こんにちは!ロンドンでふたりの息子の子育てをしているYukoです。このコラムでは、通常は、イギリスの教育や子育てをしながら、日本との違いを感じる部分をレポートしていますが、今回は、コロナウィルス感染の影響が出始めた2月〜3月のロンドンでの生活を振り返ってレポートしたいと思います。
目次
こんな事態になるとは…ロックダウンまでの急展開
〈2月〉こんな事態はまだ予想していなかった
正直、コロナウイルスについてはまだ対岸の火事だった年明け。2月のハーフタームには学校から、中国、韓国、日本等への渡航をした場合、体調が悪くなった時には速やかに連絡を取る事というレターが配られたものの、まだこんな事になるなんて思ってもみませんでした。
〈3月初旬〜中旬〉三密を避け、在宅ワークの勧めが出始める
3月に入ると食事会もキャンセルする人が出てきたり、レストラン自体が閑散とし始めたりと、それぞれの受け止め方の差が出てくるように。様子が確実に変わり始めたのが3月中旬。政府から、パブやレストラン、ライブなど人々が密集する所を避け、在宅ワークの勧めがで始めた頃でした。いつもはお祭りのように賑わっている繁華街にも人が見られなくなりました。
〈3月中旬〉学校を休ませるかは、家庭の判断に委ねられた
学校休校の噂が後を絶たず、政府の発表を待たずして、自主的に子供に学校を休ませる親が出てきました。理由はそれぞれですが、子供やその親に喘息などの基礎疾患があったり、お年寄りと同居していたりという人たちの心配が一番多く聞かれました。そして、私が一番初めにコロナウイルスを身近に感じたのは、ある父兄からのメールでした。
「夫が先週、ブラジルの家族に会って戻ってきましたが、彼の妹が現在ブラジルでコロナウイルスにかかり、ICUにて治療中です。濃厚接触者の夫は、現在自己隔離中で少し倦怠感があります。子供たちには症状はありませんが、今日から学校を休ませます。」
という内容のものでした。
出席に厳しいイギリスの学校は「隔離」という枠で対応
イギリスの学校は出欠に厳しく、休む理由によっては罰金を課せられるところもあるのですが、この時期、息子たちが通う学校では、通常の病気などの欠席の他に「隔離」という枠が設けられ、公立学校は政府の指示に従うが、この状況下においてはそれぞれの家族の決定を尊重する。という事になりました。
日に日に出席生徒が減少
この頃、私たちも無理をせず、息子たちの体調が万全ではない日は「隔離」として二日学校を休ませました。二日目はPTAの仕事があり、お迎え時間に学校にいったのですが、日に日に出席生徒数が減っていて、各学年の3分の1くらいは欠席者がいるという状況を目の当たりにして、不安が一気に押し寄せました。学校を休ませる方も、出席させる方も何が正しいのかが分からず、お互いに罪悪感の様なものが漂っていました。一度学校を休ませると、戻すのにもかなりの決心が必要でした。当時は長期のロックダウンになった場合、いつもたくさんの友達に囲まれている子達は、隔離生活に耐えらえるのか、という不安もよぎり、できるだけ普通の生活を長く過ごさせるため、学校生活での注意事項を家族で話しあった上で、再び学校に行かせる事にしました。
そして、この3日後イギリスはロックダウンに入りました。
ロックダウン後、生活は一変
余裕をもって考えていた日々から、感染者や死者数が一気に伸び、ロックダウンになるまでは本当に一瞬の、約一週間の出来事でした。
外出自粛、反した場合は罰金も
政府からの主な要請は「STAY HOME」として三週間。
●外出は、食料の調達や健康の理由、在宅ワークができない場合の通勤以外、極力控える
●運動のために一日一回の外出はOK
●外出時はソーシャルディスタンス(2m)を保つ
●3人以上が公共の場で集まることを禁止
●同居している者以外は家族であっても会うのを控える
これらに反した場合は罰金等が課せられる事もあるというものでした。
ロックダウン前には、先立って70歳以上の国民に対し自己隔離要請が出たりと、急ではありつつ段階を経て様々な要請が出たという印象です。
友達には遠くから手を振るだけ
初めの頃は、運動のため公園に行くと誰かしら友達に会うので、2mの距離をとって立ち話という事もあったのですが、状況が深刻になるにつれてお互い遠くから手を振るという今のスタンダードが定着しました。ロンドナー達が大好きな公園や森での「ピクニック」。最近の天気の良さに我慢できずに、何組かが集っている様子が見受けられましたが、公園には警察が見回り、家に帰るように指導される場面もありました。
配達物にも慎重に対応
パブもレストランもカフェも、イギリス人が大好きな社交の場が全てクローズされました。 配達は荷物を玄関に置いてもらい、配達員たちが距離をとってから連絡が入るようになり、パッケージは受け取ったらすぐに捨て、手洗いをするというスタイルが定着しています。もっと徹底している人たちは、配達物を1−2日外に置いて菌が死んでから触ると言っています。
マスク文化のないイギリスにも…
欧米にはマスクをするカルチャーがないので、つけていると好奇の目にさらされていたのですが、そこから一転、バンダナなど何かしらのもので口を覆っている人を多く見るように。スーパーは一人が出たら一人が入るというように、一度に入場する人数をコントロールし、2m間隔で長い列に並んで買い物をするようになりました。
STAY HOMEを掲げて、終息を願う日々
毎日子供達の声で溢れていた外は恐いくらいとても静かです。こんなに天気のいい春の日には、すべての仕事をストップさせて、クローゼットから色とりどりのサンドレスを引っ張り出し、息子達は長ズボンを脱ぎ捨ててショーツに着替え、友達家族を誘い合ってはワインとチーズを持って集まっていたというのに。本当にわずかな間にいろんなことが変わってしまいました。
エリザベス女王の国民への強いメッセージ
けれども、エリザベス女王のスピーチにあったように、イギリスに暮らす私たちは、仲間を大切に励まし合い、ユーモアを忘れず、各々の強い意志と団結でこの困難な時を乗り越えようと一つになっています。世界中の人達とも同じ気持ちを共有し、大切な人々との平穏な暮らしを取り戻すために「 STAY HOME」を掲げ頑張っています。
世界が一つになって、共にこの戦いを乗り換えた先に、戦友のように互いを讃え合い、今よりも相手を思いやる、より良い世界が待っていることを願ってやみません。
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氏家祐子
【世界の休校対策、オンライン学習事情】スイスからのレポートはこちら
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