保存前に!ささみの下処理方法&加熱方法
ヘルシーなのに必須アミノ酸が豊富で、良質たんぱく質が嬉しい鶏ささみ。実は、むね肉の一部だってご存じですか? むね肉ならではの柔らかい肉質は、加熱時間で美味しさが決まります。保存時におけるポイントがいくつかあるので、下処理からご紹介していきますね。
下処理:筋取り方法
ささみは、硬い筋がついてるため先に取り除きましょう。
筋とりの仕方は、まず筋の両側に浅く切り込みを入れます。次に、筋が下になるようにまな板へ置きます。片方の手で筋の先端を引っ張りながら、もう片方は身から筋を外すように包丁をスライドさせて少しずつ筋を取っていきます。
筋とりは手間ですが、加熱した時に身が縮む要因になるのと、口に残るため取り除いたほうが正解。筋なしのささみも売っているので、面倒な方はそちらを選ぶのがおすすめです。
筋の両側に包丁で切り込みを入れる。身が柔らかいため力を入れず浅めに切ること。
筋を引っ張りながら、身から外していきましょう。
電子レンジで加熱
電子レンジの加熱は、特にささみの身がパサパサになりがち。ここで大事なのは、「保湿」です。下味の塩とこしょうに「プラス砂糖」を使うことで保湿効果を高めます。
最初に、レンジによる加熱で身が破裂しないようにフォークで数か所ほど刺しておきましょう(味が染みやすくなる効果も)。電子レンジでの加熱時間は、600Wで2分ほど。通常より、短めに設定して余熱で中まで火を通すと、しっとりとしたささみならではの肉質が楽しめます。
フォークで数か所、穴をあけて加熱による破裂予防を。
塩とこしょう各少々をふり、砂糖小さじ1/2程度を全体にまぶしてしばらくおく。
酒大さじ1程度をふりかけたら、ラップをふわりとかけて電子レンジの600Wで2分ほど加熱。
加熱後に、10分ほどおいて余熱で中まで火を通します。
手で触れる程度に粗熱がとれたら、裂いてほぐしていきましょう。
茹でて加熱
もちろん、茹でて加熱することもできます。ただ、加熱時間の調整が難しく、すぐに硬くなってしまうのがデメリット。そこで、ささみで鶏ハムを作ってみませんか? ささみは、むね肉の一部なので作り方は通常の鶏ハムと同じです。
電子レンジ加熱と同様に下味をつけ(酒は不要)、1本ずつラップで包んだら、その上からアルミ箔でさらに包みます。鶏ささみは、小さいので2本を重ねてアルミ箔で包めば大丈夫です。
沸騰した湯に1分ほどつけて火を消し、30分ほど余熱で中まで火を通します。
余熱で火を中まで入れますが、浮いてきてしまうため皿などを重石に使うといいです。
30分後に裂いてみると中まで火が通っています。
これで、しっとり&ジューシーなささみの鶏ハムができあがり。形状からいえば、鶏ハムというよりは鶏ソーセージかも(笑)。お子さんのおやつにも最適です♪
生のささみの保存方法
保存後の料理が決まっていない場合は、生のまま保存しておきましょう。
生のささみを保存する時は、「ドリップ除去」と「臭み取り」が決め手。買ったパックに入れたままでは菌が繁殖しやすくなるため、少し手間をかけましょう。
冷蔵保存
基本的に鶏肉は、水洗いはNGです。理由は、カンピロバクターという食中毒菌が他に移りやすく二次汚染の可能性があるためです。そのため、臭みやドリップを取るには、「お酒」が役立ちます。
両面に酒をふりかけて余分な水分をキッチンペーパーで拭いたら、1枚ずつラップで包み保存容器へ。冷蔵庫で保存しましょう。
水けをしっかり拭いたら1枚ずつラップに包んでから保存容器に入れます。
保存容器へ入れたら、冷蔵庫で保存しましょう。
冷凍保存
冷凍保存の場合は、氷水で氷の膜を作るという方法も。氷水をはったボウルの中に、ささみをいれてしばらく置きます。水けは完全に拭き取らずに、ラップで1枚ずつ包んだら冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
氷水に浸すことで、冷凍後に肉の表面に氷の膜ができて保存性がアップします。
1本ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷蔵庫へ保存しましょう。
加熱済みささみの保存方法
加熱済みのささみは、小分けで保存したほうが扱いやすいです。まずは、冷蔵からみていきましょう。
冷蔵保存
前出の鶏ハムバージョンは、ラップに包まれている状態で加熱しているため、そのまま。保存容器に入れて冷蔵庫で保存するだけです。
冷凍保存
加熱後に細かく身をほぐしたささみは、ラップに小分けしましょう。ラップで包んだら冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。
冷凍したささみの解凍方法
せっかく、正しい保存方法で冷凍したのに解凍時に失敗したくないものです。解凍時のコツは、生と加熱後に冷凍した場合と異なるため、要チェックです!
