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Q「どんな絵本を読んであげたらいいか、わからない!」
- 「どの絵本を読んであげるべきか」、いつも迷っています。うちの子どもたちは、読み聞かせを嫌がるわけではないのですが、何を読んでもなんだか手ごたえがなく、読書が好きになっているかも分かりません。読む絵本が年齢に合っているかいないかも分かりません。
- (30代、母 5歳女児・3歳男児)
A.お子さんのタイプから、絵本を探ってみましょう!
読み聞かせのお悩みの中でも、もっとも根本的なお悩みですよね。絵本って多くのジャンルがありますし、何を読んだらいいのか私も本当に迷ってしまいます。
「読み聞かせ」については親子のコミュニケーション時間であることが一番なので、どんな絵本を読んでもお子さんが聞いてくれれば大丈夫、とは思いますが、やっぱり「子どもが楽しんでくれている!」という実感があった方が、親も読み聞かせに張り合いが生まれますよね。
ということで、今回は、お子さんのタイプ別チャート表をご用意いたしました。
「読み聞かせ」に対する興味から考える、絵本チャート表
子どもの好みは、それぞれ千差万別ではありますが、大体の目安として①から⑤のタイプで考えてみました。
①図鑑・知識絵本で知的好奇心を満たそう
お子さんの中でも、「なんでなんでどうして?」とすごく知りたがりな子はいませんか? そういった子は「早く知りたい」ので、じっくり座って読むよりも、早く先を知りたいと焦って座っていられないせっかちさんタイプのことが多いです。
そんな子には、知識がたっぷり載っている図鑑や知識絵本の項目を次々と読んであげましょう。図鑑にも、もちろん説明文がありますので文章を読むことにもつながります。
『はたらくくるまのずかん』(五十嵐美和子 白泉社)
消防車、救急車など、いろいろな働く車の図鑑です。イラストで紹介され、説明文もふんだんに読みやすく掲載されているので、小さい子でも分かりやすく読み応えたっぷりです。このシリーズには、働く車以外の図鑑も、もちろんありますよ。
② ユーモア絵本で、読書の楽しさを伝えよう
ふざけたり、いつも友達とわちゃわちゃしていたりする子には、ぜひユーモア絵本で「本っておもしろい!」とハマってもらいましょう。
『ぼくだけがしっている へんてこなきかいのしくみ』(作・絵 大串ゆうじ Gakken)
目覚まし時計、えんぴつけずり、ドライヤーなどなど、家にある身近な機械の仕組みはどうなってるの?と、内部を見せていくのですが、その仕組みが普通ではなく「なんじゃこりゃ?」というところで大笑いできるんです。大笑いしつつも「自分だったら何が入ってると思うかなー」と、想像力もふくらんでくる絵本です。
③視覚的に魅力のある絵本
キラキラした物や変わった形の物大好き!な子も多いですよね。高じると女の子ではおしゃれに目覚めていきますし、男の子でも身の回りの物の形にこだわっていったりします。そんな子たちに、見た目で引きつけ、どんどんその本の世界観に入り込んでいける「うわー、かわいいー、すごーい」と思える絵本をご紹介します。
『ひみつがあります』(布川愛子 白泉社)
登場する動物たちは、それぞれお花の香水を作ったりステキな洋服を作ったり、いろんな手仕事をしていてとっても楽しそう。それらを見ているだけで「うわー、かわいいー」となる、かわいいもの大好き雑貨大好き、という子におすすめの絵本です。
『ドワーフじいさんのいえづくり』(青山邦彦 フレーベル館)
細密な絵で表現された夢の家に「すごい!」と驚く絵本です。森に住むドワーフじいさんが新しい家を作ろうとして、どんどん不思議な夢のある家ができあがっていきます。作者の青山さんは建築事務所で働いていたこともあり、家の作り方や骨組みが本当の大工仕事を見ているようです。リアルな家づくりに圧倒される絵本です。
④ 自分の「経験」に繋がる絵本で、より深く物語が楽しめる
どんなジャンルも読めるということは多読の可能性を秘めています。そこからさらに物語の楽しみ方を知っていけば、どんどん自分から読書を楽しむようになります。物語を楽しむには、やはり自分の生活に身近で共感できるテーマが一番です。
