思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、鈴木尚子さん(ライフオーガナイザー)にリビングの片付けについてを伺いました。
「リビングは家族が過ごす場所。家族がそれぞれの幸福感を高め共存していくには家事シェアをしましょう。その為には、家族が片付けられるものの位置の把握が必須になります」と鈴木さん。
リビングで学ぶルールと家族みんなができるしくみは、リビング以外の片付けにも応用できます。ぜひ、参考にしてみてください。
家族で、片付けられる家にするには?
「なぜ私ばかりが片付けなければいけないの?」そう嘆くママ(パパ)はかなり多いのではないかと推測できます。片付けのサポートでも、仕事に家事をこなしながら自分の時間も取れず疲弊しているママのお悩みとしてご相談されることが多い話題です。
私ばかりが片付けなければならない状態になってしまう理由
主な理由は3つあると考えています。
【1】ママがやるのが当たり前になっている
専業主婦のお母様の場合、私がやらなければという意識が強く、そもそも子供や夫に家事をしてもらうことはNGという気持ちが何処かにあるケースや、忙しく働くママであっても、散らかった状態が目につくと、自分が先に動いてしまうタイプ。など原因はさまざまです。
まずは、今後子供達が生きていくためにも、もしもに備えて夫が自分一人でも生活できるようになるためにも、家仕事は皆でやるものという意識を持つことです。
筆者は、そういった意識で家事を捉え直してもらうよう伝えてきました。すると、みんなでやれるようになったご家庭が増え、「突然のママの入院に家族があたふたしなくて済んだ!」などの感想を頂いております。
【2】片付いた状態がイメージできない「わからない」
筆者は、たくさんのお家に行って片付けサポートをしてきましたが、子供が片付けられない……と嘆かれるお家のほとんどは、片付いていない景色が当たり前になってしまっているのです。
床にもの落ちているのが当たり前、棚という棚の上に物が積み上げられている。収納の中も何がどこにあるかわからない状態。
これでは子供達も何をどのようにすることが正解なのかわかりません。
こんな状態でお困りの場合は、一度家の中をリセットしましょう!
「片付いているというのは、こういうこと!」というのを視覚的に見せてあげる必要があります。
全てのものに帰る場所がある状態にするのは大変だと思いますが、全く片付けなかったお子さんが、片付けの作業後に自ら片付けられるようになり、子供の性格まで変わったように感じるという感想は、しょっちゅう聞く感想でもあるのです。
また、実家がいつも散らかっていたので片付けられている状態というのが分からないので一緒に片付けてほしいというご相談も多いので、環境や日々の景色というのは当たり前になりやすいものだと言えるでしょう。
【3】具体的にやるべきことがわからない
「片付けなさい!!!」という言葉は、子供や夫には分かりにくいと言えます。
本来ならば「元の場所に戻して」その一言で済むのです。
つまり、子どもや夫はどこに片付けるのか、元の場所がそもそも分らないことが多いからです。
それゆえ、片付けは、まず「元の場所」を作ること。次に、そこへカンタンに誰でも片付けられるようにすることが大事なのです。
それには、3つのルールがあります。
片付けルール①「できる化」しよう
リビングの片付けですが、家族はどこに片付けるか分かっているのに片付けてくれない、というケースはありませんか?
それは、つまり、片付けるのが億劫だ、面倒くさいという家族からの合図なのです。
片付けが億劫な人とは
例えば、我が家の爪切りや体温計がそうでした。
初めは、リビングから20歩ぐらい歩いてパントリーの中に入り、その中の引き出しの缶の中にを入れていました。
すると……、爪切りや体温計を使った後、出しっぱなしにされることが多い!
そのうち、無くなってしまうということがしょっちゅうあったのです。
これはアクションが多い、そして使う場所の近くにないことが問題でできないということが分かりました。
誰でも、片付けられる方法へ
では、どうしたらできるのでしょうか?
この場合は、使う場所の近くに収納し、片付けのアクションをなるべく少なくすれば解決できます。
爪切りや体温計は、テレビを見ながら行うことが多いので、TV周りに片付ける場所を変えました。
すると、戻る比率が格段に上がり、紛失することがなくなりました!
ポイッと入れるだけ!これが、「できる化」。
億劫なのは、怠惰というより、アクションが多すぎたから。
アクションの少ない動線が片付けでは重要なのです。
片付けルール②「見える化」しよう
リビングの片付けから離れますが、昨今ではリモートワークが増え、キッチンや冷蔵庫を夫が使うことが増えたという話を聴きます。
では、こちらの冷蔵庫の写真をご覧ください。
このような冷蔵庫は美しくて素敵なのですが、夫や子供は見えないから分からないのです。
それゆえ、
「おい、あれはどこだ〜?」
と、いちいち聞かれてしまうということが現象が起こります。
では、こちらの冷蔵庫はいかがでしょうか?
このようにケースを透明にし、「見える化」すると「分かる!」=「できる!」につながっていくのです。
これだけでは難しい場合、言葉での説明が必要なタイプだったり、書いてあると分かるということもあります。
例えば、
「ここにキッチンストックが入っています」
「ここはミニカーを入れる場所です」
など。
夫や子供を連れて、一度家の中で‟収納ツアー”をしたり、‟マップ”を作成して見せたりすることも有効でしょう。
片付けルール③「分かる化」しよう
「収納ツアーやマップ? 面倒臭い!」
と思われるかもしれませんよね。
実はコレ、家事の基本なのです。
「どこに何があるか、が分かること」
ここからスタートすると、家族の動きが変わるので【投資】と思ってやってみましょう!
どこに何があるかが浸透していれば、中身が見えなくとも問題ありません。
そう、「分かっている」ということが何よりも大切なのです。
うまくいかない、みんなが片付けてくれないと感じるならば、見えないから?分からないから?などと考えて見直してみましょう。
このように、何故できないのか?という理由を考えて見ることで、片付けの問題は解決することが多いのです。そして、一人で悩まずに、家族みんなで話し合う時間を持ってみましょう!
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記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている