※この記事は『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版 )の一部を引用・再構成しています。
勉強が嫌い。勉強を好きになる方法を教えて
勉強は嫌いです。かけ算は得意なので好きです。
たくさん勉強してもテストの点数があまりよくありません。
家でもイヤイヤ勉強をしているので頭に入っていないと思います。
よしおさんはとても頭がいいですが、小学生のころは習い事は何をしていましたか?
勉強はどの程度していましたか?
勉強が好きになる方法を教えてください。
(ゆあ・小学3年生・女子)
ゆあピーヤは勉強が嫌いなのか~。だけど、その中でも「かけ算は好き」という好きなポイントを見つけられていて素晴らしいね! それに、イヤイヤでも家で勉強に向き合っていてえらいな~、と思ったよ!
よしおが小学生のころは、たっくさん習い事をやっていたんだ。柔道、書道、水泳、野球、学習塾、通信教育……。だけど、長く続けられたのは野球くらい。全部、自分が「やりたい!」って言って始めたんだけどね(笑)
勉強方法はひとつじゃない
ゆあちゃんは勉強のどんなところが嫌いなんだろう? よしおが思うに、勉強の好き嫌いって野菜の好き嫌いに似ている気がするんだ。どちらも、一度「嫌い」って思うと、見るのも嫌になっちゃうかもしれない。
野菜は、調理方法によって苦手を克服できることがある。例えば、ピーマンは切ることで苦みが出るから、切らずに丸焼きにすると苦みを感じずに食べられるんだ。にんじんが苦手な子も、細かくしてハンバーグに混ぜ込めば食べられたりするよね。
勉強のやり方も、野菜の調理方法みたいに、実はたくさんあるんじゃないかな? よしおが小学生のときにやっていた漫画での勉強やクイズ大会も、勉強方法のひとつだよね。
知り合いの娘さんは、『鬼滅の刃』で漢字を覚えたって聞いたな。歴史だったら、大河ドラマも日本の歴史を学べるよね。そんなふうに、楽しみながらできる勉強方法もいろいろあるから、ゆあちゃんもいっぱい試してみたらどうだろう。
勉強は人生を豊かにしてくれるもの
そもそも勉強ってどんなものだと思う? 実は勉強って学生時代だけじゃなくて、大人になってからも続くもので、人生を豊かにしてくれるものなんだ。
さっきも話したように、今はしなきゃいけない勉強が決められているし、テストでは点数がつけられてしまうから、嫌いって思ってしまう気持ちもわかる。だけど、人間関係と同じで、「嫌い」って言っちゃうともっと嫌いになっちゃうし、嫌いって言われた勉強のほうも、ゆあちゃんから離れていってしまうんじゃないかな。
勉強って、味方につけたらすっごく心強い存在になると思う! これまで知らなかったことを知るようになるって、本当にワクワクすることだし、毎日が楽しくなったり、将来の夢につながったりすることもあるよ。「嫌い」って言うのを一回やめてみて、いろんな方法を試して勉強と仲良くなってみるのはどうかな?
最後に、ゆあちゃんにギャグを贈るね。「かいかいかいかい、かいかい解決~~!!」。お尻をかきながら、言うギャグだよ。問題が解けたときに言うのもよし、問題が解ける前に言うことで解答を導くのもよし! ゆあちゃんにぴったりの勉強方法が見つかりますように!
将来やりたいことが決まっているのに、どうして勉強しなきゃいけないの?
僕は作品をつくることが好きなので、将来は見立て作家や作品をつくる人になりたいです。
アイス屋さんやドーナツ屋さん、お菓子屋さんでも働いてみたいです。
もう将来やりたいことが決まっていて、それには勉強は必要ないのに、なぜ勉強しなくちゃいけないかわかりません。
お母さんは「もしいじめられたり、学校に行きたくなかったりしたら行かなくてもいいけど、勉強はしようね」と言っています。
「勉強が自分の選択肢を広げてくれることもあるから」とも言っていますが、大人になったことがないので、勉強がどんなふうに役立つのかわかりません。
勉強がなければ学校はとても楽しいので、毎日行きたいです。
(ゆうき・小学2年生・男子)
ゆうきピーヤ、たくさんやりたいことがあってすごいね! しかもそのやりたいことが、具体的に決まっている。「見立て作家」という職業なんて、ゆうきくんから相談を送ってもらってはじめて知ったよ。
「大人になって、勉強がどんなふうに役立つのかわからない」。よしおも小学生のころはよくそう思っていたなあ。ゆうきくんの他にも、この疑問を持っている人はたくさんいるんじゃないかな? だけど、勉強って本当に必要ないんだろうか。勉強がどう社会で役立てられるか、これからよしおと一緒に考えよう!
