宇宙はビッグバンにより誕生
「ビッグバン」とは、宇宙の始まりを表す言葉です。ビッグバンの詳しい意味や、どのように宇宙の謎が解明されてきたのかなどをチェックしましょう。
ビッグバンとはどんな現象?
宇宙は、約138億年前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発が起きて誕生したとされます。宇宙が誕生する瞬間、超高密度・超高温な状態が一瞬で急激に膨張し、非常に大規模な爆発が起きました。
大爆発によって宇宙が始まったとする理論を「ビッグバン理論」といい、「火の玉宇宙論」とも呼ばれています。宇宙が急激に膨張する様子を火の玉に例えて、このような呼び方がされるようになりました。
ビッグバンはどのように解明されたの?
宇宙の誕生について解明され始めたのは、わりと最近の話です。研究が開始されてからまだ100年もたっていません。
ビッグバン理論は、イギリスの物理学者「スティーブン・ホーキング」やアメリカの天文学者「エドウィン・ハッブル」、物理学者の「ジョージ・ガモフ」などが提唱している説です。
宇宙の始まりを知るために、下記のようなさまざまな研究がされてきました。
●特異点定理:何もない「無」の状態から宇宙が始まったと説明
●インフレーション理論:「無」からビッグバンが起きるまでの間を説明
●ハッブルの法則:宇宙の膨張を証明
また、ウクライナの天文学者・物理学者の「ヴァレンキン」は、無を証明するために「トンネル効果」を考え出しました。
トンネル効果とは、エネルギー的に通常は越えられない障壁を、粒子が通り抜ける現象のことです。量子力学の分野で研究され、発見されました。
宇宙には何がある?
宇宙を知るためには、宇宙を構成しているものの存在を知ることが近道です。星や銀河、太陽系などについて理解を深めましょう。
夜空で光る「星」
ビッグバンが起きた後、高温・高密度だった宇宙は、膨張しながらだんだんと温度や密度が下がっていき、星のもとになる「ちり」や「水素ガス」ができました。それらがぶつかり合ってできたものが、星です。
星の種類は太陽などの恒星、恒星の周りを回る惑星、惑星の周りを回る衛星などがあります。私たちが住んでいる地球は、惑星の一つです。
また、宇宙に浮かぶ水素ガスでできたものを「星雲」と呼びます。恒星は星雲からでき、できたばかりの恒星は周囲にあるガスを取り込み、内部で核融合反応を起こして輝いています。
星や星雲が集まった「銀河」
銀河とは星や星雲が集まったもので、さまざまな大きさがあります。「銀河群」「銀河団」「超銀河団」と呼ばれる集団があり、規模によって呼び名が変わることが特徴です。
宇宙には数えきれないほど多くの銀河が存在しており、その数は2兆個ともされます。宇宙は途方もないほど大きなものだと、想像できるでしょう。
また形状によって楕円銀河・渦巻銀河・レンズ状銀河などの種類に分けられ、地球のある「天の川銀河」は渦巻銀河に該当します。
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地球を含めた「太陽系」
太陽とその周りを回る天体を「太陽系」といいます。太陽系にある星が誕生したのは、約46億年前です。太陽系は、1,000億個以上の恒星が集まった「天の川銀河」の中にあります。天の川銀河は、さらに別の大きな銀河群に含まれる存在です。
太陽系には、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の八つの惑星があるほか、小惑星と呼ばれる小さな天体や準惑星、彗星などがあります。
ちなみに地球のように、酸素や水があり生命がいる惑星は、宇宙の中でも珍しいとされています。
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ビッグバン以前と今後の宇宙
ビッグバンによって宇宙が誕生しましたが、それ以前は一体どのようになっていたのか不思議に思う人もいるでしょう。ビッグバン以前や、これから宇宙がどうなっていくのかを紹介します。
ビッグバン前の宇宙はどうなっていた?
