目次
立夏とは
立夏は「りっか」と読みます。夏が立つと書くように、夏の気配が感じられ、陽気も増してくる時期のことを言います。暦の上では、緑が茂り、田植えや種まきなどの畑仕事が始まる頃を言い、立夏から夏に入る初夏のことを指します。よって、立夏から8月初旬の立秋の前日までが、夏ということになります。この日から次の季節が始まるという同じ意味で、春の始まりは「立春」、秋の始まりは「立秋」、冬の始まりは「立冬」と言います。
立夏は、立春から6番目、春分から3番目の節気
二十四節気は、春夏秋冬という季節の呼び方とは別に、1年を24分類した暦です。24個それぞれに季節を表す名前がつけられており、季節の特徴を表しています。二十四節気の中でも「立春」と「春分」は特別な節気なのですが、立夏は立春から数えて6番目、春分から数えて3番目の節気となります。
立春は、旧暦では新年を迎える時期であり、暦の上では春の始まりを告げる節気として二十四節気の中でもとても大切にされています。
また春分は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日として世界的に重要な日ですし、日本での「春分の日」として祝日になっています。
2024年の立夏の時期はいつからいつまで?
二十四節気は太陽の動きに合わせて決められるため、立夏は毎年決まった同じ日ではありません。1日程度前後する場合があります。
2024年の立夏は5月5日(日)です。期間としては5月5日(日)9時10分から5月19日(日)までの約15日間となります。次の時候は小満で、梅雨入り前の時期を迎えます。
立夏と夏至の違い
夏を表す言葉として「夏至(げし)」があります。二十四節気では、夏は立夏から始まり、小満、芒種と続き、夏至を迎えます。
夏至は、夏の始まりである立夏とは違い、夏本番に向けて暑さが増していく時期のことをいいます。実際には、梅雨が明けていないことも多く、雨が続いているので夏の日差しが待ち遠しいと感じる季節でもあります。
夏至とは
2024年の夏至は6月21日(金)5時51分です。期間としては、7月5日までの間となります。
北半球である日本では、夏至は太陽が1年で最も高い位置にくるので、昼の時間がもっとも長い日になります。反対に、南半球では昼の時間がもっとも短くなります。太陽が長く出るので気温が高くなりがちですが、日本は梅雨と重なっているので、気温はそれほど高くならないことが多いようです。
二十四節気は農作業を行う目安として考えられていたこともあり、夏至は田植えの時期でもあります。さらに、夏至から11日目を半夏生と言い、半夏生までには田植えを終わらせるのが良いと言われており、関西地方では、田植えの終わった半夏生に「タコの足のように稲の根がしっかり地面に張るように」とタコを食べる風習もあります。
俳句の季語としても使われる立夏
俳句には、必ず季語を入れる必要があります。季語とは、季節を表すために俳句の中に入れる語句のことを指しますが、立夏も季語のひとつと数えられてます。季語としての立夏には、どんな意味があるのでしょうか。
いつの季語?
俳句を詠むときの季語として「立夏」が使われるのは夏。また、二十四節気の暦としての立夏を迎える時期には、季語も夏に向かいます。そのころに使える「立夏」以外の季語としては、「新茶」「古茶」「新緑」「緑さす」など、グリーンを彷彿とさせる初夏らしい語句もあります。
季語の意味
俳句の季語に立夏を使う場合、「夏がスタート!」というより、「夏らしさを感じた」「夏の始まる兆しを感じた」というニュアンスで使われます。立夏の別の言い回しとしては「夏来る」「夏立つ」「夏に入る」「夏きざす」などがあります。
時候の「立夏の候」 意味と使い方
時候の挨拶とは、手紙を書くときに使う、季節ごとの天気や天候に合わせた挨拶のことを言います。「立夏の候」は「りっかのこう」と読む時候の挨拶ですが、どんな意味があるのでしょうか。また、いつからいつまで使えるのでしょうか。「立夏の候」の意味、使える時期、使い方を紹介します。
「立夏の候」の意味
立夏の候は、暦の上での初夏の挨拶で使う言葉で、「夏の始まりの季節になりましたね」「もう少しで暑くなりますね」という意味があります。「立夏の候」と同じく「薫風の候(くんぷうのこう)」も夏の始まりが感じられ、緑の爽やかさを表す言葉として時候の挨拶に使用されます。
いつからいつまで使う?