アイス屋さんに、算数と国語は必須!
まずは勉強からいったん離れて、ゆうきくんがやりたい仕事には、どんなことが必要なのか考えてみよう。
例えばドーナツ屋さんは、ドーナツをつくらないといけないね。ドーナツをつくる前には、ドーナツを何個つくらないといけないのか、そのために材料はどのくらい必要なのか考えるはず。
お店を続けていくためには売り上げを出していかないといけないから、ドーナツをいくらで売ればいいのかも考えなくちゃいけないね。そうなると、計算する能力、つまり算数の勉強は絶対に必要じゃないかな?
お店を宣伝するときにはチラシをつくったり、SNSでアピールしたりしないといけないね。そのときには、お店に来てもらえるような文章や写真なんかが必要だ。写真は小学校で勉強するチャンスはないかもしれないけど、文章の勉強は国語でできるね。中高生になったら写真部とかはあるかも!
それから、お店に来てくれたお客さんと会話するとき、英語を話せたらよりたくさんのお客さんとコミュニケーションがとれるよね。
見立て作家になる場合はどうだろう? 野菜を別のものに見立てたりするから、すごくたくさんのアイデアが必要なはず。
よしおは星新一さんという小説家が大好きなんだけど、星さんがある本のなかでこう言っていたんだ。「アイデアというものはいろんなものの組み合わせ。いろんなことやものを頭に入れ込まないとアイデアは生まれない」って。
だからもしゆうきくんが見立て作家になりたいのなら、いろんなことを知ったり見たりしておいたほうがいいんじゃないかな? いろんなことを知ったり見たりするのに、学校っていうのは「うってつけ」の場所なんだ!
「この勉強は何に使えるかな?」と考えてみよう
学校で授業を受けるときにも、「この勉強は将来どんなことに使えるかな」って考えながら受けてみるのはどうだろう。
ゆうきくんはこれから習うことだと思うけど、算数で台形や三角形の面積を求める計算を勉強するとき。「台形とか三角形のドーナツをつくろうかな」とか、そのくらい楽しいことからでOK!
何でも自分のしたいことに結び付けたら面白そうじゃないかな。国語で宮沢賢治が書いた物語を学んだら、その中の一部で作品をつくってみようかなあ、とか。例えば、『風の又三郎』だったら風が吹く音を表現した“どっどど”を使った「どっどどドーナツ」とか、『オツベルと象』なら機械を動かす音を表現した“のんのん”を使った「のんのんノンフライドーナツ」とかね(笑)!
よしおの経験から伝えたいのは、どんなことでも「無駄だ、役に立たない」って思ったら無駄になってしまうし、「これは何かにつながるかな」って思ったら、何かにつながる気がするんだ。吸収できる量が違うっていうのかな?「何の意味もないな」って思うと、勉強のほうも歩み寄ってきてくれない気がするんだ。
やりたいことが決まっているゆうきくんならなおさら、「今日の国語の勉強は将来の夢にどうつながるのかな」って、自分で意味を見つけていくことを大切にしてほしいな、って思うよ。小さなことの積み重ねかもしれないけど、いずれ大きな力になるんじゃないかな。
よしおは、今からゆうきくんの将来がとっても楽しみだよ。10年後、いったいどんなことをしているのかな。ゆうきくんがつくった作品を見たり、ゆうきくんがつくったアイスやドーナツを食べたりすること、とても楽しみにしているよ!
……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?
※ここまでは『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版 )の一部を引用・再構成しました。
悩んだときは「行動してみる」ことが大切
ここまでの語りかけは、子どものお悩み相談で好評の小島よしおさんの著書から。同書内で、小島さんは以下のようなコメントを綴っています。
まずは、勉強ひとつひとつが何の役に立つのか考えてみたり、さまざまな勉強法を試してみたりすることが大切ですね!
他にも、「友だちから仲間外れにされて悲しい」「ウソをついてしまうのはどうしたらなおる?」など、子どもならではの悩みと、小島よしおさんの前向きな回答がたくさん掲載されています。
ぜひ、同書の声かけを参考にしてみてはいかがでしょうか。
◆著者紹介
小島よしお(こじま よしお)
1980年、沖縄生まれ千葉育ちのお笑い芸人。早稲田大学教育学部国語国文学部卒業。「そんなの関係ねぇ!」で大ブレーク。キッズコーディネーショントレーナーの資格を持ち、子ども向けのイベントを多数開催している。ニュースサイト「AERA dot.」で未就学児・小学生・中高生からのお悩み相談に答える『ボクといっしょに考えよう』を連載中。
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構成/HugKum編集部