小1〜小3算数の学年末総仕上げはここを押さえる!「総復習」より効果的な「弱点検証」のポイントを教材開発のプロに訊く

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年度末。そろそろ「一年の学習の振り返り」のシーズンです。そこで、すぐれた教材で知られる RISU Japan 代表で『10億件の学習データが教える 理系が得意な子の育て方』の著者・今木智隆さんに、もっとも効果的な「学年末の振り返り」のポイントを伺いました。

学年末になると小学校での授業も1年間の総復習やまとめテストなど、締めくくりに向けた内容が多くなります。保護者の方も、お子さんの知識がちゃんと定着しているか、4月に習ったことを忘れていないかと気になりますよね。

「総復習をして、この学年を完璧にして次の学年に進もう!」と考えるところですが、実は、総復習はやり方を間違えると効果の薄いものになってしまうのです。今回は、効果的な学習の振り返り方についてお伝えします。

総復習のテストで85点! ひと安心だと考えていい?

学年末の総復習として、1年間で習ったことがまんべんなく出題される「まとめテスト」をやることがあります。お子さんがまとめテストで85点を取ったら、お家の方はどう感じ、どう声掛けをするでしょうか?

多くの場合は「内容をほぼ理解できている」と感じ、「間違えたところは直そうね」と声を掛けると思います。よくあるのは、子ども自身も保護者も「ほぼ理解できている」ことに安心し、文字通り「間違えた問題の答えを直して終わり」にしてしまうことです。

総復習の目的は?

総復習の大切な目的は、理解している単元と理解していない単元を見分けることです。先ほどの例のように子どもが85点を取ったとき、保護者が「85点は悪くない点数だし、1年間で習ったことは理解できている」と短絡的に解釈すれば、そこで1年間の学習を終わらせてしまいます。

大切なことは、何を間違えたかに注目することです。間違えた問題は、その単元で抑えておかなければならないポイントをまだ理解できていない可能性があります。

多くの方は「総復習は長い1年間の学習のなかで忘れかけていることを思い出すためにしている」と考えるかもしれません。しかし本来の目的は「理解していない単元を洗い出すためにしている」と捉えるほうが良いです。

総復習ばかりを何度やっても効果は薄い

ですから総復習ばかりを繰り返しても、何度も理解している問題を解き、理解できない単元を洗い出しているだけという結果になりますから、費やしている時間ほど学習の効果はないという残念なことになってしまいます。

よく「総復習をしっかりやってほしい・やらせたい」という保護者の声を聞きますが、何度やったところで、理解できている単元は点が取れるし、理解できていない単元は点が取れない、という結果が出るだけなのです。

総復習より効果的な学習の振り返り方とは?

よって、効果的な学習の振り返りに必要なのは、総復習の次のステップです。

総復習やまとめテストで子どもが理解できていない単元が見つかったら、そこを重点的に学習すること。同じ時間をかけるなら、何度も総復習をするよりも苦手な単元に時間をかけることが効果的な振り返りの方法です。

理解できていない単元は学年を越えて振り返るのが効果的

理解できていない単元を振り返るなら、思い切って学年を越えて振り返ることも大切です。例えば3桁の計算が苦手な場合、計算のやり方の前に、位が繰り上がる概念が理解できていないことが原因の場合もあります。

次にご紹介する4つは、統計的にも多くの子どもが苦手としている単元です。しっかり理解しておかないと、次の内容でつまずいてしまう学習のカギとなる単元なので、学年が切り替わる春休みの時間を活用して、復習をしておくと良いでしょう。

復習するなら、特におすすめしたい4つの単元

2~3桁の位の理解(小学1~2年生)

位と桁の概念は、低学年で学ぶ内容で特に重要ですが、つまずく子が圧倒的に多いという難しい単元です。この単元の苦手を克服しておけば、算数が嫌になる気持ちはグッと減ると思います。

