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大泉門について知ろう! 赤ちゃんの頭のやわらかい部分は何なのか?
赤ちゃんの頭頂部には「大泉門(だいせんもん)」と呼ばれる、やわらかい部分があります。大専門とは何か、どのような役割があるのか、見ていきましょう。
大泉門とは
大泉門とは何なのか。また同じような「小泉門」についても解説します。
大泉門とは、頭蓋骨のひし形のすき間
頭の骨(頭蓋骨)はいくつかの骨が組み合わさっており、骨と骨の間には継ぎ目部分があります。生まれたばかりの赤ちゃんは、この継ぎ目部分が完全に閉じておらず、ひし形状のすき間が空いています。
一番大きなすき間が、おでこの上、前頭部の中央にある「大泉門」です。ひし形のすき間で、触るとぷよぷよとやわらかくなっています。大泉門は、成長するに従って、閉じていきます。
大泉門がある理由は2つ。1つは、出産時に狭い産道を通るためです。産道を通るときに頭が圧迫されても、すき間がそれを吸収し、頭を小さくして、狭い産道を通ることができます。もう1つは、脳の発達・成長を妨げないためのゆとりとしての役割です。
小泉門とは、頭蓋骨の三角形のすき間
大泉門のほかにも、頭蓋骨にはすき間があります。後頭部にあるのが「小泉門」です。大泉門と同様に、生まれてまもないころは、三角形のすき間が空いています。生後3か月くらいで閉じるのが一般的です。
小泉門も、狭い産道を通るときに、頭を小さくして通るためにあると考えられています。
大泉門の大きさの目安
大泉門には個人差があります。おおまかな目安を紹介します。
大きさは3cm程度
大泉門の大きさは、生まれたばかりだと2.5~3cm、10か月ごろになると 1.5~2cmとなり、成長するにつれて小さくなっていきます。
大きさの測り方
大泉門の大きさは、ノギスで測ります。赤ちゃんの頭を触診し、大泉門の形状を確認します。その後、大泉門のひし形の対辺の距離をノギスで測定します。
大泉門はいつ閉じる?閉鎖時期の目安と対策
大泉門は成長するに従って、閉じていきます。目安を紹介します。
だいたい1歳半ごろ
大泉門は、生後10か月ころから閉じ始めます。成長に従って、徐々に閉じていき、完全に閉じるのは、生後1歳半くらいが多いようです。
平均より早い場合
早い場合は、3か月くらいから閉じ始めます。大泉門が早く閉じた場合は、非常にまれなことですが、頭が小さい状態となる「小頭症」や、頭蓋骨が大きくなれない状態の「狭頭症」を疑うこともあります。
平均より遅い場合
遅い場合は、2歳ぐらいに閉じます。赤ちゃんの成長は個人差が大きいため、遅くても2歳までに大泉門が閉じれば、病気を疑う必要はありません。
これって異常? 大泉門の注意点と対処法
大泉門を触ったり、見たりすると、「これってほかの子と違う?」「病気なのでは?」と心配になることがあるかもしれません。ここでは、大泉門によくある状態の注意点、対処法を解説します。
へこみや陥没
大泉門がへこんでいたり、陥没しているようなら、脱水症状を起こしているかもしれません。大泉門は体の水分が失われ、脱水状態になるとへこみます。ただし、脱水症状が改善されれば、大泉門はもとの状態にもどります。
腫れや膨隆
腫れや膨隆(ふくらんで高くなっている状態)している場合は、病気の可能性も考えられます。
水頭症
大泉門が膨隆していて、赤ちゃんの頭が異常に大きい場合、水頭症が疑われます。水頭症は、脳の真ん中にある「脳室」に髄液が過剰に溜まった状態。脳を圧迫し、さまざまな症状を起こします。
髄膜炎
大泉門が膨隆していて、嘔吐や発熱を伴う場合は、髄膜炎の可能性があります。髄膜炎は、頭の中に細菌やウイルスが侵入して発生し、脳圧が上昇するため、大泉門が外に張り出してしまいます。
突発性発疹
突発性発疹の合併症により、大泉門が膨隆することもあります。
脈打つ
大泉門は、心臓の鼓動と一致するように脈打つことがあります。これは、よく見られる状態なので、あまり心配する必要はありません。
大きい
大泉門は、生まれたときには3cmくらいの大きさです。これより多少大きくても、ほかに異常がなければ、心配する必要はありません。
小さい
大泉門が小さい場合も大きい場合と同様、ほかに異常がなければ、心配ありません。
閉じない
2歳を過ぎても大泉門が閉じない場合、次のような病気が考えられます。
・水頭症
・ダウン症候群
・くる病(骨軟化症)
・先天性奇形症候群
・クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
2歳を過ぎても大泉門が閉じず、頭部や顔に異常を感じたり、成長や発育に遅れを感じるようであれば、専門医やかかりつけの医師に早急に相談してください。
大泉門が開いている赤ちゃんへの接し方
大泉門はやわらかく、とてもデリケートな部分です。日頃、どのように接するとよいか、注意すべきポイントを紹介します。
大泉門を触らない
大泉門はとてもやわらかい部分ですが、脳は筋膜で守られていますので、あまり神経質になることはありません。ですが、強く押してしまうと、脳を直接押してしまう可能性があります。必要以上に触らないようにしましょう。
ぶつけてしまったら…
ママやパパのあごが大泉門に当たったり、強く大泉門をぶつけてしまうことがあるかもしれません。そのような場合、赤ちゃんがすぐに泣くようならあまり問題はありません。
ただし、泣かずにぐったりしている、気を失った、大泉門部分が内出血を起こしているなどの症状があれば、ただちに病院を受診してください。
頭を洗うときはやさしく
沐浴やお風呂で頭を洗うときには、手のひらやガーゼなどでやさしく洗ってあげましょう。赤ちゃんの頭は、ゴシゴシと強く洗う必要はありません。
やわらかいブラシを使う
髪の毛をとかすときには、赤ちゃん用やわらかいブラシを使い、軽いブラッシングを心がけましょう。また、大泉門の部分は避けてもよいでしょう。
大泉門は成長とともに閉じる
赤ちゃんが生まれるときに大事な役割を果たす「大泉門」。成長とともに自然に閉じていくので、あまり神経質になる必要はありません。もし、大泉門や頭部で気になることがあれば医師に相談してください。
記事監修
河井恵美
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部