3食自炊があたりまえの北欧
ノルウェーに住んでいるときに習慣となり、日本にいる今もずっと続いているひとつのことがあります。
それは、1週間分の献立を考えてまとめ買いすること。
これをはじめようと思ったのは、なんと言っても、北欧の物価の高さに驚いたことがきっかけでした。スーパーでの買い物はもちろん、外食もとっても高いのです。日本のように気軽に外食できなくなったことが、ノルウェーに住んでいたときにどれほど辛かったことか…。
北欧の多くの家庭では、カフェなどの軽食をのぞいては、外食の頻度は月に一度くらいの家庭が多いのではないかと思います。
北欧のファミリーがあたりまえにしていること
物価の高い北欧では、ほぼ毎日、朝、昼、晩の3食自炊があたりまえです。毎日をなんとか乗り切るために、多くの家庭では週に一度のまとめ買いをしています。
子育てしながらの毎日は、あれこれ考えることが多く、毎日とにかくバタバタです。そんな中で、1週間に一度考えておけば、食事だけは悩まずに、体を動かすだけでいい。
そう思えることに救われているのが、わが家で続けている理由かなと思います。
ノルウェーでは曜日ごとに固定メニューが決まっている?
とは言っても、1週間分の献立を考えるのは、簡単ではありません。北欧の人たちはどう乗り切っているかというと、曜日ごとにざっくりカテゴリー分けしている家庭が多いようです。
たとえば、月曜日はパスタ、火曜日はスープとパン、水曜日はお肉とサラダというような感じに決めています。
また、そのほかにも、曜日ごとに固定メニューが決まっているんです。ノルウェーの多くの家庭で金曜日の夜は、タコスかピザを食べているはずです。金曜日にバスに乗ると、テイクアウトするピザの香りが、バス中に漂っていたのも懐かしい思い出です。

また、土曜日のお昼はミルク粥を食べるのが習慣。お粥をミルクで炊いて、そこに砂糖とバターを添えて食べます。固定メニューが決まっていると、とにかくラクなんです。
土日は家族みんなが好きな、ハッピーメニューの日

ノルウェー流に献立を考えていた時期もありますが、今はわが家流に少しずつ変化をしています。最近では、土日は子どもも大人も大好きなハッピーメニューの日になりました。
タコス、タコライス、手巻き寿司、ホットサンド、餃子、春巻きの中のどれかを作っていることが多いです。

週に2度、何も決めない日をつくる
週の真ん中の水曜日と土曜日のお昼は、何も決めない日をあえて作るようにしています。
この日はお弁当を買ったり、お惣菜に頼ったりすることもありますし、外食することも。日本は外食もお惣菜も安くておいしい選択肢がたくさんあるのが、本当にすばらしいことだなぁと思います。

大事なのは家族みんなで食べること
「1週間献立を考えている」と友人に話すと、びっくりされることもあります。でも、これが続いているのは、凝ったものを作ろうとしていないことが大きな理由かもしれません。
同じメニューが何度も続いている日もありますし、レトルトパックにもしょっちゅう助けてもらっています。
それでもいいと思えるようになったのは、家族と過ごす時間を大事にしている北欧の人たちの姿を間近で見たことが大きいと思います。
北欧の人たちは「何を食べるのか?」というよりも、「誰と食べるのか」をいちばん大事にしているようなのです。「家族で笑って食べられること」をいちばんに、毎日の料理をなんとか乗り切っています。

前回の話はこちら
連載バックナンバーはこちら
プロフィール

イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか