目次
「臨機応変」とは?
まずは、この言葉の読み方と意味を押さえておきましょう。
読み方と意味
この言葉は、『臨機応変』と書いて「りんきおうへん」と読むことができます。「状況に応じて、行動や対応を変えること」の意味を持ちます。
『臨機』とは「その場に応ずること」で、『応変』とは「変化に応ずる」の意。『臨機応変』を、この2つの言葉が組み合わさったものと覚えておくと、より忘れにくくなります。
由来は、中国の歴史書『南史』に登場する言葉(※諸説あり)
『臨機応変』の由来には諸説があるようですが、中国の南北朝時代を描いた歴史書『南史』に登場する梁(りょう)の総司令官・蕭淵明(しょうえんめい)の言葉であるという説がメジャーです。
敵を追い込んだにも関わらず、なかなかその次の動きを見せなかった蕭淵明は、「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ(私は自分で的確に機を見て、変化にうまく対応することができる。余計なことは言わないでくれ)」と部下たちに言いました。この蕭淵明の言葉が派生して『臨機応変』という言葉が生まれたとされています。
使い方を例文でチェック!
では、実際には『臨機応変』はどのように使うことができるのでしょうか。具体的な例文を通して、使い方をチェックしておきましょう。
1:彼女はいつもマニュアルにとらわれず【臨機応変】な対応をしてくれるので助かる。
「行動」「対応」のような名詞と組み合わせて、「臨機応変な〜」と形容詞的に用いた例。状況に応じた適当な対応を言い表したい場合、「臨機応変な対応」と言うことができます。
2:今回の求人では、【臨機応変】に行動できる人を募集している。
こちらは、「行動する」「対応する」のような動詞と組み合わせて、「臨機応変に〜する」と副詞的に使った例です。状況に応じた適当な対応を言い表したい場合、「臨機応変に対応する」と言うこともできます。
3:思いがけないトラブルが起こった時も、彼女は【臨機応変】だった。
名詞や動詞と組み合わせず、「臨機応変だ」「臨機応変だった」と言い切るかたちでも使うことができます。その場に応じて適切な判断や行動が行える人の資質を言い表したい場合などには、このような形で使ってみましょう。
類語や言い換え表現は?
『臨機応変』を、他の言葉に言い換えたい場合に使える類語も覚えておきましょう。
1:当意即妙(とういそくみょう)
『臨機応変』の類語としてまず挙げられるのが、『当意即妙』です。『当意即妙』とは、「その場に応じた機転をすばやくきかせること」という意味を持つ言葉。
「状況に応じて機転をきかせる」というニュアンスにおいて、『臨機応変』と似た言葉と言えます。ただし、『当意即妙』には「すばやさ」のような具体性がある点が、『臨機応変』とは少々異なります。
2:融通無碍(ゆうずうむげ)
『融通無碍』とは、「しがらみがない」「思考や行動が一つに滞ることなく、自由であること」を意味する言葉です。
マニュアルや型にとらわれずに行動できる様を言い表せる『臨機応変』と近いニュアンスを持つ言葉と言えます。「融通無碍に対処する」といった使い方をすることもあります。
3:時と場合に応じて(ときとばあいにおうじて)
『臨機応変』は、『時と場合に応じて』に言い換えることもできます。「時と場合に応じて対応する」といった使い方をすると、『臨機応変』を噛み砕いたような表現になります。
4:柔軟(じゅうなん)
『柔軟』も『臨機応変』の言い換え表現として用いやすい言葉です。『柔軟』は、「状況に合わせて順応すること」を意味します。「柔軟な対応をする」といった使い方をすることができます。
対義語は?
『臨機応変』には、明確に対となる対義語は存在しないため、ここでは、反対に近い意味と思われる言葉をご紹介します。
1:杓子定規(しゃくしじょうぎ)
『杓子定規』とは、「一定の基準や形式で無理に他を律しようとする、頭のかたいやり方・態度」を言い表した言葉です。
マニュアルや型にはまらず、状況に応じて対応を変える『臨機応変』とは反対の意味を持つ言葉と言えます。
2:融通が効かない(ゆうずうがきかない)
『臨機応変』の反対の意味を言い表したい場合、『融通がきかない』を使うことができます。
『融通』とは、「必要に応じて自在に処理すること」を意味する言葉。これを否定形にすることで、『臨機応変』の対義語のような使い方ができます。
3:四角四面(しかくしめん)
『四角四面』も「考え方や態度が堅苦しく至極真面目なこと」を意味します。柔軟な対応や行動を指す『臨機応変』とは反対の意味を持つ言葉として覚えておきましょう。
英語表現は?
『臨機応変』を英語で言い表したい場合はどのような言葉が適しているのでしょうか。『臨機応変』に近い意味を持つ英語表現も押さえておきましょう。
1:flexible
まず挙げられるのが、“flexible”。“flexible”は「柔軟な」「適応性のある」「融通のきく」といった意味の英語表現で、「状況に応じて変化できる」といったニュアンスを持ちます。そのため、『臨機応変』の英語表現として使うことが可能です。
2:Play it by ear
“Play it by ear”は、「耳で聴いて演奏する」と直訳でき、「その場の状況に合わせて対応する」=「臨機応変に行う」というニュアンスを持つ英語表現です。音楽や演奏とは関係のないビジネスシーンなどでも日常的に使われます。
面接での自己PRから新人教育まで、ビジネスシーンで頻出する言葉
今回は、『臨機応変』の意味や語源・例文・関連語をまとめてお伝えしてきました。
マニュアルを覚えることももちろん大切ですが、時にはその場の状況に応じて、柔軟に対応しなければならない時もありますよね。面接での自己PRから新人教育まで、ビジネスシーンのさまざまなシチュエーションで使える言葉です。意味をしっかり把握して、正しく使ってみましょう。
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文・構成/羽吹理美