位と桁の概念がしっかりしていれば、四捨五入や小数など、中~高学年で学ぶ単元も理解しやすくなります。反対に小数の計算が苦手な子は、思い切って位と桁の理解まで戻って復習するとよく分かるようになります。

図形の組み立て・立体の基礎(小学2年生)

平面の問題は分かっても、立体になると急に難しく感じてしまう子も多いです。見えない部分を想像したり、立体を頭の中で回してみたりするのは難しいことですよね。

図形の問題は、実物の箱を用意するなどして見比べながら考えるとイメージしやすくなります。紙の上だけで解こうとせず、切ったり組み立てたりして遊び感覚で立体に触れる機会を増やしてみてください。

目盛りの読み方(小学2年生)

目盛りの読み方についても、つまずきが多いポイントです。

目盛りの読み方には1㎜が10集まって1cmになる、1cmが100集まって1mになる、といった単位の変換も関係しますが、単位の変換は暗記分野でもあるため、忘れてしまう子も多いでしょう。数直線の問題では、1目盛りが5ずつ、10ずつ増えるパターンもあります。高学年になる前に、基礎を固めておきたい分野です。

円と直径・半径の理解(小学3年生)

苦手が多い図形分野である上に、高学年になると円周率の計算が加わります。まずは円の中心と直径、半径という言葉がどこを指しているのか特徴をしっかり理解しておきましょう。

基本的なポイントが抑えられていれば、面積、円周の計算や、いくつかの円が組み合わさったような応用問題も苦手なイメージを持たず取り組むことができます。

総復習の代わりに算数検定もおすすめ

苦手な単元を見極めるために、総復習と同じ効果が期待できるのが算数検定です。算数検定の魅力は、以前の記事でもお伝えしましたね。

▼算数検定についての参考記事はこちら

算数が苦手なまま、現在小学4年生……もう苦手を克服するには手遅れですか?【算数教育のプロに相談】
「うちの子、算数がちょっと苦手かも?」少し頭をよぎったけれど、「まだ低学年だから」「そのうちできるかもしれないし」と深く気にしないでいたら、...

算数検定は“算数が得意な子だけが受けてよいもの”などという決まりはありませんから、誰でもチャレンジすることができます。苦手分野の分析を保護者がするのは自信がないという場合でも、算数検定なら分析された結果を返してくれます。

お子さんにとって、会場で同い年の子が上の級を受験しているのを見られる雰囲気は、みんな頑張っているんだ!と、モチベーションアップのためにも良い刺激になります。一度HPをご覧になってみてはいかがでしょうか。

数学検定・算数検定|公式サイト

総復習よりカギとなる単元をしっかり抑えよう

今回は、学年が切り替わる時期にどのような振り返りをするかについて、効果的な復習の方法をお伝えしました。

総復習は、あくまで苦手分野がどこかをハッキリさせるために行なうものです。何度も総復習の問題ばかりを解くよりも、苦手分野が見つかった後はそこを優先的に復習する方法が効果的です。

特に苦手分野がない場合でも、つまずく子が多い4つの単元は再度チェックしておくと安心です。苦手意識を克服して、算数って楽しい!算数の問題は謎解きみたいでワクワクする! と思える子がたくさん増えてくれたらうれしいですね。

こちらの記事にも注目!

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記事執筆

今木智隆|RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了。ユーザー行動調査・デジタルマーケティングのbeBitにて国内コンサルティング統括責任者を経験後、2014年、RISU Japan株式会社を設立。小学生の算数のタブレット学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムを考案。国内はもちろん、シリコンバレーのスクール等からも算数やAI指導のオファーが殺到している。

〈タブレット教材「RISU算数」とは〉

「RISU算数」はひとりひとりの学習データを分析し、最適な問題を出題するタブレット教材。タイミングの良い復習や、つまずいた際には動画での解説の配信を行うことにより、苦手を克服し得意を伸ばします。

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構成/HugKum編集部

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