「おせち」の名前、ぜんぶ言える? イラスト歳時記で春夏秋冬のごちそうを指さし確認!

お正月なら「おせち」。ひな祭りには「菱餅」や「ひなあられ」。このように、日本の季節ごとの行事にはごちそうが付き物です。今回は、食べものを軸に日本の一年の行事を理解する絵本『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)から、四季折々のごちそうを見ていきましょう。

なぜお正月におせちを食べるの?

一年のはじまりであるお正月に食べる「おせち」は、家々に新年の幸せをもたらすといわれる年神様のためのごちそうです。おそなえをしてからいただくことで、一年の無病息災を祈願します。

ごちそうひとつひとつにさまざまな願いが込められているのも「おせち」の特徴。さらに、「おせち」は「めでたさを重ねる」という意味合いから重箱に入れられており、一番上から一の重、二の重、三の重と、それぞれ入れる料理が決まっています。

どのお重にどんなごちそうが入っているのか、そして、それぞれのごちそうにどんな願いが込められているのか、イラストとともに押さえていきましょう。

『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)より

一番上の「一の重」は、栗きんとんや黒豆のように、「祝い肴」と呼ばれる甘めのものや、酒の肴になるごちそうを入れます。

『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)より

「二の重」は、縁起を担いだ海の幸や焼き物、酢の物や和え物を入れます。これらは「口取り肴」と呼ばれ、会席料理の際に最初に出される料理のことを指すのだとか。

『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)より

最後の段の「三の重」は、山の幸を使った煮物を入れます。

こうしてイラストで見てみると、ごちそうひとつひとつの形状にも意味があることがよくわかりますね。

春夏秋冬のごちそう、いくつ知ってる?

日本には、その季節にこそ食べたいごちそうもたくさん。ここからは、「お花見弁当」「おはぎ」「年越しそば」等々、春夏秋冬のごちそうをご紹介します。

春のごちそう

『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)より

お花見弁当

桜の木の下で、花を楽しみながらごちそうをいただく花見。そんなお花見も、もともとは豊作を願う大切な行事でした。平安時代は貴族の行事でしたが、本格的に庶民にも浸透したのは江戸時代。
「江戸時代のピクニックセット」と呼ばれる『提重(さげじゅう)』に、春の旬の食材を生かしたごちそうと日本酒の入ったとっくりを一緒に格納して、宴に持ち込んだと言われます。

その他、春のごちそう いっぱい

ひな祭り(3月3日)には「ちらし寿司」や「はまぐりのお吸い物」「ひしもち」「ひなあられ」を食べます。「ひなあられ」には、うるち米で作ったあまくてフワフワの関東風と、もち米でつくった甘くない関西風があるんですよ。

また、春のお彼岸(3月20日ごろ)に欠かせない「ぼたもち」。「ぼた」は植物のぼたんの意味で、ぼたんの花のようにどっしりと大きいことからつけられたのだとか。

そのほか、花まつり(4月5日)の「甘茶」、こどもの日(5月5日)の「ちまき」や「かしわもち」も春の行事のごちそうです。

夏のごちそう

『ごちそうごよみ』(作/谷山彩子、小学館)より

入梅いわし

こよみの上では梅雨入りする6月ごろ。『入梅いわし』とは、この時期にとれるイワシのことを指します。この時期のイワシは、産卵前で脂がたっぷり! おさしみやつみれ汁、フライ、煮付け、塩焼きなど、どの食べ方でもおいしくいただけます。

水無月

水無月とは、旧暦の6月を指す和風月名。一年の前半が終わる夏越の祓(6月30日)には、同じく『水無月』という名のお菓子をいただきます。上にのった小豆は魔除けを意味し、三角の形は氷を表しているのですよ。

他、タコやうなぎも夏のごちそう

こよみの上では田植えが終わる頃である半夏生(7月1日)には『タコ』を食べて縁起をかついだり、七夕(7月7日)には糸たばをかたどった『索餅(さくべい)』と呼ばれるお菓子を食べたりします。

そして、7月20日ごろになるとやってくる夏の土用の丑の日には、『うなぎ』を筆頭に、『うめぼし』『うり』など、夏バテ防止にぴったりな「う」のつくごちそうを食べます。

先祖が帰ってくるとされるお盆(8月13日〜16日ごろ)には、肉や魚を使わない『精進料理』で、あの世からのお客さまをもてなします。

秋のごちそう

菊の花

不老長寿を願う「重用の節句」(9月9日)には、菊の花そのものを調理したおひたしやサラダ、菊の花を模した和菓子『着せ綿』を食べます。菊の花は、不老長寿を願い、邪気を払う花とされてきました。

おはぎ

ぼたもちとおはぎの違いをご存じですか?  年に2回のお彼岸で、春に食べるのが『ぼたもち』、秋に食べるのが『おはぎ』とされています。
『おはぎ』という名称は、この季節に咲く萩の花が由来になっているのだとか。

秋には、月見団子や月餅もはずせない!

ほか、一年で最も美しいとされている「中秋の名月」を楽しむ十五夜には、『月見団子』や『月餅』など、月にちなんだごちそうを味わいます。
『月見団子』のまんまるは満月の形を表していて、『月餅』の丸い形は「家族団欒」を表しているそうですよ。

冬のごちそう

年越しそば

12月31日の大晦日には『年越しそば』をいただくご家庭が多いのではないでしょうか。
『年越しそば』は、「そばのように細く長く」新しい年も普通の毎日がずっと続くようにと願いを込めて食べるものです。
ざるそば、もりそば、かも南ばんにきつね・たぬきそば……。さまざまなそばがありますが、みなさんはどんなそばで年を越しますか?

その他、冬はごちそう天国!

一年に終わりが近い冬至には、五十音の終わりの文字「ん」のつくものを食べるとよいと言われています。なんきん(かぼちゃ)やみかん、れんこん、うどんなどは、運を呼びこむ『運ざかり』とも呼ばれるのだとか。

クリスマスには、いちごののったショートケーキなどをクリスマスケーキとして食べたり、お正月が近づけば、お餅を焼いて食べたり。寒い日には、すき焼きやおでん、湯豆腐など、ほかほかの鍋料理もぴったりですよね。

ごちそうがいっぱいの日本の冬。この冬は、どんな食べ物を楽しみにしていますか?

2024年は『ごちそうごよみ』で季節食を満喫してみる

ここまで、春夏秋冬や季節の行事ごとに日本のごちそうをふりかえってきました。ふだん何気なく食べているごちそうにも、さまざまな意味や願いが込められていることがよくわかりましたね。

1760円(税込)ISBN9784097252474

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今回参考にしてきた絵本『ごちそうごよみ』では、このような行事とごちそうの関係をおしゃれなイラストとともに分かりやすくご紹介! 食欲がそそられ、季節が移り変わるのがきっと楽しみになるはず。

食を通じて、日本の文化への理解も深まる一冊です。2024年は、お子さんといっしょに季節食を満喫してみては。

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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部

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