東ティモール基本情報
まずは、東ティモールの正式な国名や首都、場所などといった基本について解説します。
国名
正式な国名は、「東ティモール民主共和国」といいます。
首都
首都は、ディリです。
場所
東ティモールは、インドネシア東部にあるティモール島の東部に位置します。近くにはインドネシアやマレーシア、オーストラリアがあります。
日本との時差
日本と東ティモールとの時差はありません。たとえば日本が午前7時だとすると、東ティモールも午前7時です。
面積
東ティモールの面積は、約1万4,900平方キロメートルです。これは、岩手県とほぼ同じくらいの大きさとなります。
エリア
東ティモールは、5つの地方に分かれています。それぞれの地方にある県は次のとおりです。

●ディリ地方
ディリ県、マナトゥト県、リキサ県、アタウロ県
●バウカウ地方
バウカウ県、ビケケ県、ラウテン県
●サメ地方
アイナロ県、アイレウ県、マヌファヒ県
●マリアナ地方
エルメラ県、コバリマ県、ボボナロ県
●オエクシ地方
オエクシ県
人口
東ティモールの人口は、約134万人(出典:東ティモール国勢調査、2022年)です。これは、山口県の人口(約137万人)よりも少し少ないくらいとなります。

言語・公用語
東ティモールの公用語は、テトゥン語およびポルトガル語です。実用語として、インドネシア語や英語、その他30以上の地方言語が使われています。
通貨
東ティモールの通貨はアメリカ合衆国ドルです。日本円にすると、1ドルは145円です(2024年8月21日現在)。
宗教
東ティモールの人々が信仰する宗教は、大半がキリスト教のカトリックです。そのほか、イスラム教を信仰する人もいます。
歴史概略
1515年 ポルトガル人宣教師が東ティモールに来航する。
1658年 オランダが西ティモールを占領する。
1701年 ポルトガルがティモール全島を領有する。
1859年 リスボン条約により、ポルトガルとオランダの間でそれぞれ東西ティモールを分割する。
1942年 日本軍が軍政支配下に置く。
1945年 第2次世界大戦終了後、ポルトガルによる東ティモールの支配が回復する。
1974年 ポルトガル本国で発生したカーネーション革命により、植民地の維持を強く主張した旧政権が崩壊。それに伴い、東ティモールで独立の動きが強まる。
1975年 独立派(フレテリン等)と反独立派の対立が激化。11月28日、フレテリンが東ティモールの独立を宣言するも、その直後インドネシア軍が東ティモールに侵攻し制圧する。
1976年 インドネシアは、東ティモールを第27番目の州として併合を宣言する。
1998年 インドネシアは、東ティモールの独立容認へと方針を転換する。
2002年 独立を達成。21世紀最初の独立国となる。

天気・気候
東ティモールは熱帯モンスーン気候に属し、雨季と乾季があるのが特徴です。12~4月の雨季は多くの降雨があり、6~10月の乾季は晴れ間も多くなります(5月と11月は遷移シーズン)。年間を通じて蒸し暑く、気温は 20〜35℃です。
東ティモールの首都・ディリと日本の東京をくらべると、ディリのほうが平均気温が一定して高く、降水量はやや少ない傾向にあります。
東ティモールの治安・住みやすさ
ここからは、東ティモールの治安や住みやすさを解説していきましょう。
治安は比較的安定している
現在の東ティモールは治安が安定しています。しかしインドネシアとの国境付近では犯罪者やテロリストなどの密入国が日常的に行われている状況で、その地域の治安は不安定です。
住みやすいとはいえない
国全体として見ると、インフラ整備などが整っていない地域も多く、住みやすいとはいえないでしょう。
東ティモールの見どころ・観光
東ティモールの観光名所をご紹介しましょう。
クリスト・レイ

首都・ディリの東端ファツカマ岬に建つ「クリスト・レイ」は、巨大なキリスト像で、高さは27mあります。キリスト像としては、世界で3番目に大きいといわれています。
高台にあり、そこからはディリ市街と青く広がる海を見わたすことができる絶景スポットです。
ラメラウ山(タタマイラウ山)
東ティモール中央山脈の西部に位置するラメラウ山は、標高2963mの山です。地元の人々からは聖なる山として崇められており、日本の唱歌「富士の山」のような「ラメラウ山」という歌もあります。
山頂にはマリア像があり、ご来光とともに拝むことができ、神聖な気持ちになれるスポットです。
ジャコアイランド

ジャコアイランドは東ティモールの最東部に位置する島で、国立公園にも指定されています。珊瑚礁が生息する海は透明度が高く、青い海と白い砂浜のコントラストが美しい場所です。
ディリ大聖堂
首都・ディリにある「ディリ大聖堂」は、東南アジア最大級の大聖堂です。1980年代につくられたカトリックの大聖堂で、かつてはローマ法王も訪れたことがあるのだそう。明るいベージュの外観と、建物の上部に設置されたたくさんの白い像が特徴です。
東ティモール・レジスタンス博物館
「東ティモール・レジスタンス博物館」は、ディリ市内中心部にあります。この博物館では、東ティモールが独立するまでの歴史と経緯が時系列で展示されています。東ティモールという国の激動の軌跡をうかがい知れます。
東ティモールの特徴・有名なもの

観光スポット以外の、東ティモールで特徴的なものや有名なものを紹介していきましょう。
国名の由来
マレー語・インドネシア語で「ティモール」は「東」を意味します。よって「東ティモール」は、直訳すると「東(の地域)の東(部分)」という意味があります。
国旗の意味
東ティモールの国旗は、黒、黄色、赤、白い星で構成されています。それぞれに意味があり、黒は4世紀にわたる植民地時代の苦難を、黄色は矢じりで独立のための戦いを表しています。赤は、東ティモールの人々が流した血と犠牲を、白い星は、未来に対する望みを象徴しているのだそうです

この国旗は2002年の独立とともに採用されましたが、インドネシアに併合される前年の1975年に独立派のひとたちによってつくられました。
伝統的な織物「タイス」
「タイス」は、東ティモールの伝統的な織物です。インドネシアで有名な織物イカットと同様に、制作過程で結び目をつけて模様をつけます。模様とカラフルな色合いが特徴で、このデザインや色は地方や家ごとに特徴が異なるのだそうです。
もともと民族衣装をつくるための布地としてつくられていましたが、現在ではお土産物にするために織られており、タイスでテーブルクロスやバッグなどがつくられています。
コーヒー

隣国のインドネシアでは、スマトラやジャワなどがコーヒーの産地として世界的に有名です。東ティモールも似たような気候と環境条件をもつことから、コーヒーは東ティモールの産業のひとつとなっています。
東ティモールでは農薬や化学肥料を使わない栽培方法が定着していたことから、オーガニックの製品が多く、世界中のコーヒー好きから注目されています。またコクと香りが豊かで、苦味や酸味が少ない味わいも魅力です。
美しい海やおいしいコーヒーなど魅力いっぱいの「東ティモール」
東ティモールは、豊かな自然と独自の文化を持つ魅力的な国です。美しい海や山々、世界で3番目に大きなキリスト像、歴史的なレジスタンス博物館など、訪れる価値のあるスポットが数多くあります。また、オーガニックのコーヒーも世界中の愛好者から高く評価されています。東ティモールについてさらに興味が湧いた方は、歴史や文化を深く知ることで、より一層その魅力を感じられるでしょう。
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文・構成/HugKum編集部