秋は、チューリップの球根を植える時期。正しい植え方、育て方を知って、春にチューリップを上手に咲かせてみませんか。
チューリップってどんな花?
チューリップといえばオランダを思い浮かべますが、原産地はトルコといわれています。登録されたものだけでも3500種以上あり、毎年新種が開発されるほど、人気のお花です。
色は赤、白、黄色をはじめ、ピンク、紫などさまざま。咲き方も、おなじみの一重咲きから、八重咲き、ユリの花に似たユリ咲き、花びらの先に切れ込みが入ったフリンジ咲きと、いろいろな咲き方があります。どの品種も、種ではなく、球根から育てます。
チューリップの球根を植える時期に秘密あり
チューリップの球根は秋に植えます。全国的に、気温が下がってきた10~11月が適期です。
「休眠打破といって、チューリップは植えたあと、2か月以上寒さに当てないと、球根から芽が出ないんです。遅くとも年内には植えたほうがいいですよ」(サカタのタネの球根担当)
低温にさらされることで成長活動が引き起こされ、12月も過ぎると徐々に根が伸び始め、春に気温が上昇すると芽が一気に伸び、花が咲きます。
用意するもの
水はけのよい土を好みます。花壇に植える場合は、あらかじめ腐葉土と、緩効性の肥料を混ぜ込んでおきます。鉢植えの場合は、最初から肥料などが入っている園芸用土を使いましょう。
球根の選び方
球根は9月ごろからホームセンターや園芸ショップで手に入りますが、植える直前に購入するのがおすすめ。持ったとき、重く、弾力があってしっかりしている球根を選ぶのがコツ。表面がカサついて軽いものは避けます。
球根の植え方
チューリップは茎が長く伸びるため、風が吹いたときに倒れにくいよう、球根を深めに植えます。目安は球根2個分。浅すぎると根が伸び、球根が地上に出てくる場合があるので、要注意です。なるべく日当たりのいい場所に植えましょう。また、プランターに植える場合は、深さのあるプランターを選ぶとよいでしょう。
チューリップは先のとがったほうを上にして植えます。球根同士の間隔は10~20cmが目安ですが、近づけて植えると密集して、にぎやかな雰囲気に。
ポイント:球根の形を見極め、葉の出る方向を揃える
「チューリップは葉の出る方向が決まっています。球根を上から見て平らな部分から最初の葉が出るので、平らな部分を斜め45度に揃えて並べて植えると、見た目がバランスよくなります」(サカタのタネの球根担当)
葉っぱ同士が重ならないので、密集して植えたい場合に取り入れます。
植えたあとの管理の仕方
3月ぐらいまでは見た目に変化はありませんが、土の表面が乾いたら、必ず水をたっぷりあげること。これを怠ると根が乾燥してしまい、花が咲かない原因になります。水やりを忘れないために、ほかの花苗と混植するのもいいでしょう。芽が出てからも、土が乾いたら水をあげるようにします。特に肥料は必要ありませんが、芽が出たら2週間に1度液体肥料を与えると、きれいな花が咲きます。葉に茶色いや灰白色の斑点が入ったら病気なので、ほかにうつらないよう抜き取ります。
チューリップの発芽から開花まで
上級編 花が咲いたあとの管理
大抵の場合、花が終わったら球根を掘り起こし、処分しますが、球根を育てることもできます。まず花が終わったら、花の下で茎を切ります。葉が緑色のうちは水やりを続けることで、新しい球根が育ちます。葉が枯れるタイミングで球根を掘り上げ、土を落とします。よく乾燥させ、風通しのよい涼しい場所で秋まで保管します。
『新幼児と保育』2018年10・11月号 文/大石裕美 写真/おくやまひさし、茶山 浩(球根)イラスト/奥まほみ 監修/サカタのタネ