生のささみの解凍方法
生で冷凍した場合は、冷蔵庫へ移して自然解凍しましょう。使いたい日の前日に冷蔵庫に移しておくといいです。
もっと早く解凍したい場合は、流水解凍という方法も。ボウルに冷凍したささみを保存袋ごと入れて水道水を流しながら解凍していきます。半解凍くらいのほうがドリップが出にくく、加熱時にも硬くなりにくいです。
加熱済みささみの解凍方法
加熱してから冷凍したささみは電子レンジでの解凍か、もしくは凍ったまま調理に使うこともできます。
電子レンジ解凍の場合は、600Wで30~40秒ほど加熱で十分。サラダのトッピングなどに加えるとボリュームが増して便利です。
ささみの保存期間
最後にささみの保存期間をまとめましたので、それぞれ確認してください。
生のささみを冷蔵した場合の保存期間
冷蔵庫で2~3日、保存可能です。
生のささみを冷凍した場合の保存期間
冷凍庫で2~3週間、保存可能です。
加熱したささみを冷蔵した場合の保存期間
冷蔵庫で3~4日、保存可能です。
加熱したささみを冷凍した場合の保存期間
冷凍庫で2~3週間、保存可能です。
ささみは、鶏肉の部位の中でも手ごろな値段で買えます。正しい保存法で賢く活用して、家計をサポートしていきましょう。
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)
参考資料:大量調理施設衛生衛生管理マニュアル
保存したささみを活用!HugKumおすすめレシピ
【1】きゅうりとセロリ、鶏ささみの和えもの
片栗粉をまぶして茹でたささみはたれにしっかり絡んで、パサつかず、鶏のうま味を存分に味わえます。きゅうりとセロリの千切りもしゃきしゃきと楽しい食感です。
◆材料
(3~4人分)
鶏ささみ 4本
きゅうり 2本
セロリ 7cm
片栗粉 大さじ1/2
し ょうが汁、ごま油 各大さじ1
塩 小さじ2/3
◆作り方
【1】きゅうりとセロリは千切りにする。鶏ささみは筋を取り、塩少々(分量外)を振りかけて10分ほどおき、片栗粉をまぶす。鍋で湯(分量外)を沸かし、沸騰したら弱火にして鶏ささみをゆで、ザルにあげる。粗熱が取れたらほぐす。
【2】ボウルに【1】の野菜、鶏ささみを入れてしょうが汁、ごま油を加えてさっと混ぜ、最後に塩を加えて全体を和える。
◆ポイント
鶏ささみは、加熱前に片栗粉をまぶすことで、つるんとした食べやすい食感になります。
教えてくれたのは
瀬戸口しおりさん
料理家。学生時代、東京・吉祥寺にあった『諸国空想料理店KuuKuu』のスタッフとして働き始め、その後、料理家・高山なおみ氏のアシスタントを経て独立。昔ながらの家庭料理や人気のエスニック料理をよりおいしく、おしゃれにレベルアップさせる独自のセンスに定評がある。
『めばえ』2017年9月号
【2】蒸し鶏のオイスターソースうどん
ささみの下処理はレンジでOKなのでとっても簡単! 味の染みたささみはうどんに食べ応えをプラスしてくれます。ちょっぴり中華風の味つけが新鮮!
