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品川女子学院「CLAIR.(クレア)」
2021年に、品川女子学院の起業体験プログラムを契機にスタートした有志による活動団体「CLAIR.(クレア)」。中学1年生から高校2年生まで、総勢52名の生徒が集います。4名の共同代表と「生理期間を生きやすく」をテーマに、他校へ訪問して生理時の女性の体調や心理面を解説したり、生理用品の使い方を説明をしています。
男子校ではロールプレイングをしてわかりやすく伝える試みをしています。一方で、活動に行った共学校では「生理の講座」というと恥ずかしさからか人が集まらなかったということもあったそう。出向く学校によって課題やアプローチ方法も様々ですが、生理期間をより生きやすくするための改善活動として継続しています。
「生理」の知識は思いやりへつながる
CLAIR.が活動で使っている、生理に関する自己診断表やワークシートを見せていただきました。診断表は、個々の生理の辛さがどの程度か客観的に判る仕組み。可視化することで、自己の理解に繋がりますね。


訪問先の学校では、実際にナプキンの吸収実験も交えて体験していくそう。特に、男子校では、実際に触ってみるということも大事。

全く知らないでいるより、知識を持った上で、どう行動するのか考えることが自己責任でもあり思いやりへとつながります。
「生理」ってどんな課題意識がある?
ティーンエイジャーにとって、「生理」の課題意識とはどのようなものなのでしょうか。CLAIR.の皆さんに伺いました。

そもそもタブーとして扱われている
「小学生の頃、ナプキンを学校のトイレに持って行くことすらコソコソしないといけない雰囲気。トイレでナプキンを開ける音なんかも、聞こえたら恥ずかしいなというのがあります」
「家でも、“お父さんや弟には隠す”という心理が働きます。隠しています」
買い物の不都合
「薬局で、ナプキンは一番奥に売っています。購入した後も、茶袋などに個包装してくれるところは、やっぱり気まずいのかなあと思います」
「海外では薬局で購入しても包装がないので、生理用品は丸出し。日本でもレジ袋の有料化の影響で、包んでくれるところとそうでないところが出てきたけれど、どっちが正しいではなくて、袋がいるいらないの意思表示ができると思いやりが伝わると思います」
「レジの担当が男性だと、申し訳ない気持ちになります。こちらが気にしているのが伝わってしまうというのもあるし、女性の担当のレジに並び直したりします」
なかなか相談できない
「もともと生理が重くて、1人では何が正解なのかわからないことも」
「私はPMSがひどいのですが、PMSがあることを女性でも知らない人もいると思います」
Femtech(フェムテック)の盛り上がりはどう感じている?
「生理・月経」「妊活・妊よう性」「妊娠期・産後」「プレ更年期・更年期」など女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決していこうとする、Femtech(フェムテック)市場が話題の昨今。
注目されているテーマですが、社会の流れはどう感じているかも聞いてみました。
一般消費者との乖離も?
「新しい技術やサービスを発信する立場の方と消費者との間に、少し差を感じます」
「オープンにしようという風潮を感じるけれど、オープンに話したくないという立場の人もいると思います。時流の波が大きすぎる感じも受けます」
「良い部分もあるだろうし、情報発信をしたい方は話していいけれど、そうでない方のより繊細なケアも大切だろうなと思います」
友達と生理について話す?
友達間で、生理について話すかどうかについても聞いてみました。
自分から話さず、共感 ”つらいよね” “私もそうだよ”
「相手が生理の話をしたら、話します」
「どちらかというと、話を聞いて、”そうなんだ” とか ”つらいよね”、”私もそうなんだ” といった、共感をすることが多いかな」
「喋る喋らないの意思表示を感じてからかな」
「恥ずかしい人も悪くないし、健全だから。そういった人それぞれの選択肢の幅を増やしたり大切にしてあげたいなと思います」
お母さんと生理について話す?
母親と、生理について話すかどうかも伺いました。
初めての生理はお祝い!
「初めての時は、お祝いモードでした」
「初めて生理が来た時は、驚いて叫んじゃいました」
毎月話しています
「生理が重くて、毎月母と婦人科に行っています。朝夜は、お薬も飲んでいます」
「PMSと生理合わせると、ほぼ一ヶ月体調が悪い時もあります。こういった辛さや薬の話をできる相手はなかなかいないので、お母さんに話せると安心です」
相談相手・サポーターでいてほしい
「生理で辛い時は、お母さんに話たいですね。おじいちゃんに言われた時は、ちょっと嫌でしたね」
「生理の辛さをどうしていいかわからないとき、“婦人科の先生に聞いてみる”ことや“薬”という選択肢があるということも、お母さんから教えてもらったりサポートしてもらえると嬉しいです」
「特に婦人科は、ティーンエイジャー1人では行きにくいので。お母さんが一緒に行ってくれると心強いです」
良い・悪いじゃない。生理を理解することで思いやりにつなげたい

【CLAIR.の皆さんからのメッセージ】
生理期間は、気分がマイナスになるもの。その期間を、少しでも生きやすく過ごせたら、というのが私たちの願いです。
生理が辛い人も辛くない人も、オープンにできる人もできない人も、どっちが正しいとか悪いじゃないと思うんです。生理を理解することで、それぞれの選択肢を増やしてあげる。そうすることで、自己や相手の理解ができ思いやりにつながると思います。
風邪をひいた時のように、個々人が助け合える、寄り添える、そんな社会になったらいいなと思っています。そういう意味で、終わりのない改善活動です。
彼女たちが感じている課題意識を、校内にとどまらず学校外での活動へと広げていることにとても意義があると感じました。CLAIR.の活動をきっかけに、多くの人が生理期間を少しでも生きやすく過ごせるよう、理解や思いやりの輪が広がっていってほしいですね。
CLAIR.の皆さん、ありがとうございました。今後のご活躍と活動にも期待しています!
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取材・文/太田さちか