長浜の「曳山まつり」が熱い! 歴史や見どころ、全国の曳山まつりもご紹介【HugKumお祭りガイド】

「曳山(ひきやま)」とは、祭りで使われる山車(だし)のことです。山車を使った祭りの中でも、滋賀県長浜市の「長浜曳山まつり」は子どもが活躍する行事として知られています。長浜曳山まつりの概要や見どころ、その他の曳山まつりを紹介します。©︎ Biwako Visitors Bureau

長浜曳山(ひきやま)まつりの概要

滋賀県長浜市は、滋賀県北部・琵琶湖の北東に位置する市です。戦国時代には羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が城を置き、城下町を築きました。

秀吉とも縁の深い、長浜曳山まつりの概要を紹介します。

長浜八幡宮で4月に実施される祭礼

長浜曳山まつりは、滋賀県長浜市にある「長浜八幡宮(ながはまはちまんぐう)」で開催される春の祭礼です。祭礼日は毎年4月15日ですが、4月9~17日には長浜市内でも祭りが開催され、山車が巡行します。

山車とは、華やかな装飾が施された祭りの道具を指し、担いだり引いたりするのが一般的です。地域や祭りの形態によって呼び方は異なり、長浜曳山まつりの山車は「曳山」と呼ばれています。

2024年の日程は、4月9日(火)~16日(火)です。ただし日によっては曳山が出ないケースもあるため、事前に公式サイトで情報を確認しましょう。

長浜八幡宮

豊臣秀吉に縁がある

豊臣秀吉は、1574(天正2)年ごろに長浜城を築き、城下町を造りました。城下町で秀吉が実施した「太刀(たち)渡り」と呼ばれる行事は、武勇で知られる平安時代後期の武将・源義家(みなもとのよしいえ)の武者行列を参考にしており、現在の長浜曳山まつりにも受け継がれています。

また、男子が誕生した際、秀吉は町民たちに砂金を振る舞ったといわれています。曳山まつりは町民たちがこの砂金で曳山を造り、長浜の町を曳き回したのが始まりと伝わりますが、真偽については分かっていません。

ただし秀吉の統治によって、長浜が栄えたことは事実です。長浜が豊かになるにつれ、曳山まつりもより華やかになっていったといわれています。

「動く美術館」といわれる曳山に注目

長浜曳山まつりで注目したいのは、伝統工芸の粋(すい)を集めて造られた曳山です。高さ約6~9m・幅約3~3.5m・重さ約4.5~6.2tの曳山は、「動く美術館」とも呼ばれています。

曳山の装飾や飾りは、江戸時代の職人たちによって製作されました。有名な絵師の絵画や、西洋産のじゅうたんなどで飾った曳山もあり、「絢爛豪華(けんらんごうか)」の言葉が似合う見た目です。

©︎ Biwako Visitors Bureau

長浜には合計で13基の曳山があります。このうち1基は、太刀渡りに使った太刀・のぼりを飾るもので、「長刀山(なぎなたやま)」と呼ばれています。残りの12基には、子ども歌舞伎の舞台や楽屋などが設置されています。

なお祭りには長刀山と、舞台が設置された12基のうち4基の計5基が出場する決まりで、一度に全てが出そろうことはありません。

出典:
長浜曳山祭について | 長浜市曳山博物館

長浜・米原を楽しむ観光情報サイト

長浜曳山まつりは「子ども歌舞伎」が見もの

長浜曳山まつりには豊臣秀吉に縁のある「太刀渡り」など、さまざまな見どころがあります。中でも多くの人が注目するのは、地元の子どもたちが演じる「子ども歌舞伎」です。子どもたちの熱演を楽しめる、子ども歌舞伎について紹介します。

©︎ Biwako Visitors Bureau

演者は長浜市民の子どもたち

子ども歌舞伎は、5~12歳ぐらいの男子によって演じられる歌舞伎です。長浜では歌舞伎を狂言または芸と呼ぶため、「子ども狂言」ともいいます。「子ども役者」と呼ばれる演者は長浜市民から募集され、応募者が多い場合は抽選で決まります。

子ども役者は3月下旬のから本番までの約3週間、台詞の読み習い・節回し・立ち稽古などに取り組むのが通例です。祭りが始まると、曳山正面に付属する4畳半ほどの舞台にて、演目を披露します。

