「釈迦に説法」は他のことわざとの混同注意! 意味や例文、関連語まで一挙ご紹介!

『釈迦に説法』とは、「その分野を知り尽くしている人に、その道を説く愚かさ」を示すことわざです。今回は、『釈迦に説法』の意味や使い方、関連語を一挙にご紹介いたします。

「釈迦に説法」とは?

まずは、この言葉の読み方や意味、語源を押さえておきましょう。

読み方と意味

この言葉は、『釈迦に説法』と書いて「しゃかにせっぽう」と読みます。「その分野を知り尽くしている人に、その道を説く愚かさ」を言い表したことわざです。

由来・語源

「釈迦」とは、仏教の開祖である「お釈迦さま」のこと。この言葉は、仏教の教えを説いた張本人であるお釈迦さまに、仏教の教えを説き聞かせた人がいたことから生まれたと考えられています。

「馬の耳に念仏」は類語? 混同しないように注意!

『釈迦に説法』を『馬の耳に念仏』の同義語と捉えている方も少なくないようですが、これは誤りです。

『馬の耳に念仏』は、「馬(その価値がわからない人)にありがたい念仏を聞かせても無駄である」という意味の言葉。「念仏」という単語が使われていることから、混同しやすい言葉ですが、対象が「釈迦=その道に精通している人」「馬=その価値がわからない人」とまったく異なるので、間違えないように注意しましょう。

使い方を例文でチェック!

では、『釈迦に説法』は実際にはどのように用いることができるのでしょうか。具体的な例とともにお伝えしていきます。

1:彼が専門家だとは知らず、【釈迦に説法】をしてしまった。

こちらの例文のように、その分野を知り尽くしている人に、知ったかぶりをしてしまったときに用いることができます。後から気がついて、自分の失態を言い表すために使うのもOK。

2:【釈迦に説法】な発言をしてしまい、大変失礼いたしました。

このように、その分野を知っている人に対してその分野を説いてしまった際等に、自分の無礼を詫びるために使うこともできます。

3:専門家の方に対して【釈迦に説法】ではありますが、このプロジェクトの進め方には疑問があります。

【釈迦に説法】は、この例文のように「僭越ながら」といったニュアンスで使うこともできます。自分より詳しい人に物申したい時、「釈迦に説法ではありますが…」と前置きするように用いてみましょう。

類語や言い換え表現は?

『釈迦に説法』には、類語や言い換え表現も存在します。

1:孔子に悟道(こうしにごどう)

『孔子に悟道』とは、「詳しい人に対して、余計な教えを説いてしまう愚かさ」を「孔子という儒教の始祖に、人の道を説くこと」にたとえたことわざで、『釈迦に説法』の同義語とされています。

『釈迦に説法、孔子に悟道』と、ふたつのことわざを並べて、意味合いをより強調する場合もあります。

2:猿に木登り(さるにきのぼり)

『猿に木登り』は、「詳しい人に対して、余計な教えを説いてしまう無駄な行為」を「猿のような木登りに長けたものに木登りを教えてしまうこと」にたとえたことわざです。

『釈迦に説法』よりも、「愚か」「失礼」なニュアンスが薄まり、「無駄な行為」のニュアンスが強くなります。

3:河童に水練(かっぱにすいれん)

『河童に水練』は、「泳ぎの得意な河童に泳ぎを教えること」に「無駄なこと」をたとえたことわざです。こちらも、『釈迦に説法』に近い一方で、「愚か」「失礼」なニュアンスよりも「無駄なこと」であるニュアンスが強くなります。

対義語は?

では、『釈迦に説法』の反対の意味を言い表したい場合、どのような言葉を使うことができるのでしょうか。明確に対義語と言える表現はないため、逆のシチュエーションを表す言葉をご紹介します。

1:馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)

先述したとおり、『馬の耳に念仏』は「馬(その価値がわからない人)にありがたい念仏を聞かせても無駄である」という意味のことわざです。詳しい人に教えを説いてしまう『釈迦に説法』とはまったく違うケースを表す言葉といえるのではないでしょうか。

2:豚に真珠(ぶたにしんじゅ)

『豚に真珠』もまた、「豚のような価値のわからない相手には、どんなに貴重なものも無意味であること」をたとえたことわざです。こちらもまた、詳しい人に教えを説く『釈迦に説法』とは反対の意味ともいえる言葉として覚えておきましょう。

英語表現は?

最後に、『釈迦に説法』に近い意味を持つ英語表現も押さえておきましょう。

1:Don’t try to teach your grandmother to suck eggs.

“Don’t try to teach your grandmother to suck eggs.”とは、「おばあちゃんに卵の吸い方を教えるな」と直訳できる言葉。『釈迦に説法』同様、なにかに詳しい人にその道を説く愚かさを、おばあちゃんのように生活経験の豊富な人に卵の吸い方を教えることに例えたことわざです。

イースターやクリスマスでは卵の殻に色を塗って飾りますが、卵の殻を割らずに中身を出すためには、卵の両端に穴を空けて、片方から吸い出す必要があります。英語圏では、人生経験豊富なおばあちゃんなら、必ず知っていることと認識されているのではないでしょうか。

2:Don’t teach fishes to swim.

“Don’t teach fishes to swim.”とは、「魚に泳ぎを教えるな」と直訳できることわざです。こちらも『釈迦に説法』や『猿に木登り』と同様に、その道に詳しい人に教えを解く愚かさ・無駄さをたとえたことわざです。

正しい意味を把握して、しかるべきシーンで使ってみましょう

今回は、『釈迦に説法』の意味や使い方、関連語をご紹介してきました。馴染み深いことわざではありますが、他のことわざと混同しやすいことわざでもあります。正しい意味を把握して、しかるべきシーンで使ってみましょう。

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文・構成/羽吹理美

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