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「昭和の日」とは
「昭和の日」は内閣府が定めた国民の祝日のひとつで、その説明については「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」と記されています。昭和がどんな時代だったか振り返ると、第二次世界大戦が起こり、広島や長崎には原爆が投下されるなど、日本にとって苦しく厳しい日々がありました。その後、終戦後は少しずつ復興を遂げ、高度経済成長で大きく発展していったのです。
これほど大きく変動した昭和の時代を経て、現在の平和な日々があることから、「昭和の日」には昭和の時代に思いを馳せ、今日の生活に感謝をしようという意味があるとされています。
昭和の日はいつ?
2024年の「昭和の日」は4月29日(月)です。
毎年4月29日が、「昭和の日」にあたります。4月末から5月上旬まで続くゴールデンウィークの中で、初日となる祝日です。
ゴールデンウィークにあたる祝日は、昭和の日以外には、5月3日の「憲法記念日」、5月4日の「みどりの日」、5月5日の「こどもの日」があります。
子どもにわかりやすく説明すると?
子どもにはどんな風に「昭和の日」を説明すればいいでしょうか? 幼い子どもでもわかりやすい方法は、日本には令和、平成、昭和という時代があることを、まずは教えること。さらに、昭和の日については、「昭和のできごとを忘れないようにみんなで思い出す日」と伝えるとよいでしょう。
家族の中に昭和生まれの人がいたら、昭和のときの話を聞いたり、昭和によくやった遊びなどを子どもに伝えてみることも、昭和の日ならではの過ごし方かもしれません。
4月29日が「昭和の日」になるまで
「昭和の日」は4月29日ですが、この日はもともと違う名前で呼ばれていました。4月29日が、どんな過程を経て「昭和の日」と呼ばれるようになったのでしょうか?
昭和天皇の誕生日「天皇誕生日」
4月29日はもともと、昭和天皇の誕生日でした。日本ではその時代の天皇の誕生日を「天長節(てんちょうせつ)」と呼び祝日としているため、昭和の時代は4月29日は「天皇誕生日」という祝日だったのです。
ちなみに現在の令和の天皇誕生日は、2月23日です。
「みどりの日」
昭和天皇が崩御し、昭和の時代から平成の時代へ変わったとき、新しい天皇の誕生日である12月23日が「天皇誕生日」の祝日に変わりました。そして4月29日の「天皇誕生日」は、本来ならば平日になるはずだったのですが、4月29日が平日になるとゴールデンウィークが従来より短くなり、国民の生活に大きな影響が及ぶと考え、日本ではこの日を平日にはせず、祝日として残すことにしたのです。
そして、昭和天皇が自然を愛していたことから、4月29日を「みどりの日」と定められたのです。
「昭和の日」
「天皇誕生日」から「みどりの日」になった4月29日ですが、2007年に改正された祝日法で、4月29日を「昭和の日」に、そして「みどりの日」は5月4日に移動することが定められました。時代が移り変わっても昭和という時代を日本国民が顧みることを促しているのかもしれません。
また「みどりの日」は5月4日に移動されました。5月3日の「憲法記念日」と5月5日の「こどもの日」に挟まれた5月4日はもともと平日で、そのままにしておくと飛び石連休となることから、「みどりの日」を5月4日に移動させることで、飛び石連休が回避されています。
明治の日、大正の日、平成の日はないの?
「昭和の日」が存在するとなると気になるのが、これまでの元号それぞれにちなんだ祝日です。「明治の日」や「大正の日」、「平成の日」というものがあってもおかしくなさそうな気もしますが、どうなのでしょうか?
歴代天皇の誕生日は「天皇誕生日」として祝日となる
それぞれの時代の天皇が生まれた日は、天皇誕生日として祝日となってきました。明治天皇の誕生日は11月3日でしたが、昭和23年に制定された法律で「文化の日」と定められたのです。大正天皇の誕生日は祝日としては残っていませんが、大正天皇の誕生日を残そうという動きがなかったことや大正時代が短かったことなどが理由として考えられそうです。
ちなみに歴代天皇の誕生日は次のとおりです。
- 明治天皇 11月3日(現在の「文化の日」)
- 大正天皇 8月31日(平日)
- 昭和天皇 4月29日(現在の「昭和の日」)
- 平成(上皇さま) 12月23日(平日)
- 令和(天皇陛下) 2月23日(現在の「天皇誕生日」)
令和になると「昭和の日」はなくなる?
2019年から新しい元号「令和」が制定され、令和の時代が始まりました。元号が変わると、「昭和の日がなくなるのでは…?」と心配する声が生まれていましたるようでした。内閣府で発表されている国民の祝日によると、令和6年(2024年)も、令和7年(2025年)も、4月29日の「昭和の日」は国民の祝日と記載されています。
ただし今後、祝日に関する法律が改定されるなどすれば、昭和の日がなくなる可能性は否定はできません。でも「昭和の日」が昔は「みどりの日」だったように、名称は変わりながら4月29日がなんらかの祝日として残っていくことも考えられます。
昭和の日本が分かるおすすめ本・絵本・映画
せっかくの「昭和の日」は、親子で昭和がどんな時代だったのか話し合ってみませんか? 本や絵本、映画など昭和の日本の暮らしがわかる子ども向けのおすすめアイテムをご紹介します。
「昭和の子どもとお店屋さん 昭和30年代、東京・下谷竹町物語」
昭和30年代の東京下町の暮らしを描いた絵本。子どもたちは昭和の時代にどんなお店があったのか、どんな遊びをしていたのか、知ることができます。駄菓子屋やとうふ屋などが描かれたり、大人世代はノスタルジーを感じられる1冊です。
「昭和の図鑑 日本の歴史を楽しく学ぼう!」
昭和の時代、各家庭で使われていた家電製品を取り上げたり、よく子どもたちが食べていた食事やおやつ、日本で開催されたオリンピックのことなど、身近な視点で昭和時代へタイムトラベルできる本です。
「ドラえもんの社会科おもしろ攻略 日本の歴史 3 江戸時代後半~現代」
ドラえもんが日本の歴史を教える人気シリーズのうち、最終巻。江戸時代後半から明治、大正、昭和、平成までの時代を振り返っていきます。ドラえもんとのび太が登場するオリジナルのまんがを読みながら、自然と日本の歴史について学んでいくことができます。
「ALWAYS 三丁目の夕日 ’64」
昭和39年、東京下町の夕日町三丁目を舞台に、そこで暮らす人々を描いた映画。東京オリンピック開催に向けて、東京が大きく発展していく様子などがわかります。
「昭和の日」は、子どもたちに昭和のことを伝えよう
今の子どもたちはスマホやインターネット、ゲームが当たり前にある生活で、戦争のことはもちろん、日本が貧しく苦しい時代があったことは考えもしないかもしれません。でも今の豊かで平和な日本があるのは、激動の昭和の時代を経てこそ。だからこそ子どもたちにも、日本では昔どんなことが起きたのか、今の平和が決して当たり前ではないことも、教えていってみてはどうでしょうか?
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文・構成/HugKum編集部