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
冷凍うどん 3玉
鶏ささみ 3本
【A】
しょうゆ 大さじ1
酒 大さじ1
ママレードジャム 大さじ1
しょうが汁 小さじ1
玉ねぎ 1/2個
黄パプリカ 1/2個
オクラ 6本
オリーブ油 大さじ1
塩 少々
【B】
オイスターソース 小さじ2
しょうゆ 小さじ1
◆作り方
【1】耐熱容器に【A】を入れて混ぜ、ささみを入れてラップをかけ、電子レンジ(600Wの場合)で2分加熱。ささみを裏返して1分加熱し、そのまま冷まし、ほぐす。汁はとっておく。
【2】オクラはラップに包み、電子レンジで50秒加熱して、小口切りにする。
【3】玉ねぎとパプリカは1cm角に切り、オリーブ油を熱したフライパンで炒め、塩をふる。
【4】冷凍うどんをゆでて水で洗う。
【5】【B】と【1】の残り汁を合わせ、【4】を加えて混ぜ、器に盛る。【1】の蒸し鶏、【2】、【3】をのせる。
教えてくれたのは
祐成二葉さん
祐成陽子クッキングアートセミナーのメイン講師。男の子のママで、子育ての日常をつづったブログも人気。
『ベビーブック』2011年8月号
【3】ひき肉とかぼちゃのトースターコロッケ
サラダ油を少しかけてトースターで焼くので、油で揚げるよりもヘルシーです。サクサクとして食べやすいですよ。
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
鶏ひき肉 200g
かぼちゃ 180g
サラダ油 適量
塩・こしょう 各少々
パン粉 1/2カップ
小麦粉 適量
溶き卵 1/2個分
中濃ソース 適量
◆作り方
【1】フライパンにサラダ油を熱し、ひき肉を炒めて塩、こしょうをふる。かぼちゃは皮と種を除いて一口大に切り、ゆでて、つぶす。ひき肉とかぼちゃをあわせて、小判形に丸める。
【2】パン粉はトースターで3分ほど焼く。
【3】【1】に小麦粉、溶き卵、【2】の順に衣をつけて、バットに並べ、サラダ油少々をかける。オーブントースターで3~5分焼く。
【4】器に盛って中濃ソースをかける。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
「ル・コルドン・ブルー」やイタリアにて料理を学び、 OLから料理研究家に転身。現在、「料理教室Assiette de KINU」を主宰。男の子のママでもある。
『ベビーブック』2013年5月号
【4】鶏ささみのホイル焼き
野菜やきのこも一緒に包んでトースターに入れるだけ。シンプルな素材、調理法にチーズとマヨネーズのちょっと濃厚な味わいがよく合います。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
鶏ささみ 6本
【A】
塩 少々
マヨネーズ 大さじ2
キャベツ 3枚
しめじ 1/2パック
ミニトマト 6~9個
ピザ用チーズ 60g
◆作り方
【1】ささみは筋を除き、一口大に切り、【A】をもみ込む。
【2】キャベツは小さめのざく切りにし、しめじは石突きを除いて小房に分け、ミニトマトはヘタを除く。
【3】アルミホイルにキャベツを敷いて【1】、しめじ、ミニトマト、ピザ用チーズをのせて包み、トースターで8~10分焼く。
*大人はお好みで、しょうゆや七味をふっても
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネー ター、飾り巻き寿司インストラクター1級。男の子のママ。育児経験を生かした 簡単で栄養バランスのとれた料 理やかわいいレシピが人気。
『ベビーブック』2015年8月号
【5】野菜たっぷりピカタ
ささみにじゃがいもとにんじんのせん切りを衣にしてカリッと。ひとくちでいろいろな食感を楽しめ、おやつにもおかずにもなる手軽な一品です。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
鶏ささみ肉 5本(280g)
塩・こしょう 各少々
じゃがいも 1個(120g)
にんじん 1/3本(40g)
【A】
粉チーズ 大さじ3
塩 小さじ1/4
こしょう 少々
小麦粉 適量
溶き卵 1個
【B】
バター 20g
サラダ油 大さじ3
◆作り方
【1】ささみは1本を4等分のそぎ切りにし、塩、こしょうをふる。
【2】じゃがいもとにんじんは皮をむき、スライサーで細切りにして【A】を混ぜ合わせる。
【3】【1】に小麦粉をふり、溶き卵をからめ、【2】を表面に等分に貼りつけて手でギュッと押さえる。
【4】フライパンに【B】を中火で熱し、【3】を並べて表面がパリッとするまで焼く(2回くらいに分けると作りやすい)。
*お好みでサラダ菜を添える。
教えてくれたのは
中村陽子さん
料理研究家のアシスタントを経て独立。新著は『とっておきの日につくっ てあげたいキャラケーキ』(成美堂出版)。二児のママ。
