春先になると山で収穫することができますが、お店の店頭に並ぶタラの芽も、よく目にします。出会った際は、芽吹きの生命力を味わってみませんか。どんな風に扱うとおいしく食べられるのか、一緒にチェックしていきます。
タラの芽について
タラの芽とはどんな食材なのでしょうか。詳しくみていきます。
タラの芽は天ぷらで
タラの芽をおいしく食べるなら、真っ先に挙げられるのが天ぷら。高温の油によって閉じ込められた春の味覚には、ハッとするような味わいがあります。新鮮さや食感を保ったまま、カラリと揚げて味わってください。
・揚げ方
天ぷら粉(大さじ2)と水(大さじ1と1/2)を混ぜてタラの芽(6本程度)にまぶし、180℃の油で揚げます。時間は1分30秒ほど。
収穫時期
天然物を収穫できる時期は、平野部では4月初旬から。山間部の気温が低い地域なら、6月くらいまで採ることができます。
スーパーに並ぶのはほとんどが栽培ものです。大きさが均一なので扱いが楽ですよ。促成栽培されるため、12月頃から出回ることもあります。
収穫するのはタラノキからです。大きなトゲがありますから、初めての方でも見分けがつきやすい特徴を持っています。
枝の先端に新芽が芽吹き、葉になる前が食べ頃。山間部で日当たりのよい場所を探すと見つかりますよ。繁殖力が強いことから、周辺を探すと他にも生えていることが多いので、探してみてください。くれぐれも、トゲにはご注意を。
栽培
タラの芽は、一本の木から1〜2個しか採れない貴重なものですが、山菜の王様と呼ばれるほどの人気を誇るため、栽培も行われています。
ただし、収穫した枝は育たないため処分しなければいけません。来年のために数本の芽を残し、大切に育てます。
栄養
他の山菜に比べてたんぱく質が豊富です。葉酸も多いので、妊娠初期の妊婦さんにおすすめの食材! 苦味成分サポニンの一種エラトサイドは、アルコールの吸収抑制や肝臓保護作用が期待できることから、お酒のお供にぴったりなんです。
春にピクニックを兼ねて山菜採りに出かければ、お子さんにはピッタリの体験です。山菜には少々苦味があるため、おいしく感じるのは大人になってからかもしれません。収穫を経験することから興味を覚え、苦手な味ながらも口にしていると、気長に味覚を育てていくことにつながります。
食べ方と下ごしらえ
タラの芽をおいしく食べる方法を、チェックしていきましょう。
天ぷら以外の食べ方
タラの芽には、味と食感にコクがあります。天ぷらは、おいしさが最大限に引き出される贅沢な一皿となりますが、シンプルなため、飽きやすいのもまた正直なところ。せっかくなので、大量に入手できた際には他の味つけでも食べてみたいものです。
アスパラガスや、ブロッコリーに似た肉厚の茎を持ちます。産毛のある柔らかい葉は舌に優しく、そしてなによりも特徴的なのは、ほのかな苦味です。ピーマンよりは繊細で、ニガウリよりもクセがありません。
おひたしもいいですが、油と相性が良い点を生かし、濃いめの味付けにするとやみつきになる味わいが。肉と炒めるのもおいしいですし、甘みをつけたゴマみそ和えも苦味と調和します。チーズやオリーブオイルも好適で、パスタならアンチョビソースと合わせてみてください。
下ごしらえ
タラの芽はアク抜が必要ありませんが、調理する際の下処理はいくつか必要です。
・ハカマを取り除く
木の先端に伸びるタラの芽は、根本の部分にハカマと呼ばれる茶色い皮が張り付いています。口当たりが悪いため、包丁で切り取ってはずします。
・トゲ
収穫された位置により、トゲが残るものもあります。触ってみて固さが気になれば、取り除いてください。柔らかいものなら、火を通すことで食べやすくなります。
・根本に切り込みを入れる
タラの芽の成長加減によっては、根本が太く固い場合があります。火の通りに差が出ますから、包丁で十字、または一文字に切れ込みを入れてください。こうすることで、サッと火を通すだけで口にしやすくなりますよ。
保存
旬を味わう食材ですから、長い保存は考えず、できるだけ新鮮なうちに味わうことが大切です。新聞紙などに包んで野菜室に保管すると香りが逃げません。
タラの芽料理とおつまみ
ほろ苦さを味わうのが、春の恵み。単調な味ではありませんが、不思議と他の食材とも馴染みやすいものです。
タラの芽のベーコン焼き
お子さんと一緒に食べられるよう、卵とベーコンを合わせました。柔らかい苦味がアクセントになります。
・材料
(2人分)
タラの芽 10~12本程度
ベーコン 45g
卵 2個
オリーブオイル 小さじ1
塩、こしょう 少々
・作り方
【1】タラの芽のハカマを取り除き、ベーコンは1㎝にカットします。
【2】フライパンにオリーブオイルを温め、溶いた卵を入れて両面焼きます。焼き上がったら、お皿に取り出してください。
【3】フライパンを再度温めて、ベーコンを炒めます。油が出てくるので、タラの芽を加えて一緒に加熱します。
【4】塩とこしょうで味を整え、【2】の卵と一緒に盛り付けます。
チーズタラの芽
こちらは大人向け。お好きなチーズを合わせて、ワインと一緒にいかがでしょうか。生ハムと合わせても絶品です。
・材料
タラの芽 10~12本程度
お好きなチーズ 20g程度
オリーブオイル 小さじ1
黒こしょう 少々
・作り方
【1】アルミホイルにタラの芽を並べ、チーズをのせます。上からオリーブオイルをかけてください。
【2】グリルなどで7分程度焼き、チーズに焼き目がついたら取り出します。
【3】黒こしょうをふりかけます。
春の苦味から元気をもらう
大きなトゲのある木から採れるタラの芽ですが、おいしいからこそ防御のためにトゲを持ちます。さすが、山菜の王様ですね。春に苦味のある山菜を食べることは、冬にたまった毒素を排出するデトックスの働きもあるんですよ。
暖かさを増すと共に、私たちの活動も活発になりますから、芽吹きのエネルギーをもらいたいものですね。苦味を生かしたおいしい食事を、ぜひ作ってみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)