アイスクリームやケーキを買ったときについてくるドライアイス。とても冷たいので氷と同じもののように思えますが、氷ではありません。それではどんなものなのでしょうか。
そこでこの記事では、ドライアイスとはどんなものなのか、使い方と使用上の注意、保存法や捨て方・処分の仕方を解説します。また、入手先や自分で作る方法、ドライアイスを使った実験法もご紹介していきます。
目次
ドライアイスってどんなもの?
ドライアイスはとっても冷たくて、水に入れるともわもわとした白い煙が出るので、見ていておもしろいですよね。そもそもドライアイスはどんなものなのでしょうか。説明していきましょう。
ドライアイスとは?
ドライアイスとは、もともと二酸化炭素(炭酸ガス)です。二酸化炭素は気体ですが、これに130気圧程度の圧力をかけると液体になります。この液体を空気中に放つと気化熱が奪われることによって凝固点を下回り、粒状の個体へと変化します。これがドライアイスのもととなります。これを圧縮し、塊の状態にしたものが、ドライアイスです。
水に入れると煙が出るのはなぜ?
ドライアイスを水に入れると、もわもわとした白い煙が出ます。この白い煙の正体は、「水」です。空気中の水がドライアイスによって冷やされて、細かい水の粒になります。それが、もわもわとした白い煙のように見えるのです。
ドライアイスの温度
ドライアイスの温度はどのくらいなのでしょうか。
ドライアイスの温度は、なんとマイナス79℃!とっても冷たいです。このドライアイスは、溶けると気体に変わりますが、そのときに周りの熱を奪い、温度を下げる性質があるため、氷や保冷剤とくらべて、ものを長くしっかり冷やすことができます。
ドライアイスの化学式
ドライアイスは二酸化炭素の固体です。化学式だと、二酸化炭素を表す「CO2」となります。
ドライアイスの使い方と使用上の注意
ドライアイスは生活のなかでどのように使われているのでしょうか。また、扱うときにはどのような注意が必要なのか、知っておきましょう。
用途
ドライアイスは一般的に、食品を冷たいまま運ぶときに使われます。たとえば、食品の配送や飛行機の機内食の保冷などです。また、アイスクリームを買うとお店屋さんがドライアイスをつけてくれますね。そのほか、テレビや映画、舞台などの煙や霧、湯気などの演出にも使われています。
素手で触らない
ドライアイスはマイナス79℃ととても低温です。そのため、素手で触ると皮膚が凍傷を起こし、ただれたり、赤く腫れたりしてやけどをしたような状態になることがあります。
ドライアイスを使うときには必ず、厚手の軍手やトング、新聞紙などに包んで触るようにしてください。素手で触るのはNGです。
口に入れない
ドライアイスは食べ物ではありません。ですので口に入れてはいけません。ドライアイスを口に入れてしまうと、口の中が凍傷を起こし、粘膜がはがれることもあります。特に、小さなお子さんがいる家庭では、子どもが誤って口に入れないように注意してください。
密閉しない
ドライアイスをペットボトルや瓶などに入れて保存するのはやめましょう。ドライアイスは気化すると体積が約750倍にもなり、容器に入れて密閉すると、破裂する恐れがあるためです。ですので、保存する際には、通気性の良い容器を使うようにしてください。
換気する
ドライアイスは二酸化炭素でできているということを前述しました。そのため、気化したものももちろん二酸化炭素です。ドライアイスを密室で扱うと、二酸化炭素中毒を起こす可能性があります。扱うときには、必ず換気をし、風通しのよい場所で扱うようにしましょう。
ドライアイスの保存法
ドライアイスの保存法と保存可能時間をお伝えしましょう。
どうやって保存するの?
ドライアイスを保存するときには、新聞紙や布、発泡スチロール、クーラボックスなどに入れるようにしましょう。こうすることで冷気を逃さず、自らの冷気で保冷することができるので、昇華スピード(固体が気体になる速さ)を抑えることができます。
保存可能時間
ドライアイス1kgあたり、常温だと約2〜3時間持つとされています。さらに持たせるには、先ほどご紹介したように、布や新聞紙でドライアイスを包むとよいでしょう。そうすると、15時間程度保存することが可能になる場合もあるようです。
ドライアイスが余ったら…
ドライアイスが余ったときに、親子で楽しめる2つの活用法をご紹介します。どちらもケガのないよう、注意をしながら行ってください。
フルーツを入れてシュワシュワに
1つ目は、クーラーボックスにドライアイスを敷き詰めて、フルーツを入れるだけ。二酸化炭素がフルーツに吸収されて、2~3時間でしゅわしゅわした食感のフルーツができますよ。
(※ドライアイスに直接触れないように発泡スチロールの板などで仕切りを作り、大きなフルーツはカットするのがおすすめ。そしてフタは必ず少し開けておいてくださいね)
アイスクリームを作る
もう1つは、ドライアイスを使ってアイスクリームを作ります。ボウルに、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを入れてかき混ぜ、そこに、細かく砕いたドライアイスを少しずつ入れて混ぜていきます。しっかり混ぜるとアイスクリームの完成です!