「立夏の候」を時候の挨拶に使えるのは、立夏から「小満(しょうまん)」の前までです。小満とは、二十四節気で立夏の次に巡ってくる節気で、梅雨入りを告げてくれるとされています。2024年に「立夏の候」が使える期間は、5月5日(日)の立夏の始まりから、5月20日の小満の始まりの前日となる19日(日)までとなります。また、立夏の時期にも関わらず猛暑のような暑さだったり、ちっとも初夏らしくない肌寒さでも、時候の挨拶は暦にしたがって行う必要があります。
「立夏の候」の使い方
時候の挨拶として使われる「立夏の候」ですが、相手の様子を尋ねる挨拶とセットで使うのが一般的です。送る相手に合わせて以下のような使い方ができます。
ビジネスの手紙の場合
『拝啓 立夏の候、貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。』
『拝啓 立夏の候、貴社におかれましては、ますますご繁栄の段、慶賀の至りに存じます。』
『立夏の候、皆様にはいっそうご活躍のこととお慶び申し上げます。』
目上の方への改まった手紙の場合
『拝啓 立夏の候、○○様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。』
『立夏の候、皆様お元気にお過ごしと存じます。』
また、「立夏の候」は、「立夏のみぎり」や「立夏の折」に変えて使うこともできます。
立夏の候は、「拝啓 立夏の候、いかがおすごしでしょうか。」という感じで、プライベートの手紙にも使えます。しかし、やはり改まった印象が強くなってしまうため、親しい人には「暦の上ではもう夏となりましたが、お変わりございませんか?」と柔らかい挨拶に言い換えることもできます。
子どもの名前としても人気の立夏
暦としての二十四節気の立夏、季語の立夏、時候の挨拶の立夏をご紹介してきましたが、「立夏」は子どもの名前としても人気なのだとか。そこでHugKumではママパパにアンケートを実施、立夏という名前についてどう思うかを聞いてみました。
立夏は女の子向け?男の子向け?
アンケートの結果、「やっぱり女の子の名前でしょ!」と答えてくれたママパパは80%。立夏のどんなところが女の子向けの名前だと感じたのでしょうか?
女の子の名前としていいと思った理由
漫画やアニメの登場人物である女の子に立夏という名前が使われていたり、音の響きや「リカちゃん人形を彷彿とさせるから」といった理由も挙げられました。
・名前を呼んだ時のイメージは女の子だから。しっかり者に育って欲しいという親の想いが感じられる。(男性)
・国民的おもちゃの「リカちゃん」とオーバーラップするので。(男性)
・華や花という字をあてて「~か」という名前の女の子は多い。響きとして女の子っぽいと思う。(女性)
・かわいらしく現代的ですが、キラキラネームではないのがいいですね。(女性)
男の子の名前としていいと思った理由
少数派ではありますが、男の子の名前にもふさわしいと思ったママパパもいらっしゃました。いずれにせよ、子どもの名前としても「立夏」は好まれるようです。
・ラ行だとどうしても女の子っぽくなりがちかもしれませんが、「倫太郎」など男の子の名前でも使われることがあるので、私はあえて男の子に一票!(女性)
もうすぐ立夏、気持ちでも初夏を感じましょう
当記事では、二十四節気の節気のひとつである立夏、季語としての立夏、時候の挨拶としての「立夏の候」、子どもの名前としての立夏をご紹介しました。季節の移り変わりを感じつつ、みんなが健康で幸せな日々が送れるよう祈りながら、心穏やかに夏の訪れを待ちましょう。
あなたにはこちらもおすすめ
文・構成/HugKum編集部