「ラクトアイス」は「アイスクリーム」より太りやすい? 「アイスミルク」「氷菓」との違い・特徴を整理

市販されているアイスには、種類があることを知っていますか? どのアイスも「アイスクリーム」だと思っているかもしれませんが、実はスーパーやコンビニで安く買えるアイスの多くが「ラクトアイス」です。他のアイスとどのように違うのか、詳しく解説します。

ラクトアイスとはどんなアイス?

ラクトアイスといっても、どのようなアイスのことを指すものなのでしょうか。まずはラクトアイスの定義や特徴を確認していきましょう。

乳固形分3.0%以上のアイス

昭和26年厚生省令第52号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」ではラクトアイス・アイスクリーム・アイスミルクについて成分規格が定められています。そのうち、乳固形分3.0%以上のものを「ラクトアイス」と定義しています。乳固形分とは、乳製品(牛乳)から水分を取り除いた成分です。

またアイスクリームやアイスミルクには、乳脂肪分という、乳固形分からさらに無脂乳固形分(タンパク質・炭水化物・ミネラル・ビタミン類)を取り除いたものの含有率も決められていますが、ラクトアイスの場合は考慮されません。

参考:昭和二十六年厚生省令第五十二号「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」

ラクトアイスの特徴

ラクトアイスは、アイスクリームやアイスミルクよりも乳固形分が少なめです。つまり、乳脂肪分が比較的少ないということになるため、口あたりがよく後味がさっぱりしています。食べた後に、口周りや手がべたつきにくいともいえるでしょう。

チョコやフルーツ、ナッツなどフレーバーやトッピングの種類が豊富なものも多く、価格が手頃なのも特徴です。1個100円以下で買えるものも少なくありません。

スーパーやコンビニなどで販売されているファミリーパックのアイス(箱アイス)には、ラクトアイスが多くあります。売り場でチェックしてみるとよいでしょう。

ラクトアイスと他のアイスの違い

アイスの種類は、乳固形分と乳脂肪分の含有率によって主に四つに分けられます。普段「アイスクリーム」と思って食べているものも、実はアイスミルクやラクトアイスかもしれません。ラクトアイス以外の三つそれぞれの、含有率と特徴を見ていきましょう。

ミルクのコクと味わい「アイスクリーム」

アイスクリームは乳固形分15.0%以上で、そのうち乳脂肪分が8.0%以上のものを指します。いわゆる「高級アイス」の多くが当てはまる、と考えてよいでしょう。ミルクの風味が強く感じられ、コクのあるリッチな味わいが特徴です。

価格が高めですが、味が濃厚な分、少量でも満足感が得られやすいというメリットがあります。また、アイスクリームに植物油脂は足せません。そのためカロリーは、植物油脂の含まれるラクトアイスよりもやや低いことが多いです。

さっぱりした軽い口あたり「アイスミルク」

アイスミルクは乳固形分10.0%以上、そのうち乳脂肪分が3.0%以上のものです。アイスクリームに次いで乳成分の含有量が多く、ミルクの味わいを気軽に楽しめます。アイスクリームに近い風味やコクと、ラクトアイスのような口あたりのよさが特徴です。

ただし、アイスミルクには植物油脂を加えられるため、カロリーが高めのものがあります。アイスクリームに比べるとカロリーは控えめなものが多いですが、気になる人は購入時に植物油脂の有無やカロリーをチェックするとよいでしょう。

氷の冷たさと歯ごたえが楽しめる「氷菓」

乳固形分が3.0%以下、または全く入っていないものは、食品衛生法規定に基づいた「食品別の規格基準(氷菓)」によって氷菓に分類されます。水や牛乳などの液体に果実・果汁・砂糖・蜜などを入れ、凍結させて作ります。氷をそのまま食べているような冷たさとしっかりした歯ごたえ、さらっとした口あたりが特徴です。

氷菓も、作り方によって2種類に分かれます。ただしパッケージの「種類別」には、どちらも「氷菓」と記載されています。

凍結の際に気泡を含めないものは、アイスキャンディーです。棒アイスタイプが多く、固いので「食べる」というより「なめる」感覚に近いでしょう。一方、気泡を含むものは、アイスシャーベットと呼ばれます。アイスキャンディーに比べると柔らかい食感です。

参考:
アイスクリーム類にはどのような種類があるのですか? | 乳と乳製品のQ&A | 一般社団法人日本乳業協会
食品別の規格基準(氷菓)|大阪検疫所 食品監視課

「ラクトアイスは太る」は本当? その理由とは

アイスは今や夏だけのものではなく、冷凍庫に常備しておきたいという人も多いでしょう。価格が安く、味のバラエティが豊富なラクトアイスは魅力的です。

しかし、「ラクトアイスは太る」という説があることをご存じでしょうか? 「太る」といわれる理由を探ってみました。

植物油脂を使用している

ラクトアイスは、アイスクリームやアイスミルクと比べるとさっぱりしていて、乳脂肪分も少なめなことから、低カロリーの印象があるかもしれません。しかし実は、乳脂肪分が多めなアイスクリームよりカロリーが高いこともあります。

ラクトアイスに限らず、アイスに脂肪分や糖分はつきものです。その中で、ラクトアイスが特に「太る」といわれるのは、ラクトアイスに含まれる植物油脂が原因です。

ラクトアイスは乳脂肪分が少ない分、アイスクリームやアイスミルクに比べるとコクが足りないため、植物油脂を加えることが多くあります。植物由来とはいえ油脂が多く含まれているものは、カロリーも高くなりやすいというわけです。

口あたりがよく食べ過ぎてしまう

もう一つの理由は、ラクトアイスの軽い口あたりです。アイスクリームやアイスミルクよりもさっぱりして食べやすいからと、食べ過ぎてしまった経験はないでしょうか。また、ファミリーパックの場合は1個あたりが小さめなことから、つい「もう一つ」となりがちです。

食べ過ぎは、単純にカロリーオーバーからの肥満につながり、脂肪分や糖分の過剰摂取にもなりかねません。適度な脂肪分や糖分はエネルギーになりますが、過剰摂取はデメリットの方が大きくなります。アイスの種類に関わらず、食べ過ぎには注意しましょう。

ラクトアイスは適量を守って楽しもう

暑いときに食べるアイスのおいしさは格別です。軽い口あたりのラクトアイスは、甘いながらもさっぱりした味わいで、いくらでも食べたくなるでしょう。低価格でバラエティ豊かな味が楽しめるのも魅力です。

ただし、食べ過ぎには注意しましょう。カロリーオーバーになりやすいだけでなく、体を極度に冷やしてしまう恐れもあります。ラクトアイスはもちろん、アイスは適量を守って楽しむのがおすすめです。

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構成・文/HugKum編集部

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