ドライアイスは必ず細かく砕いてから使ってくださいね。
ドライアイスの捨て方・処分の仕方
ドライアイスを捨てるにはどうしたらよいのでしょうか。見ていきましょう。
どうやって捨てるの?
ドライアイスは放っておけば気体となってなくなります。ですので、捨てる場合はベランダや屋外に放置しておくとよいでしょう。このとき、必ず風通しの良い場所で行うようにしてください。
もう1つの捨て方は、容器にドライアイスと水を入れて昇華させることです。このときも、換気を十分にして行うようにしましょう。
注意点
以下の注意点に必ず留意して、ドライアイスを処分してください。
シンクに直接捨てない
ドライアイスを捨てるときには、排水溝やシンクに直接捨てるのはやめましょう。一般的には、少量のドライアイスであれば問題ないとはいわれていますが、マイナス79℃というかなりの低温のものが排水溝やシンクにそのまま放置されると、その場所が傷んでしまう可能性があります。
絶対にお湯をかけない
ドライアイスにお湯をかければ早く処理できそうですが、これはとても危険です。ドライアイスにお湯をかけると、急激な温度変化でドライアイスやお湯が周囲に飛び散ることがあります。とても危険ですので絶対にお湯をかけないようにしてください。
必ず換気を行う
また、換気は必ず行ってください。密閉した場所でドライアイスを処分すると、二酸化炭素中毒の危険性もあります。換気を徹底してドライアイスを処分しましょう。
ドライアイスはどうやって手に入れる?
ドライアイスはどこで手に入るのか、また運搬方法についても解説していきます。
購入方法、販売店
ドライアイスは氷屋さんやプロパンガス店、漁業組合、梱包資材屋さん、スーパーなどで購入できます。最近では、インターネット通販も可能です。しかし、近くに購入できるお店があればそこで買ったほうがよいでしょう。その理由は、運ぶ時に時間経ってしまうとドライアイスが目減りしてしまうからです。
運搬法
ドライアイスの販売店では、紙袋や発泡スチロールの容器に入れてくれます。車などで運ぶ場合は、窓を開けて換気をしながら運ぶようにしてください。そうしないとドライアイスから発する二酸化炭素で、呼吸が苦しくなる可能性があります。
ドライアイスの作り方
実はドライアイスを自分で作ることもできます。下に作り方をご紹介しますが、チャレンジする場合は、大人の立ち合いのもと、細心の注意を払いながら行ってください。
◆材料
- 二酸化炭素消火器
- 布の袋(麻袋や枕カバーなど、通気性のよいもの)
◆作り方
- 消火器の噴射口にカバーをかけます。
- 消化器の中身を袋の中に出すように噴射したらできあがり
ドライアイスは、よく見かけるブロック状のようにはならず、ペレット状(小さな粒状)になります。
注意点
できあがったドライアイスを扱うときには、直接手で触れると凍傷を起こす可能性があるので、厚手の軍手をしておくと安心です。また、二酸化炭素の消化器を使うので、窓を全開にし、換気を十分にしながら行いましょう。
ただし、消化器には勢いの強いものも多く、噴射量をコントロールできないものもあります。消化器の本来の用途とも違いますので、安易に手作りすることはおすすめしません。ドライアイスは無理に手作りをする必要はなく、上述した販売店で購入することもできますので、緊急時以外は購入したほうが安全ですね。
ドライアイスを使った実験法
ドライアイスを使った実験を3つご紹介します。自由研究にもおすすめですよ。実験をする際は、必ず大人が立ち会って、細心の注意を払いながら、安全に十分な配慮を行ったうえで実行してください。
プカプカ浮かぶメルヘンなシャボン玉
まずは、容器にドライアイスと水を入れて白い煙を出しましょう。その容器にシャボン玉を吹いて入れます。そうすると…シャボン玉が白い煙の上にとどまり、プカプカと浮かびますよ。その様子はなんだかメルヘンチック。ずっと見ていたくなります。
洗剤を使ったぶくぶくドライアイス
洗面器やボウルなどの容器に食器洗剤とドライアイスを入れます。その後、水を注ぐと、ぶくぶくとした泡が出てきます。入れ物からあふれるくらい泡が出てきますよ。また、この泡を割ると、白い煙が出てくるのもおもしろいです。
ドライアイスでシャーベット
お好みのジュースを用意してください。そのジュースに、ドライアイスをトングなどを使って入れて、くるくると混ぜるだけでシャーベットができます。これは、冷たいドライアイスによってジュースが凍るためです。ジュースがシャーベット状になったら、ドライアイスは取り除いてくださいね。
ドライアイスで実験してみよう!
水に入れると白い煙が出てきて、なんだか不思議なドライアイス。手に入ったら紹介した実験で楽しんでみてはいかがでしょうか。ただし実験するときには、ドライアイスを素手で触らないようにし、必ず換気するなど、十分に注意をして行ってくださいね。
参考資料:
ドライアイスメーカー会
ドライアイスで遊ぼう(富山県総合教育センター)
文・構成/HugKum編集部