い絵本】
【1】『あめふりの おおさわぎ』
デイビッド・シャノン/作 小川仁央/訳 評論社
◆こんな本
土曜日の朝、雨が降り出します。すると、ニワトリが鳴き、ネコがフッーとうなって、犬がほえ。通りは車が渋滞して、人々は大げんか。そして、お店の果物が転がり始めたそのとき!雨があがって……。雨がきっかけとなって起こる大混乱が、ユーモアたっぷりにテンポよく描かれています。
◆読み聞かせのコツ
次々に起こる事件のテンポのよいおもしろさが伝わるよう、できれば一回は下読みをお勧めします。お子さんは画面いっぱいに広がる絵を眼で楽しみ、耳からは言葉の楽しさを堪能します。見返し部分のブルーの美しさにも是非ご注目。
【2】『うえきばちです』
川端誠/作 BL出版
◆こんな本
パステル調の表紙に植木鉢と小花、手書き風のタイトル、見返しも淡い緑で柔らかいイメージですが...「うえきばちがあったので つちをいれて、のっぺらぼうをうえました。」と、想定外のスタート。「めがでました」「はがでました」「はながさきました」。同音異義語の、怖くて面白い衝撃の展開が!
◆読み聞かせのコツ
ナンセンスで笑える展開の絵本を読むコツは、何ごともない風に大真面目な表情で滑らかに読むこと。読み手が笑ったり、驚いたりしてはその面白さが半減します。ご自身が笑わなくなるまで十分に楽しんでから、お子さんに読んでくんださい。
【3】『おうさまがかえってくる100びょうまえ』
柏原佳世子/作 えほんの杜
◆こんな本
王さまがお出かけの間に、三人の家来は王様の豪華な部屋でやりたい放題。なんて楽しいのでしょう!でも、王様が思いのほか早くお戻りになり、さあ大変!「おうさまがかえってくるぞ―!かえってくるまで…あと100びょうだ!」カウントダウンでお片付けが始まります。間に合うかしら?
◆読み聞かせのコツ
カウントダウンの数字が100から戻るのではなく、1から始まっています。ですから、未就学児さんも、一緒に楽しめます。見返しには、前後でお部屋が散らかる前とお片付け後の絵があり、間違い探しも楽しめます。
【4】『しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん』
高野文子/作 福音館書店
◆こんな本
「どうぞ わたしの おしっこが よなかに でたがりませんように」「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」敷布団さんに頼んで眠るぼく。そして、敷布団さんのなんて頼もしいこと!主人公の僕は掛布団さんにも枕さんにも、あれこれお願いをして眠ります。2歳~4歳向けの生活絵本は、そのことが余裕でできるの低学年の子にとっては、「笑える1冊」なのです。
◆読み聞かせのコツ
まずは裏表紙をご覧ください。なんでしょう?記号?暗号?答えは読んでいけばわかります。真面目にテンポよく、会話をするように読んでください。多少演じても構いません。読み手も楽しんで読んでください。
【5】『むらの英雄』
渡辺茂男/文 西村繁男/絵 瑞雲社
◆こんな本
むかし、村の12人の男たちが、粉をひいてもらいに町まで出かけてゆきました。そして帰り道、仲間の一人が人数を数え始めます。ところが、自分を数に加えておらず「大変だ!だれか いないぞ!」と大騒ぎ。そして次の男も、そのまた次の男も...。そのうちに仲間はいなくなった男のことを考え始め、皆で嘆き悲しむのです。ところが、村に帰ってみれば、袋はちゃんと12個あって...。
◆読み聞かせのコツ
なかには、すぐにピンとこないお子さんもいることでしょう。でも、読み聞かせは学習ではありませんので、お子さんが「見つけ」を楽しめるまで、待ってください。一緒に読みながら自発的に数を数えたり、確認をしたがったりした時には、ゆっくり応じてあげましょう。
子供に読み聞かせをするときの絵本読み聞かせのコツ
読み聞かせのコツ1:興味を狭めないよう、絵本選びは多彩なジャンルから
子どもたちのニーズや興味は、成長段階によってさまざま。できるだけ多彩なジャンルの絵本を選び、偏った選書にならないように心がけましょう。
読み聞かせのコツ2:文章の長さ・絵の配置…、絵と文のバランスを確認して
読み聞かせる絵本を選ぶときの判断ポイントは、絵と文のバランス。絵に比べて文章が長すぎる、文章より先に絵が展開する、絵と文章のページが分かれている、などの作品は、子どもたちの集中力が持続せず、最初の読み聞かせには不向き。絵と文章が一致して進んでいく作品を選びましょう。
読み聞かせのコツ3:年齢は目の前の子どもたちの成長・発達に見合っているか
絵本には成長・発達によってそれぞれの対象年齢が設定されています。つねに、自分の目の前の子どもたちにとって、見合うのかを考えるようにしてください。兄弟がいるときに1冊を選ばねばならないときは、いちばん幼い子どもに合わせると、みんなが楽しめるようです。3歳児が5歳児の楽しむ絵本を楽しめるとは限りませんが、5歳児は3歳児の楽しむ絵本も一緒に楽しめるのです。
「絵本の読み聞かせ」の効果って?おすすめ絵本の選び方と読み方のコツをプロが解説
教えてくれたのは
JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。