『ベビーブック』2015年11月号
【6】蒸し鶏の五目冷やしラーメン
お手軽で簡単! 冷やしだけど酸っぱくないつゆで子どもも食べやすいラーメンです。色とりどりで栄養もたっぷりの五目が食欲をそそります。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
中華麺(冷やしラーメン用・つゆ付き) 3玉
鶏ささみ 3本
【A】
塩 少々
酒 大さじ1
かにかまぼこ 6本
きゅうり 1本
にんじん 1/3本
うずらの卵(水煮) 7~8個
◆作り方
【1】ささみは耐熱皿に並べ、【A】をまぶし てふんわりとラップをかけ、電子レン ジで約4分、途中で一度ひっくり返して中まで火を通し、そのまま冷ます。 粗熱が取れたら手で裂くか、細く切る。
【2】きゅうりは3cm長さのせん切りに し、かにかまは長さを半分にし、手で 裂く。うずらの卵は半分に切る。にんじんは4mm幅の輪切りにする。
【3】沸騰した湯でにんじんをゆでて取り 出す。続いて半分に切った中華麺をゆ で、冷水にさらした後水けをきる。
【4】器に【3】を盛り、【1】、【2】をのせ、添付のつゆをかける。
教えてくれたのは
阪下千恵さん
料理研究家、栄養士。家族のために作り続けてきたおいしくて、栄養バラ ンスのいいレシピが人 気。二人の女の子のママ。
『ベビーブック』2016年8月号
【7】蒸し鶏と彩り野菜の温サラダ
温野菜のサラダも、ささみのお肉を加えればメインの1品になって、栄養のバランスも◎。
◆材料
(2~3人分)
鶏のささみ 2本(約100g)
塩 小さじ1/4
酒 大さじ1(水でもOK)
彩り蒸し野菜 半分
【A】
たらこ(薄皮を取る) 大さじ2
マヨネーズ 大さじ1
牛乳 小さじ1
◆作り方
【1】鶏のささみは筋を取り、耐熱皿に並べて塩を振り、酒をかける。
【2】【1】にふんわりとラップをかけて電子レンジで2分加熱し、粗熱が取れるまで置いてから手で裂く。
【3】器に彩り蒸し野菜と【2】を並べ、よく混ぜ合わせた【A】を添える。
教えてくれたのは
島本美由紀さん
料理研究家。旅先で得たさまざまな感覚を活かした、手軽に作れるおいしいレシピが人気。家事全般のラクを追求する「ラク家事アドバイザー」としても活動し、テレビや雑誌、講演会など幅広く活躍中。
『めばえ』2019年6月号
【8】体にやさしいごろごろミルクスープ
さらさらとしたミルクスープにゴロゴロとした具材がたっぷり! お肉はささみを使えば、しっかりとしたボリュームですが、意外とヘルシーなんですよ!
◆材料
(4人分)
ささみ 3本
玉ねぎ 1/2個
にんじん 40g
じゃがいも 2個
ゆで大豆 60g
ブロッコリー 1/2株
片栗粉、オリーブ油 各大さじ1
昆布 5cm
水、牛乳 各500ml
粉チーズ 大さじ2
塩 小さじ1
◆作り方
【1】筋を取ったささみ、玉ねぎ、にんじんは1.5cm角、じゃがいもは3cm角に切る。ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。ささみは片栗粉をまぶす。
【2】鍋にオリーブ油を入れて熱し、【1】を中火で炒める。
【3】【2】に昆布と水を入れて火にかけ、アクを取りながら10分ほど加熱する。
【4】【3】の昆布を取り出し、ゆで大豆を加え、材料に火が通るまで加熱する。
【5】【4】に牛乳、粉チーズを加えてさらに熱し、塩で味を調える。
教えてくれたのは
渥美まゆ美さん
あつみまゆみ/管理栄養士。フードコーディネーター。健康運動指導士。保育園勤務で子どもの料理提供に関わる。料理講師やセミナー講師などフリーランスで活動後、「株式会社Smile meal」を設立。食育など食と健康に関わる活動を行う。2児の母。
『めばえ』2018年1月号
【9】鶏ささみと豆腐のナゲット
豆腐とささみで高タンパク質食の完成! ブロッコリーを添えて栄養の補足に。タネの成形は、粘土遊びみたいに子どもと一緒にやっても楽しいですよ!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
鶏ささみ肉 300g
木綿豆腐 100g
【A】
粉チーズ 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1
塩 小さじ1/3
オリーブ油 大さじ1
トマトケチャップ 大さじ4
◆作り方
【1】豆腐は電子レンジ(500W)で2分加熱して、水けをきる。
【2】ささみは筋を除いてみじん切りにし、【1】、【A】と合わせて、よく練り混ぜる。
【3】【2】を小判形に成形する。
【4】フライパンにオリーブ油を熱して【3】の両面を焼き、器に盛ってケチャップをかける。
*お好みで、ゆでたブロッコリーやいんげんを添えても。
教えてくれたのは
尾田衣子さん
料理研究家。「料理教室Assiette de KINU」を主宰。一児の母。
『めばえ』2015年8月号
構成/HugKum編集部