一人で本を読むことが多くなってくる小学校の高学年。それでも、読み聞かせを通して、親子の時間を作り、一緒にストーリーの展開を楽しんだり、考えたりしてコミュニケーションをとることはとても大事です。
今回は『この本読んで!』編集部が厳選した、高学年の読み聞かせにおすすめな5冊を紹介します。
高学年への読み聞かせにおすすめの絵本
『365まいにちペンギン』
文/ジャン=リュック・フロマンタル
絵/ジョエル・ジョリヴェ
訳/石津ちひろ
1,600円(ブロンズ新社)
本を読みながら算数の勉強にもなる!
1月1日の朝、1羽のペンギンが届きました。「ぼくは ペンギン1ごう。おなかが すいたら なにか たべさせてね。」と手紙が添えられるも、差出人が書かれていません。 それから毎日1羽ずつペンギンが届き、家中がペンギンでいっぱいに。さて、この家はどうなってしまうのでしょう?
朝の読み聞かせは、小学校の一日の始まり。子供たちが楽しい気持ちで、その日をスタートできるようなお話を届けたいですね。60羽を15羽のピラミッド4組に整頓したり、1ダース12羽が収まる箱にストックしたり、1羽1日2.5キロの魚を食べるペンギンのエサ代を計算したり。ユーモアあふれるお話の随所で算数が登場するので、頭の体操にもなり、高学年にこそおすすめしたいです。
また、インドの算数の昔話『1つぶのおこめ』(光村教育図書)も、ひとりの娘のひらめきが村を救うストーリーが魅力的な1冊です。
『ぼくのニセモノをつくるには』
作/ヨシタケシンスケ
1,400円(ブロンズ新社)
「自分らしさ」って何?自分を見つめなおしてみよう!
けんたくんは、宿題、お手伝い、部屋のそうじなど、やりたくないことがいっぱい。ある日、自分のニセモノを作って、それに全部やってもらおう!と思いつき、ロボットを買いました。そのロボットは、けんたくんそっくりになるために、次々と質問をします。家族、見た目の特徴、好きなもの嫌いなもの、できることとできないこと……。「自分らしさ」とは何かという深淵なるテーマを、力の抜けたイラストと文章とで楽しく考えさせてくれます。
細かく描かれたページもあるので、どの順番で、どんな風に読むと子供たちにお話が届きやすいか、ご自身なりに読み方を事前に決めておかれるといいでしょう。
『ウエズレーの国』
作/ポール・フライシュマン
絵/ケビン・ホークス
訳/千葉茂樹
1,400円(あすなろ書房)
大人も思わず子供の頃に感じたワクワクを思い出す!
個性的で、友だちがいない少年ウエズレー。夏休みの自由研究に「自分だけの文明をつくろう!」とひらめきます。ウエズレーは、庭を耕し、誰も見たことのない新しい作物を育てます。その実を食べ、その繊維で服を作り、新しい遊びを考え出し、文字も発明します。すべてのものを自分で工夫して作ってしまうウエズレーの国に、周りの子どもたちも集まってきました。
夏休み前の時期におすすめです。
『三つのまほうのおくりもの』
文/ジェイムズ・リオーダン
絵/エロール・ル・カイン
訳/中川千尋
1,600円(ほるぷ出版)
ユーモアたっぷりなロシアの昔話
むかし、金持ちで欲張りな兄さんイワンと、貧乏でお人よしの弟イワンがいました。おなかをすかせた7人の子供のために、弟イワンは兄さんイワンから小麦粉をわけてもらいます。ところが、北風に吹き飛ばされ、怒った弟イワンはどこまでもおいかけて……。ひねりが効いたユーモラスな結末に、高学年の子供たちも満足なロシアの昔話です。
昔話や落語などをもとにした絵本は、耳で聞いてもわかりやすく、おはなしの構成がしっかりしていて、聞き応えのあるものがたくさんあります。ぜひ、お気に入りのお話を探してみてください。
『りんごのおじさん』
文/竹下文子
絵/鈴木まもる
1,400円(ハッピーオウル社)
実話から学ぶ!諦めずに挑戦する大切さを教えてくれる
とびきりおいしいと評判のりんごは、何年も何年もかかってやっとできるようになりました。不可能といわれた無農薬のりんご栽培にたったひとりで挑戦したおじさんの物語。実在のりんご農家さんをモデルにした絵本です。
社会に影響をあたえた13人についてオバマ元大統領が紹介する『きみたちにおくるうた むすめたちへの手紙』(明石書店)、『おとうさんの地図』(あすなろ書房)など、ノンフィクション絵本や自伝絵本も高学年におすすめです。
絵本と読みきかせの情報誌『この本読んで!』
最新号の70号(2019年春号)
特集は「未来に残したい絵本2018」、「何度でも読みたくなる名訳絵本」、「『きいろいばけつ』の森山 京 小さな人たちへのメッセージ」の3本立てです! そして、おはなし会プログラム&行事絵本・季節の絵本、定期購読者限定プレゼントがあたる「新刊絵本100冊紹介」など。
絵本選書・文/「この本読んで!」編集部 構成/HugKum編集部