『ひみつのカレーライス』(井上荒野・作 田中清代・絵 アリス館)
「カレーライスの木」なんてものがあったらどうしましょう? ある日、カレーライスを食べていたらカレーライスの種を見つけてしまった一家のファンタジックな面白物語絵本です。
「もしかしたら、うちのカレーライスにも種入っていないかな」と想像しながら、どんどん物語にハマっていくと思います。
⑤ 「アクション系絵本」で読書の楽しさを伝えよう
「読み聞かせが今のところあまり好きではないかも」という子は、まだ「これ!」と思える絵本に出合えていないだけだと思います。そうした子には、「読み聞かせってワクワクするものだよ」ということが伝わりやすい、能動的にかかわれるアクション系絵本がおすすめです。
『カ どこいった』(鈴木のりたけ 小学館)
“カ”は、あのプ~ンと飛んでイライラさせられるあの蚊のこと。絵本の中の蚊を読者が「パーン!」と本を閉じて、ひたすら退治しようとしていきます。本を勢いよく「パーン」「バチーン」と閉じては蚊を追って……アクションしているうちに夢中になってしまう絵本です。
こんな、絵本で遊ぶ体験から「絵本って楽しいな!」と思ってもらいましょう!
1冊好きな絵本が見つかれば、そこから世界を広げていける
1冊、「これぞ!」とハマる絵本が見つかれば、子どもたちはどんどん絵本の世界に入っていけると思います。
例えば①タイプのお子さんが、自然や科学がジャンルとして好きになっていきますと、絵本作家であり東大出身の工学博士でもある「かこさとし」さんの科学絵本ですとか、写真で表現された自然絵本なども大好きになっていくはずです。
また、好きな絵本ができた子へは、その絵本の作家さんの作品を続けて選んであげたりすると、いろいろなジャンルの物語に出合うこともできます。
上記のチャートは、膨大な絵本の中でどういった視点で絵本を探せるかという区分けですので、面白いものも好きだしかわいいものも好きというハイブリッドタイプなお子さんですとか簡単にタイプ分けできないところもあるとは思いますが、目の前のお子さんの反応から「この方向かな?」と思ったら、どんどんそのジャンルを掘り下げていってみてください。
年齢にあった絵本選びって?
絵本には、おすすめされる「対象年齢」がありますよね。ただ、子育てをしていてパパママも実感があると思いますが、成長の度合いは子どもたちそれぞれ本当に違い、絵本への興味もそれぞれなので、対象年齢はあくまで指標として捉えてください。まずは、子どもの興味から絵本を読んであげてよいと思います。
0,1歳の、まだ発語が明確でない時期のお子さんに関しては、さすがに込み入った物語や科学絵本を読み聞かせしてもちんぷんかんぷんではあるので、このような赤ちゃん絵本を特集した冊子も参考にできます。
父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊(玄光社)
こうしたものを参考にしつつ、上記のチャートのようにお子さんのタイプから考えて選んであげるとよいと思います。
絵本は古いものから新しいものまで、ジャンルもたくさんあり、その中から選ぶのは迷いに迷ってしまうのは当然です。
いろいろとアプローチしても、やっぱりイマイチ反応が薄い……ということもあると思います。そんな時には、パパママが「自分が読んで楽しい、癒される」という絵本を優先しましょう。
絵本・読書にハマる時期というのも子どもたちそれぞれなので、それまでにパパママが「もういいや……」とあきらめてしまうよりも、自分たちが楽しめるペースで細々と読み聞かせていきましょう。
一番大事なのは、子どもたちの身の回りに「本・読書」があることです。人生のふとした瞬間に「あんな言葉があったな」「あんな主人公がいたな」と思い出すことが、その子を支えます。そんな子どもたちの支えをたくさん見つけてあげることこそが、読み聞かせのだいご味です。
「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」を1話から読む!
読み聞かせの時間を作れないのは私の要領が悪いせいですか?新連載【育児の悩みは絵本で解決】vol.1