子ども歌舞伎は、1700年代には行われていたとの記録があり、現在まで多くの人々を楽しませています。

出典:酔いしれるほどの名演技 子ども歌舞伎について | 長浜市曳山博物館

子ども役者が出る主な行事

長浜曳山まつり期間中、子ども役者は以下のような行事に出演します。

●13日:十三日番
●14日:自町狂言・夕渡り
●15日:朝渡り・各所での狂言奉納
●16日:後宴狂言

十三日番は、子ども役者たちが初めて子ども歌舞伎を披露する行事です。夕刻になると本番と同じ衣装を身に着けた状態で、各地域にある曳山の舞台に立ちます。

©︎ Biwako Visitors Bureau

長浜八幡宮の祭礼日・15日に実施される狂言奉納は、子ども歌舞伎の中でも特に見ごたえのある行事です。子ども役者は朝から長浜八幡宮へ向かい、くじの順番に従って子ども歌舞伎を奉納します。

奉納が終わった後には、5カ所の参道で演じながら、御旅所(おたびしょ)へと向かう流れです。長浜八幡宮と御旅所では4基の曳山が出そろうため、全ての子ども歌舞伎を見られます。

出典:主な行事 | 長浜市曳山博物館

勇壮な山車が魅力!全国の曳山まつり

日本には長浜曳山まつり以外にも、山車を曳き回す行事が多数あります。特に有名な、「祇園祭(ぎおんまつり)」「高山祭(たかやままつり)」「秩父夜祭(ちちぶよまつり)」を見ていきましょう。

祇園祭

祇園祭は、厄よけを祈願して始まったとされる京都府・八坂神社の祭礼です。京都の夏の風物詩ともいえる行事で、毎年7月1~31日に開催されます。

祇園祭の中でも見どころが多いのは、17日と24日です。両日とも八坂神社の神輿渡御(みこしとぎょ)と山鉾(やまぼこ)巡行が行われ、町は華やかな雰囲気に包まれます。

また、14~16日と21~23日に開催される「宵山(よいやま)」も、夜祭りの風情を楽しめる行事です。

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高山祭

高山祭とは、岐阜県高山市で春と秋に開催される祭りの総称です。春は飛騨山王宮日枝神社(ひださんのうぐうひえじんじゃ)の例大祭として、4月14〜15日に開催されます。一方の秋は、櫻山(さくらやま)八幡宮の例大祭として、10月9〜10日に行われる習わしです。

高山祭の見どころは、「動く陽明門」とも呼ばれる豪華な屋台です。屋台は飛騨の匠の技術で丁寧に造りこまれており、精巧に動くからくり人形が取り付けられたものもあります。

高山祭の山車

そのほか、屋台に付けられた約100個の提灯に火が灯される「夜祭(よまつり)」も、見どころのある行事です。昼と夜で異なる美しさを楽しめる髙山祭は、「日本三大美祭」の一つにも数えられています。

出典:
飛騨山王宮日枝神社【公式サイト】
飛騨高山『櫻山八幡宮』|例大祭

秩父夜祭

秩父夜祭は、江戸時代から300年以上続く行事です。12月2日の「宵宮(よいみや)」と3日の「大祭(たいさい)」があり、2台の笠鉾(かさぼこ)と4台の屋台の曳き回しが行われます。期間中の夜には花火も打ち上げられ、冬の秩父の町が華やかな雰囲気に包まれます。

秩父夜祭の見どころは、3日夜に行われる「団子坂(だんござか)」の曳き上げです。最大の重さが20tともいわれる巨大な笠鉾や屋台が、ゆっくりと急勾配の坂を上がっていく様子は見ごたえがあります。

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活気あふれる曳山まつりを楽しもう

長浜曳山まつりは、滋賀県長浜市・長浜八幡宮で行われる春の祭礼です。豊臣秀吉が長浜を統治した時代に始まったとされ、日本古来の華やかな雰囲気を楽しめます。

長浜曳山まつりでは、豪華な曳山や子ども歌舞伎が見どころです。特に子ども役者が演じる歌舞伎は、曳山まつりでしか見られません。家族で現地に足を運び、子どもたちの熱演を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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