チアシードの効果
「チア(chia)」と呼ばれるシソ科の植物からとられた種(シード)が、チアシードです。無味無臭で、特徴的なとろみと食感がありますが、どんな効果を期待できるのでしょうか。
驚愕的な栄養素
健康、美容、ダイエットに効果があることで話題のチアシードは、栄養素が豊富なスーパーフードです。
注目は、植物としては異例ともいえる、タンパク質の含有量。なんと全体の20%がタンパク質です。そのタンパク質にバランスよく含まれている「必須アミノ酸」は、人間の体内では作ることができません。摂取することで、筋肉や肌、ホルモンや免疫物質を作る役目を果たします。
その他、必須脂肪酸の一つであるα‐リノレン酸の含有や、豊富なミネラルとビタミンから、継続的に食べることで必要な栄養素を補うことができます。
食物繊維とダイエット効果
チアシードの食物繊維については、特筆の価値があります。水につけるとジェル状になる成分は、こんにゃくにも含まれるグルコマンナン。タピオカのようなプルプル食感が特徴です。これは、大さじ1杯のチアシードで、レタス約1個分の食物繊維が摂取できるのだとか。
腸に入れば乳酸菌やビフィズス菌などのエサとなり、腸内環境が整います。さらに、腹持ちがよいことから満腹感が得られるので、食事の20〜30分前に食べると、食べ過ぎ予防に効果的です。
毒性の心配は低い
植物の種には「発芽毒」と呼ばれる、成長に関わる物質「アブシジン酸」が含まれるものです。身近な例では、玄米やアーモンドにも含まれている物質です。
一部の情報では、チアシードを12時間以上水に漬け、毒を抜く必要があるといわれていましたが、これは間違った情報だったことがわかってきました。実際には、一日あたりの目安量10gの、130倍以上を摂取した場合に、影響が懸念される程度の微量です。また、浸水してもアブシジン量を減らす効果は期待できないそうです。ごく一般的な食事をしている分には、問題ありませんので、ご安心ください。
参考:
内閣府 食品安全委員会|食品安全総合情報システム
一般社団法人日本植物生理学会|種子類の浸水と毒性の減少について (2)
一日の量
チアシードは栄養の宝庫。とはいえ食べすぎると、カロリーオーバーの他、食物繊維の摂り過ぎから、腸の不調をまねく原因にもなりかねません。一日の適量を考えます。
一日に大さじ1杯が目安
チアシードの一日の摂取目安は10gです。この量でカロリーは50kcalもあるため、大量に食べるとカロリーオーバーとなります。10gとは、乾燥した状態で大さじに軽く1杯です。
オートミールミルクとチアシードの朝食
もどしたチアシードとオートミールを組み合わせると、最強の栄養バランスが叶います。電子レンジを使うとすぐに出来上がり、ほんのり温かい仕上がりに。
◆材料
(1人分)
チアシード 小さじ1
水 40cc
オートミール 30g(大さじ5)
牛乳、または植物性ミルク 100ml
はちみつ 大さじ1
トッピング(フルーツ、ナッツ類、ドライフルーツなど)
◆作り方
【1】容器にチアシードと水を入れ、蓋をして一晩冷蔵庫で寝かせます。
もしくは、電子レンジ600wで40秒程度温めてから、全体をよく混ぜます。しばらくすると、ムラなく膨らみます。
【2】容器にオートミール、ミルクを入れ、蓋をして一晩冷蔵庫で寝かせます。
または、深めの耐熱容器に入れて、電子レンジ600wで1分程温めます。
【3】【2】に、はちみつを入れ、【1】のチアシードを混ぜます。トッピングをかけてお召し上がりください。
水でもどす方法
販売されているチアシードは、ゴマのようなサラサラとした種です。これをプルプルに変化させる方法をご紹介します。
水分を加える
乾燥したチアシードに、10倍程度の水を加えると、30分程度で膨らみ始めます。急ぐときなら、水を加えて電子レンジで40秒程度加熱すると、素早くもどすことができます。水だけでなく、ジュースや牛乳、ヨーグルトなどでも同様に膨らみます。
ただし、もどしたチアシードは、衛生面から冷蔵庫に入れて2〜3日以内に食べきることが必要です。
高温調理はNG
チアシードに含まれるα-リノレン酸は熱に弱いため、天ぷらのように200℃近い高温で揚げる調理は控えてください。
電子レンジでの温めや、100℃程度なら影響は少なくすみます。炒めものに使う場合は、最後の仕上げに加える程度にします。
ヨーグルトでもどす方法
ヨーグルトでもどすと、水分がチアシードに吸収され、ねっとりと硬くなります。甘酒を加えてさらりとさせると、ドリンクとしても楽しめます。
◆材料
(3人分)
プレーンヨーグルト 1パック(400ml)
チアシード 大さじ2
甘酒(ストレートタイプ) 400ml
◆作り方
【1】ヨーグルトのパックを開封します。
【2】乾燥したチアシードを入れて、よく混ぜてください。
【3】30分程度から膨らみ始め、この時は殻のプチプチが強い食感です。時間が経つとさらに膨らみ、プルプル感が強くなります。殻がふやけるためプチプチ感は弱くなりますから、お好みを探してみてください。
【4】同量の甘酒とよく混ぜてください。
すり潰して使う方法
乾燥チアシードをそのまま食べる際は、ひと手間かけてすり潰すと効率的です。おひたしにふりかけたり、他の食材と混ぜたりして、使います。
そのまま食べると
人間は種を消化できませんから、殻のまま飲み込んでしまうと、栄養素を吸収できません。そのため、すり潰さずにそのまま食べる際は、できるだけ噛んでから飲み込み、食感をしっかりと味わうように心がけてください。
また、胃の中で水分を吸収して膨らむため、水分を多めにとるように気をつけます。
酸化
チアシードに含まれる油は、酸化しやすい特徴を持ちます。外皮を外すと、空気に触れ酸化しますから、作り置きは控え、その都度すり潰して使います。
ドレッシング
ドレッシングに混ぜると、プルプル感も生まれ、口の中でプチプチと心地よく弾けます。
◆材料
チアシード 大さじ1
お好きなドレッシング 適量
◆作り方
【1】チアシードをすり鉢などで、すり潰してください。
【2】お好きなドレッシングに混ぜ、サラダにかけてお召し上がりください。
新しくて最強の栄養食材
ヴィーガンを実践されている方には、貴重なタンパク源として活用されているチアシード。味も匂いもなく、取り扱いが簡単です。独特なプルプル食感とプチプチ感を楽しみつつ、栄養バランスが整います。あまり馴染みがない食材ですが、新しくて最強の栄養食材として、取り入れてみてはいかがでしょうか。