長崎カステラとは
卵に小麦粉、牛乳、砂糖などを混ぜて、ふっくらと焼いたカステラ。子どもから年配の方まで、世代を超えて愛されるカステラといえば、長崎県産のものが名物として有名です。そんな長崎カステラの基本について、見てみましょう。
場所・エリア
長崎県は、日本が鎖国していた間も、唯一海外との貿易を続けていた場所。そのため、約400年前に貿易でやりとりをしていたオランダから、カステラが長崎に伝わりました。
これをきっかけに、長崎カステラは長崎県内の各地に広まりました。現在、長崎でカステラは、駅、空港などの土産屋でももちろん広く販売されています。
いつ、どんなときに食べる?
カステラがはじめて長崎に伝わったときは、砂糖はとても貴重な食材でした。そのため、カステラのようなお菓子もとても高価なものだったと考えられます。
現代では、ギフトやお祝いごとにカステラを贈ったりします。とくに長崎では、ひな祭りに桃のかたちのカステラを食べる習慣があり、桃の節句に長寿や健康を祈って食べられています。
歴史
ポルトガル人が日本に初上陸したのは1543年のことで、このときに日本は砂糖なども輸入しており、カステラも一緒に伝わったと言われています。日本に来た宣教師や貿易商によって、カステラが広まっていったのです。
当時、日本にポルトガルから伝わったお菓子は「南蛮菓子」と言われ、カステラ以外には、金平糖、ビスケット、パンなども含まれています。
由来、言い伝え
日本にカステラが伝わったときのものは、現代のカステラとはかなり異なり、硬い食感で甘さもあまりなかったと言われています。
それが、江戸時代頃から卵と砂糖をたっぷり使うようになり、それぞれの材料のクオリティや、焼き上げる技術なども発達して、現代のカステラになっていったのです。今では、抹茶、チーズ、チョコレートなどさまざまなフレーバーのカステラも作られています。
ちなみに「カステラ」の名前の由来は、スペインの一部の地域を治めていたカステーリャ王国。この国をポルトガルでは「カステーラ(Castella)」と呼んでおり、それが「カステラ」になったと言われています。
長崎カステラの特徴
長崎カステラにはどんな特徴があるでしょうか?
特徴1:黄金色の美しい見た目
カステラの特徴といえば、黄色に焼き上げられた美しい見た目。それに、ふんわりとした食感も魅力です。一口食べれば、誰もが思わず笑顔になってしまうおいしさがあります。
特徴2:ザラメのじゃりじゃり感
長崎カステラには、店によって、砂糖のほかにザラメや和三盆などを使うことがあります。ザラメを使っている場合は、そのザラメが底に固まることから、食べたときに独特のじゃりじゃり感があります。これがいいアクセントになって、食欲を誘います。
特徴3:文明堂のCMでブレイク
長崎に伝わったカステラが日本全国に広まるようになったのは、明治時代以降と言われています。そして、とくに長崎カステラの知名度が上がったきっかけは、昭和に流れた「文明堂」のTVCM。
「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂♪」の歌にあわせて、コグマのぬいぐるみが躍るCMで、頭に残る印象的なフレーズだったことから、長崎カステラが一躍有名になったのです。
長崎カステラの食べ方
長崎カステラをおいしく味わうために、おすすめの食べ方をチェックしましょう。
食べ方1:そのままで
まずは、カットしてそのままでどうぞ。ふっくらしているけれど、しっとりした重厚な味わいは、長崎カステラならではです。
カットして断面が多くなると乾燥しやすくなるため、保存するときはカットせずにそのままの状態がおすすめ。できるだけ早めに食べるようにしましょう。
食べ方2:冷やして
長崎カステラは少し冷蔵庫に入れて冷やして食べてもおいしいです。暑い季節などは、ひんやりスイーツになって、またおいしさが増すように感じられるかもしれません。
食べ方3:アイスクリームや生クリームを添えて
アイスクリームや生クリームを添えれば、ちょっと豪華なデザートに早変わり。季節のフルーツとあわせてもいいでしょう。
長崎カステラは洋菓子でも和菓子でもある不思議なスイーツなので、紅茶やコーヒーと合わせても、緑茶やほうじ茶などと一緒にいただいてもいいですね。
食べ方4:カットするときは包丁を湿らせて
長崎カステラを包丁で切るのは、なかなか難しいもの。無理に包丁を上から押すと、せっかくのカステラのふんわり感をつぶしてしまいます。
切るときは、湿らせた布巾で包丁を軽く拭き、真上から垂直に包丁をあててみて。こうすると、すっと切りやすくなりますよ。
長崎カステラの作り方
カステラは、使う材料も作り方もとてもシンプルなお菓子です。ここでは基本の材料と作り方をご紹介します。
材料
- 卵
- 小麦粉
- 砂糖
作り方
- 卵の白身を泡立てます。
- 黄身を加えて、さらに攪拌します。
- 砂糖も加えて、さらに混ぜ合わせます。このときザラメや水飴を加えるレシピもあります。
- 小麦粉を加えて混ぜ合わせます。
- 型に流して、オーブンで焼きます。
- 焼きあがったら、型に入れたまましばらく寝かせておき、生地をしっとりさせます。
- 型から出して、切り分けて出来上がり。
長崎カステラのおすすめ
ここで、通販で購入できるおすすめの長崎カステラ5品をご紹介します。どれも長崎カステラといえば、おさえておきたい老舗店の逸品ですよ!
須崎屋 五三焼かすてら
カステラに使う卵黄と卵白の比率を「5:3」にして、通常よりも卵黄を多く使ったのが「五三焼き」。創業から150年以上の歴史がある「須崎屋」が手がける五三焼きカステラは、選びぬいた材料だけを使った極上の味わいです。
文明堂 特撰カステラ
全国的にも知られる菓子店「文明堂」は、長崎で開業し、今でも総本店を長崎市に構えています。卵の黄身を多く使い、和三盆を加えて焼き上げています。高級感あふれる木箱に入って届くので、ギフトにもピッタリです。
異人堂 五三焼カステラ
「異人堂」も長崎カステラの老舗店。50分あまりの時間をかけて、色、つや、膨らみなどを職人が見極めながら、丁寧に焼き上げられたカステラは、芸術品のような美しさです。
和泉屋 五三焼カステラ
地元の契約農家のもと、指定の飼料を与えて育てた鶏から生まれる専用卵を使用。キメの細かな黄金色に焼き上げられたカステラです。底には、ザラメが残っているから、独特の食感も楽しめます。
文旦堂 長崎かすてら
ベーシックな長崎カステラのほか、抹茶、チーズ、チョコレート、ざぼんの5種のセット。島原の恵みをふんだんに使った、長崎カステラの名店が手がけるバラエティ豊かな味わいをどうぞ。
おいしい長崎カステラを堪能しよう!
長崎カステラのおいしさの秘密をおわかりいただけたでしょうか? 歴史や特徴を紐解けば、もっと長崎カステラを食べたくなるかもしれません。
おすすめの長崎カステラはここでご紹介した5品だけではなく、もっともっとたくさんあります。ぜひ自分好みのものを探して、長崎発のおいしさを堪能しましょう。
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文・構成/HugKum編集部