ビッグバン以前の宇宙はどのような状態だったのか、まだはっきりとは解明されておらず、さまざまな仮説が立てられているのが現状です。
ビッグバンが起こる前は、エネルギーが存在しない「無」の状態だったとされます。無は物質やエネルギーなどが何もない状態を指し、空間そのものが存在しなかったという意味です。
ビッグバンが起きたことで、重力や電磁気力、核力といった力が生まれました。またビッグバンの直前には、「インフレーション」という加速膨張を起こしたとされています。
これから宇宙はどうなっていく?
今後、宇宙がどうなっていくのかもまだよく分かっていませんが、以下の3つの仮説が立てられています。
1.限界まで膨張後、再び収縮する
2.永遠に膨張し続ける
3.膨張をやめて維持し続ける
膨張が限界に達した後に収縮を始め、宇宙ができる前の状態に戻って終わるという説があります。それはビッグバンと反対の、「ビッグクランチ」と呼ばれる現象です。
このまま膨張が止まらずにだんだんと密度が下がって崩壊が起こり、ビッグバンの前に戻るという説もあります。また、膨張がある程度進んだ段階で止まり、均衡を保った状態を維持した状態になると考えている人もいます。
宇宙についてもっと学ぼう!
本や映像などを利用して宇宙について学ぶ以外に、体験型の展示がある宇宙センターや科学館などに出かけるのもおすすめです。宇宙について学べる施設をチェックしましょう。
茨城県「JAXA 筑波宇宙センター」
「JAXA 筑波宇宙センター」は筑波研究学園都市の中にあり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の中枢拠点として知られています。
展示館「スペースドーム」では、実物大の人工衛星や、本物のロケットエンジンなどを見られるところが魅力です。また、宇宙について学べるさまざまな子ども向けのイベントを開催しています。
出かける際には、ミュージアムショップ「プラネットキューブ」で行われる、季節ごとの企画展示もチェックするとよいでしょう。
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東京都「日本科学未来館」
「日本科学未来館」は、2001年7月9日に開館した国立科学館です。宇宙飛行士の毛利衛(もうりまもる)氏が、館長を務めていたことでも知られています。
館内には地球の様子を感じられるディスプレイ「ジオ・コスモス」や、ドーム状のスクリーンによる立体視映像で科学・宇宙が体験できる「ドームシアター」などがあります。
時間帯や時期によって異なる作品が上映されているので、訪れるたびに違った映像を楽しめるでしょう。
愛知県「名古屋市科学館」
「名古屋市科学館」には、世界最大級のプラネタリウムがあります。自然な状態に近い星空を再現できる「ユニバーサリウムIX型プラネタリウム」や、宇宙旅行のような体験ができるデジタル式プラネタリウム「MediaGlobe Σ SE」を使用しています。
プラネタリウムでの講座の後、実際に天体を見られる市民観望会も開催しているので、チェックしてみましょう。季節ごとに特別展が開催されているところも魅力です。
これまでに、地球の成り立ちや生命などに関する多様な展示を行ってきました。2024年3月16日から6月9日までは、地球上のあらゆる生命の源である海をテーマにした展示を行っています。
出典:名古屋市科学館
謎だらけの宇宙の起源を知ろう
ビッグバンは宇宙が存在する前に起きた大爆発のことで、全ての始まりの源だとされます。ビッグバンが起きなければ、今あるものの全てが存在しなかったかもしれません。
宇宙の中には恒星や惑星などの星があり、地球を含む太陽系の星々もその一部です。太陽系は天の川銀河の中にありますが、ほかにも宇宙には大きさや形状の異なる、さまざまな銀河が存在しています。
宇宙が始まる前の状態や、今後の宇宙はどのようになっていくのかなど、まだ明らかになっていないことも多くあります。機会があれば、家族で宇宙センターや科学館などへ出かけ、宇宙の起源について学んでみてもよいでしょう。
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構成・文/HugKum編集部